29/79
⑨どうとでもなれ
三木は、わんか卑すく笑い、そのままこまって考えだ。わった大袈裟な永え思案の素振りだった。ふと顔ばあげで、
「十円けるべ。」いって怒ってるんた口調で、「おめは、つぼけだ。わあは、わった、なば高ぐめごがって来た。なっきゃ、それば知ねえべ。わーさは、おめの、わんかな足音さもびくらこいで、こそごそ押入れさ隠れるんた、そったみそくたねえ恰好ば、たげ、だまって見で居ぃれね。いまのおめさじぇんこばけたばって、わっきゃ、ものの見事に背徳漢がも知えね。だばって、こぃはわあの純粋衝動だ。わっきゃ、それさ従う。わーさは、この結果、どうなっか、わがんね。それは、神様だけが知っちゃあ。生ぎるものさ権利あり。おめの自由にすがい。罪は、わだちさ無え。」
「ありがとう。」わんか笑って、「おめさんは、たんげ嘘づぎね。そえごそ、歴史的よ。かにな。んだば、あどで、ね。」
三木朝太郎は、へずねぐ笑っだ。




