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⑪仲直り
さぢよは、ぼさらど顔っこあげで、
「ぶっからねんず?」
「ねむけまなごでしゃべんな。」
にげくすて、煙草のげむば、ゆったど吐いだ。
「かえってけれ。わっきゃ、しゃべりてえことば、おわっだ。あどは、たんだ敬遠主義だ。おめもわんかは考えへ。かえれ。路頭さ迷ってもろ、わは知らねえはんで。」
もづもづすて、
「路頭は、寒ぐで、いや。」
三木は、あわくうとこすて、
「笑わせでも、まねはんで。」
しゃべりながら、はっきど負げだど思った。
「さぢよ、こごさいるが。」
「いる。」
「女優さなが。」
「なる。」
「勉強すが。」
「する。」
三木の腕の中で、さぢよは、ちっちぇく答えだ。
「つぼけ。」
三木は、さぢよのからだから離れで、
「かっちゃど、どった話っこすた?」
むったどの、やさすい歴史的さんさ、かえっでだ。
「わー、母っちゃ好ぎよ。」
さぢよは、じゃんぼば掻ぎあげで、
「こぃがら、わったど孝行すの。」




