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⑧勉強したね
女は肉体のことだば、なんもいだわしって思ってねえじゃ。ねえ、数枝もれ、そだべ? なんぼふとりでじぇんこばためてもれ、男どじゃめでも、むったどしげねえべ。
わー、男のふと皆さ教へでやりてえ。女さたげめごがらいてえんだば、やっきどかかっちゃんだば、わんかがわりのごどでいはんで、何が用事ばしゃべってけれ。
えれくして、しゃべれじゃ、つて。地位や名聞ば得ねでも、じぇんこ持ぢでねくたって、男そのものが、たんげおごろいんだはんで、ありのままの御身さ、その身ふとづに、ぎっつど自信ば持っでれば、女は、どったにうれすいが。
どぢさも、わんかの思いちげえで、男も女も、わったらんきたがるんず。歯がゆぐて、仕方ね。どちも、それさ気づいで、笑い合ってやり直せばろ、――あずましいべな。世の中は、きっど住みよぐなるんず。」
「ああ、学問ばすた。」数枝は、おげなあぐびばすた。「そえで、須々木乙彦は、よかったんだが。」




