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近代的異世界戦争  作者: 玄米貓
第一章 始まり
3/5

2話 目的

「あひゃひゃひゃひゃ!金目のもの全部だせぇえぇ!」

分かりやすく山賊に襲われた。

テントを張り、焚き火で暖をとっていた所であった。

周りを囲まれ逃げ場がない、中々に危機的状態のようである。

柄に手を置いたが自信はなかった。

「ガキた、マニア売れば結構金になるぞ・・・コレは当たりだぜ」

卑しい笑い声が森に響き渡った。


「山賊か、穢らわしい連中だな」

その瞬間、空間が冷え込んだ。


「貴様!遠征軍に向かって穢らしいだと?!」


何やら喚いているが無視する。

耳に囁き声が届いた。

「クロ、あいつら結構強い。未完成だけど戦略魔法を使う。3分もたせて」

まだ熊としか戦ったこと無いのに・・・。首を控えめに振り了解の意を示した。

「目を瞑ってろ」

そう一言だけ残した。


詠唱の声が届くと同時に足を踏み込み、手前の輩の首を刎ねた。

突然かつ予想外な行動に時が止まり、全てのヘイトが俺に集まる。その瞬間、閃光弾を投げつけた。

一瞬自分の視界を遮り、目の前で悶える者共を噴水へと変えていく。数分後には辺りが赤く染まり、服も鉄臭くなっていた。


しかし、手練もいるようで、数名は早くも復活していた。

皆ライフルを背負ってはいるが、獲物は槍や剣のようである。

素人目に見ても分かった、どう見ても格上だ。


全員少しの隙もなく、こちらの動向を先読みしようとしていた。

真っ向から額目掛けて穂先が迫るが、抜刀の勢いで叩き切る。

しかし隙をつかれ、左右から切っ先が迫ってきた。

目の前の腹を踏み台にし、致命傷を避けるも内心冷汗が全開であった。

着地しふと前を向くと、肩に大きな衝撃が走る。

目に真っ直ぐこちら向く長物が入った。

これは不味い、全身に緊急サイレンが鳴り響いた瞬間。


「またせた」

轟と地が鳴り、目の前が青蒼に染まる。

焦りが高まるが、不思議と風は周囲を鋭角に避けていた。

ヴェルが結界を張ってくれた様だ、流石にそこまでネジは外れていなかった。


嵐が過ぎ去った後、残っていたのは焦げかけた残骸であった。

四肢が欠損しても生きているのは流石という所である。

復活されたら困るので、すかさず首を跳ねていった。

存外玄人たちも最期は呆気なかった。


「クロ、怪我は?」


そう言えば、腹に刀傷、肩に銃弾が入ったはずなのだが・・・。


「あれ、治ってる」


つい心の声が漏れてしまった。

結構深い傷だった、そう簡単に元通りになるものでは無い。

思い返してみると最後、トドメを刺してから治ったようである。


まさかと思い解析で自分を見てみると、ランクは5、ステータス値も大きく上がっていた。いや、上がり続けていた。未だに数値が上昇し続けているのである。


試しに死体達を見てみると逆に魔力値が減少しつつあった。

額に雫が流れる。


「あぁ、大丈夫だ。問題ない」


震える声に少女は不審がっていたが、彼の強がりに乗る他なかった。一人、幹の陰からこちらを見ているのである。


両手には手錠が嵌められ、体は薄汚れていた。


「悪意は無い」


傍で少女は一言だけ俺に託した。


「君、名前は?」


幹の少女は少しづつ此方へにじり寄ってきた。


「アンナ・オルランド、東の森に住んでた」


深く、黒く枯れた瞳で眺めてきた。彼女は一体どんな世界を見たのだろう。


「ドワーフ、光に嫌われた種族。そう呼ばれ迫害されている」


確かによく見てみると薄灰色の肌をしていた。

ドワーフ、鍛冶師や技師のイメージだろうか。


「そんな非科学的な、迷信だろ」

「迷信だとしても、教会が認めてる以上真実になる」


教会、東の連邦のほぼ全国民に、西の帝国の一部から信仰を集めている大組織である。利益団体と化した宗教が絡むと碌なことにならない。


幹の少女は語り始めた。


「村が襲われたのに誰も助けてはくれなかった。もう村が幾つも滅ぼされた。人質は私一人」

彼女の瞳は枯れていた。


「なぁ、教会に逆らえる国はあるか?」

「ない。人族の殆どは信仰してる」


一部が勘づいていても、国は動かせないか。虚しいものだ。


「魔物は、知能の高い魔物はいるはず」

「確かに頭のいい種もいる、けど殆どは村が精々で戦力もない。その上ドワーフみたいな混血種すら迫害されてる」


正直今の状態では詰みであった。

だが、目を逸らして黄泉に行けない。俺は爺さん子なのである。憧れの人を裏切る訳にはならないのだ。


「お前は助けたいか」

「死なれたら目覚めが悪い。お前じゃない、ヴェル」


一応体裁は必要であった。彼ほど俺は素直ではなかった。


「同族の村に案内しろ」


その時、刀が拍動した。

この話はフィクションです。


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