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ありんこがのっぽ先生と出会った話

「蜂谷さんと、鈴木さんですね」

 幸博が受付をする。あれ、浜野先生は?と訪ねてきた二人の女子高生のうち背の高い大人びた方が尋ねる。

 

 幸博は答えた、

「ああ、叔父は脚を怪我して現在入院しているので、僕が代打で夏期講習をします。僕は甥の浜野幸博といいます」

 

 女子高生二人組は、顔を見合わせた。大丈夫かな?有里は少し不安になる。菜摘は少し考えた後、軽く頷き、じゃあ宜しくお願いします、と言った。菜摘は決断が早いな。

 

「一学期の復習から始めようと思うのだけど、二人はどんな感じだったの?」


 最初に幸博は二人に尋ねた。鈴木菜摘と自己紹介した背の高い方の少女が元気よく、二人とも赤点でしたと答える。もう一人の「ありんこ」というあだ名の蜂谷有里という小柄な少女は、困ったような顔をして少しうつむく。名前が「あり」とも読めて小柄だから「ありんこ」だとのこと。


「そっか。じゃあ復習のし甲斐があるね」

 幸博は笑って言った。じゃあ明日テスト持ってきてね。


えー、恥ずかしい、と菜摘は抗議する。幸博は真顔に戻って二人に言う。

「できないことや、知らないことは恥じゃ無いんだ、そのままにしておくのは恥ずかしいことだけど」

 そうは言っても、赤点の答案を見せるのは恥ずかしいな、と有里は思った。

 

 ホワイトボードの脇に幸博先生が立って、授業を始める。背が高い。180cm以上あるかな、私より30cm高いわ、のっぽさんだな、と有里は思う。ひとつひとつ二人の疑問点を確認しながら幸博先生は授業を進める。あ、これならついて行ける、と有里は安心した。この塾、私には当たりだったかも。

 

「のっぽ先生、良い先生じゃない?」

 菜摘が帰り道で有里に言う。


 そうね、丁寧だし優しいし、良く授業はわかったわ、と有里は答えた。


「背高いし、ちょっと格好いいよね?!」

 菜摘が笑う。有里も笑って同意した。背高いよね、大学生かな?そんな感じだよね、と菜摘は答えた。

 じゃあまた明日、まずは補習で会おう、と菜摘が重々しく言ってから笑って別れた。

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