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⑤わび
「そのことでねくて。」
青年はたげ口ばひきすめ、まっすぐば見だ。
「そもわーさは、なも、おめさも、がっぱ打撃だばってろ、」
煙草ばなげた。
「そのごどでねく、ほがに、――須々木さんは、ね、ていへんなことやったんだど。おめのことも、なんも、新聞さ、出てねえよ。記事差止だがらすい。おめのこと、わのこども、警察にかって、わったぐはすく調べらいだ。わっきゃ、ひでえめさやられてろ。まんず、きつく調べらえだ。おめだって、あの二日まへにはずめで逢ったばす、わーだって、須々木さんとは親戚で、小せえ時がらかでで遊んで、わっきゃ、乙やんば好きだったす、」
わんか、とぎれた。突風だんた嗚咽がこみあげて来たのば、あやうくたえた。
「やつど、わんど、なんも知らねの判って、ひとまづ釈放なんだと。ひとまづ、だよ。こぃがら、何が事あるごどに呼ばらいるはんで、なも、その覚悟ばすてけろじゃ。なっきゃ、からだも、まだ全快でねす、わー、責任ば以って、おめの身柄ば引き受けた。」
「すまね。」ふたたび、消えるんたわびばしゃべった。




