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③初めから
「帰れってが?」さぢよは蒲団の中で小っちぇくすぐだまって、おかながって反問すた。
「んだね。」数枝は大人びだ口調でしゃべって、「だいぢ、あの、歴史的は、つぼけだべ。まさすく変人だね。いや、もっといぐね。婦女誘拐罪。咎人だべさ、あれは。ろぐなごど、しねべさ。要ねごどば、そそのがすて、そうすてまだのこのご、つけらっど押すかげでろ、まるで恩人が何なんだが、あの、えふりこいで口っこきいで。どごまで、すんだが、わかんねえべさ。阿呆や。あの眼ば、みねが。どうすたっで、ふつうじゃねはんで。」
さぢよは、くすくす笑っだ。
数枝も、こでらいねで笑ってまっで、だばって、
「いやな奴さ。笑い事じゃねえ。謂わば、めんたあの敵だね。」
「だばって、わー、知っちゃあよ。数枝は、はずめがら歴史的ば好ぎだったべ。」
「おめえ。」
女ふたり、腹ばおさえで、にたじ。




