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②なんでなの
高須には、まんだ気がつかねんでら。数枝さ、いがら、劇場がらかでらせで、そすて数枝のわるぎねえ、わんかじょさける思いつぎが、高須ばこごさへでごんだ。この薄暗えバアは、乙彦ど、さぢよが、おかしけた邂逅すたどご、いま自分の腰がげちゃあ灰色のソファは、乙彦かっつがらぃで、かっつがらぃで、天地にたんだ一づの、最後に見っけだ、鳥の巣、狐の穴、一夜のゆったどす椅子であったごど、高須は、なんも知らねんだ。
みっつど酔っで、
「かえらせだら、いんだ。女優なんて、そったみっぱいくしちゃ、まねんだ。国へかえらせねば、なんねえんだ。」
「だばって、――」言いずれく、「うんにゃ、酔っで絡むんでね。めぐせじゃ。だばって、――男のふとって、なすて皆そったらに、女のごどさなるど責任、持ちたがるんずや。なすて皆、わがり切っちゃあお説教すたがるんだが。




