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ありんこが思いがけずのっぽ先生とデートをすることになった話

「幸博先生、明日のお休み、なにするん?岡山観光?」

 すっかり懐いた菜摘が、授業の後、幸博に聞く。

「倉敷の大原美術館に行こうと思ってる」

 幸博は答えた。お、定番ですね。

「遠い親戚の絵が修復されて、最近再展示が始まったんだよ」

 へえ、すごい。私も見に行きたいな、と有里は思う。しばらく行ってないし。

 

 ちょっと首を傾げてから、幸博は二人に言った。

「二人も来る?」

「お、JK二人を誘うとはやりよるな」

 菜摘は笑いながら幸博をからかう。幸博も笑って、こっちに友達いないし一人だと退屈だからさ、と答えた。

 私は明日用事があるからダメだけど、ありんこは行く?行くなら買ってきてもらいたい物があるのだけどと、菜摘が言う。

 え?幸博先生と私の二人で行くの??有里は少し動揺した。どうしよう。行きたいかも……

 

「美術館の入場料と昼飯代くらいはおごるよ」

 幸博は笑いながら二人に行った。バイト代出るし。

 それうちらの授業料だよ、と菜摘は怒った振りをしてから笑って、

「うちは法事だから無理。ありんこ、行けば良いじゃん。授業料取り戻して来なよ」

 と言った。

 

「じゃあ、行きます」

 思わず有里は言ってから、しまったと後悔した。誰かに見られて変な噂になったら、迷惑掛けるかもだし。

 

 そう、じゃあ朝九時に岡山駅の中央改札口待ち合わせで良いかな、これ僕の携帯番号、と幸博はメモ用紙にさらさら書いて有里に渡した。

 

 帰り道、菜摘は有里の肩をポンと叩き、

「ありんこ、よく言った!」

 と笑った。

 え?

「初デートじゃん?!がんばるんよ!」

 デート?有里は焦って言う、そんなんじゃないよ。

「バレバレだよ、小学校から一緒だからすぐわかるよ?」

 そういうのじゃないよ、有里は懸命に抵抗する。

「やっちもねーこといわれな(つまんないこと言うなよ)!! 」

 菜摘は有里の背中をどんと押して、笑ってから手を振って去って行った。

 

 有里は自分のベッドに横たわって天井を眺めながら考える。そうなのかなあ、少し好きになってる気もするけど、どっちかというと尊敬よね。幸博先生超頭良いし、5つ年上だし。私なんか相手にもしてくれないだろうし……んーもぉー、ヤだ! 有里はうつぶせになって脚をバタバタさせてからぐったりする。

 考えてもしょうがないな。なるようにしかならんじゃろ。

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