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方言版 太宰治 火の鳥  作者: かんから
うけるー。私なんかの為に
30/79

①やめろ、やめるんだ。

 東京では、昭和六年の元旦に、雪っこ(_/)降っだ。未明より、ちらぢら降りはずめ、(しる)ごろまでづづいだ。(しる)少すすて、戸山原の雑木の林の陰っこさ(/\)、外套の襟()立てで、無帽で、煙草()ふかすて、かつ()くつ()あさぎ(/\)まわっちゃあ()男が在でら(/\)。こぃは、どんやら、善光寺助七だ。


 べろっ(/\)と木立のがげがら、もうふとり、二重まわす着だ小ちっちぇえ()男があらわれだ。三木朝太郎だ。


つぼけ(/\)なやづだ。もう()ちゃあ()な。」三木は酔ってらんた()。「ほんとうに、やる気なんが()。」


 助七は、答えねえで()、煙草っこ捨で、外套()脱いだ。


「待で。()じろ。」三木は(つら)()すかめだ。「やばちい(/\)野郎だ。おめは(/\)いってえ、さぢよ()どすべ(/\)どしゃべる(/\)んだが。ただ、腕づぐでも(がめ)る、戸山原()来い、片輪()すける(/\)だば()わっ(_)きゃ()(おめ)の相手になってやるのもできね(/\)。」


 ものもしゃべん(/\)ねで、助七うってかがっだ。


まね()!」三木は、飛びのいだ。「逆上しちゃあ()な。いが()わの()()しった(_/)ど聞げ。ゆうべは、わーも(_/)失礼すた。(いら)()ごどしゃべ(/\)ってまった()。」


 ばんげ(_/)は、新宿のバアでかでで()のんだ。かねで、顔()知りの間柄だ。ふと、三木、東北の山宿のごどに就いで、口()滑らせだ。さぢよの肉体()ちらど(/\)ゃべっ(/\)た。そっが(_/)ら、んだば(/\)、さぢよはどごさ( ̄\)いる。(しら)ね。嘘づげ、おめが(/\)かぐすた。おげや(_/)い、()っどもねえぞ、意馬心猿。そっが(_/)ら、よす、腕づぐでも(がめ)る、戸山原さ()いへ、片輪()すてける、ということになってまった()。三木も、蒼ざめで承知すた。元旦、正午(しる)()約すて、ばんげ(_/)はわがぃだ。

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