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方言版 太宰治 火の鳥  作者: かんから
わからないくせに
9/79

③生きろ

 はずめ、ゆった(_/)(まなご)おどが(_/)ったどき、誰が男の腕()きっつ(_/)ど抱ぎかかへえらぃてらど、()はれる。その男の腕()いっぺ(\/)えすがみづいでろ()、なあ、なあ、(さか)んで泣いたんた、気がす。男もかでで()、たすかに、歔欷(きょき)の声()もらすてらった。「なだけ(\/)だばって、(つえ)ぐ生ぎへ。」そうしゃべっ(/\)た。誰が、ぼやけてまって()。まさが、(とっちゃ)ではねえべ(/\)。浅草でわがぃだ、あの青年(わげの)だがも。とにがぐ、霧中の記憶にすぎね。はっきりおどが(_/)って、めるど、病院の中だ。「なだけ(\/)ばって()(つえ)生ぎへ(/\)。」そった(_/)声、ふと耳さよみがえって来てろ、ああ、あのふとは死んだんだ、と冷たぐふとり(/\)こまった。わの()生涯の不幸、相がはらず鉄のやうにめご()くねぐ(/\)膠着すてる状態()目撃すて、わっ(_)きゃ()むった(_/)ど、こうなんだ、と自分ながら気味(われ)えほどに落ちついだ。


 ドアの外で正服の警官がふたり見張りしちゃあ()こと()やっと知った。どうすんだべ。まね()んた予感ば、ひやっ(/\)()えたとき、どやどやと背広服着だ紳士六人、さぢよの病室()はって来だ。


「須々木、ホテルで電話()かけたんだが。」


んだ()。」あわれに微笑んで答へだ。 


「誰()かけだが知っちゃあ()?」


 こまった。


「そいづは?」


わげえ(/\)ふとですた。」


名前(なめえ)さ。」


知らね(/\)。」


 紳士だぢの私語、ひそひそと室内()充満すた。

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