⑩女優になる
そっど頭ばたないで、「ねえ、数枝。聞いでらか? 歴史的さんね、あのふと、わー、そったに悪いふとでねど思うわ。
あのふと、わーば女優にすんだど、やっきでるばって、どったもんだがな、数枝だって、わーがむったど、こごで何もしねえで居候すんだば、やっぱり、いづいべ?
まだ、わーが女優さなっで、歴史的さんがそれでばほらね仕事すんだば、わー、女優さなっても、いど思うんず。
わーがその気さなれば、あどは、手筈、みっつどしてんだど、そうしかへちゃあ。」
「おめの好きだんたすさ。名女優さなれっべ。」数枝は、まんだ不気嫌だ。
「それは、ね、わーだって、わりいとき、あんべ。この子は、むったどこごさいで、いってえどうすんだべど、さぢよの図々すさがからこしゃぐでろ。
だばって、わっきゃ、ふとづば三分以上がんげえねえど、昔がらきめちゃあはんで。かちゃましいわ。どった永ぐ考えでもろ、結局は、なんもねえんだ。あだってみねばやずねえんだ。つぼけだわ。
わーさも、へずねことは、まんず、がっぱあるはんで。だとこで、一づのことば、三分ばす考えで、解決も何もちょさねえで、すぐづぎさ移っで、それば三分間ばす考えで、まだ、つぎのことば三分、そのへんは、ずんぶ慣れちゃあべ。
へずねえのの引ぎ出すばすかすかどあけで、ちらど一目調べでろ、すぐにびっつどすめで、そうすて、どぶすんず。こぃ、ながなが健康にいのよ。どうだべ、わーさも、相当の哲学があるべさ。」




