⑦何とかして
「負げだんた。おめは、負げでまった。」
かん高ぐ叫んで、なんぼが、呂律がまわんねがっだ。よろめいで、耳ばとっぺで、
「ああ、聞ぎてぐね、聞ぎてぐね。おめもろ、そった、みっぱわり。ずれえ、ずれえ。ずぐなす。臆病だ。負げ惜すみだ。ああ、なも、理屈は、いくでねえ。
世の中のふとたぢは、みんな優すい。みんな手助げすて呉る。冷ぐ、へでえのは、おめらばすだ。どん底さ蹴落すのは、おめらだ。負げでも、嘘づいでえふりこぎしちゃあ男ばす、どかこがふとの努力ば、にたじっで蹴落すんだ。
おめは、いげね。おめは、こぃがら、さぢよばちょしちゃあ、いげね。一指もちょすの、まねはんで。なんて、嘘だ。
わっきゃ、たげリアリスト。知っちゃあがら。おめのしゃべるんず、わかっちゃあ。知っちゃあばって、だばって、もす、という夢、持ちてえ。持ちてえんず。
笑わねえでけろ。わーだぢ、えんとまねはんで。わりくなってくだけ。知っちっあ。ああ、まねじゃ、はっきど決めねで、ね。死にてえ。
んたばって、さぢよばすは、ああ、おごろく、おごろくすてえ。あの子、頭い。あの子、めごいっきゃ。あの子、ふびんだ。
知っちゃあが? さぢよは、いま、ある劇作家のおめがげよ。おごろくなれ、なれ。おめがげなんず、すねように、――」




