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⑤女も男も弱い
さぢよはむっくど、
「女ふとりの仕合せのためさ、男のふとばだまかすんず、いだわしいじゃ。女だってろ、うすけねばって、男は、まっとうすしかねえんだ。やとかと踏みとどまって、どんだがけっぱっちゃあんだ。わーには、そう思われで仕方ね。そったどごさ、女のふとが、どがらと重え体っこばおかがらせだら、どった男のふとばも、わやつくば。気の毒だべさ。」
数枝は、呆れで、蛮声ば出してろ。
「白虎隊は、そんでね。」さぢよの祖父が白虎隊のふとりだったのば数枝は、さぢよがらしかへられえだ。
「そったもんじゃね。」さぢよは、くれえ中で、たげやさすく微笑んだ。「わー、巴御前でね。薙刀持ってらんきたがぐんず、からしぐねえじゃ。」
「似合うよ。」
「だめ。わー、小っちぇえはんで、薙刀さ負げるべ。」
ふふ、と数枝は笑った。数枝の気嫌直ったんたで、さぢよは嬉すく、
「ねえ。わあのしゃべるん、わんかさがしく聞いで呉れ? ご参考までに。」
「しゃべるんが、いぢいぢ、えふりごいで。歴史的氏の悪影響だ。」数枝は、いがっちゃあ。




