22/79
②頼むから
「いが。当分は、こごさいへ。わは、もう何もしゃべんね。えの奴らさは、わがら、いいんたこといっとくはんで。
おめも、もう、来年は、はだぢだ。こごでゆっくど湯治すてろ、みっつど将来のごどば考えでめるがい。
おめは、おめの祖先のごどば思ってめだことあるかして。わのえとは、較べもんになんねほど立派な家柄だ。
おめがもすあぶねことすんだば、高野のえは、それっきりで断絶だ。高野の血ば受げ継いで生きちゃあの、いが、おめえふとりだ。
家系は、こぃは、大事にすねばまねもんだ。いまにおめさも、いろいろあぎらめが出でろ、もっど謙遜さなば、家系ちゅうもんが、どったに生ぎるごどさ張りあいさなるが、きっとわがる。
高野のえば興そうじゃねが。自重すべ。こぃは、わがらのお願いだ。




