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方言版 太宰治 火の鳥  作者: かんから
わからないくせに
7/79

①小さい頃

 高野さぢよは、奥羽の山ん中()生いだ。祖先の、いい血っこ(_/)流えでら()曾祖父(むかすの)は、医者だった。祖父(じっちゃ)は、白虎隊のふとりで、(わけ)くすて死んだ。その妹が家督()継いだ。さぢよの(かっちゃ)だ。気品(たけ)え、むっつら(/\)としちゃあ()(めんた)だった。養子(わらし)ばへだ(\/)。女学校の図画の先生でら()。峠()越えで八里はなえだ隣りのまぢの、造り酒屋の次男でら()。からだも、心も、(よえ)えふと。高野のえさ(/\)は、土地っこわん()つか()あった。女学校の先生()やめでも、生活はでぎだ。犬()かでて、鉄砲()すよって、山()あさぎまわった。い画()かきてえ。い画家()なりてえ。その渇望が胸の裏ば焼ぎごがすて、だばって、めぐせ(/\)がって、だまっちゃあど。


 高野さぢよは、山の霧と木霊の中で、おがっ(/\)た。谷間の霧の底()あさぐんが好ぎだった。深海の底だがどいうもんは、きっとこんき(_/)でら()、と()った。さぢよが、小学校()卒業すたとすに、(とっちゃ)は、ふたたび隣りのまぢの女学校()復職すた。さぢよの学費()得るきな()|がって/。さぢよは、(とっちゃ)いでら(/\)その女学校()受験すて合格すた。はずめ、(とっちゃ)どふたり、父の実家()寄宿すて、毎朝かでて登校すてたばって()、そいだば(/\)教育者どすて、なも()まね()んでねが、と(とっちゃ)の実家がやしこ(/\)かげでろ()(よえ)(とっちゃ)は、そえも(/\)んだな(/\)、と一も二もねぐ(/\)賛成すて、さぢよは、その女学校の寮さは(\/)った。(かっちゃ)は、ふとり山の中のえさ(/\)残ってろ、くらすてら()。女学生だぢさ、さぢよの(とっちゃ)は、ウリどいう名で()ばぃで、あんま尊敬されでは、ねがった。さぢよは、おナスど()ばらいだ。ウリの蔓()なったナスビどいうわけだと。事実、さぢよは、色っこ(くれ)かった。わもれ(/\)たんげ(_/)不器量だど信ずちゃあ()わっ(_)きゃ()醜いはんで()、心がげだげでも、いぐすねば(/\)まいね()、と一生懸命、努力してらっ(/\)た。むったど(/\)、組長でら()。図画ば除いでは、すべで九十点以上でら()。図画は、六十点、とぎだま七十三点なぞどいうこともあった。じくねえ(/\)(とっちゃ)の採点だ。

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