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⑧結末
青年は、立ち上がってまっだ。
「誰だば。どこのふとだ。しかへろじゃ。」ちゃちゃど勘定すますて、酔っぱらっちゃあ数枝のからだば、片腕でぐっど抱ぎあげ、「立てじゃ。いづれ、そったとこだべと思っちゃあ。ずんぶ偉くなった、しかへろじゃ。どこの男なんず。さぢよにそったごど、させんな」
円タクばつかめだ。淀橋さ走らせだ。
自動車の中で、
「つぼけだ。つぼけも、つぼけも、くそこれだ。おめさは、礼ば言う。いぐしかへで呉だ。」数枝は、いぐね予感に、気遠ぐなるんた。
「わっきゃ、さぢよば愛すてら。愛すて、愛すて、愛すちゃあ。誰よりも高ぐ愛すちゃあ。忘へだごどが、ねがっだ。あのふとのへずねさは、わーが一ばん知ってら。なのかも知っちゃあ。あのふとは、いふとだ。あのふとば腐らせちゃあ、まね。つぼけ、つぼけだ。ふとのめがげさなるだば。くそこれ。死ね! わーがやってまる。」




