3章 イメチェン
秀一はひきこもり娘たちを全員招集した。ひきこもり娘たちはほぼ初対面同士なので気まずそうである。
「お前たちを全員集めたのは他でもない。お前たちに新しい髪型になってもらうためだ。」
「新しい髪型?どうしてですの?」
「お前たちはローザ以外みんな同じ髪形で紛らわしい。だから髪型を一人一人変えて貰う。」
「髪型を変えるのはいいけどどうやって新しい髪型を決めるの。」
「不公平が無いようにくじ引きで決める。」
そう言うと秀一はティッシュ箱で作ったくじを持ってきた。
「これをローザ以外の全員に一人づつ引いてもらう。」
「髪型はどんなのがあるの?」
「ポニーテール・サイドテール・ツインテール・ドリル・パーマ・三つ編み・ストレートの7つだ。」
「くじを引く順番はどうするの?」
「お前たちは知らないだろうが確率論的にくじの引く順番は全く関係ない。順不同だ。だから僕が勝手に決める。」
「「「「「「「ええええええええええ!!!!」」」」」」」
「早く引けば早く引くほど自分のしたい髪型を引ける可能性が高いじゃない!」
「早く引いた方が有利に決まってるわ。」
「だからそうじゃないって!」
秀一は女の子達の顔を10連続往復ビンタして突っ込んだ。
「始めに好きな髪型が引ける確率と途中で好きな髪型が引ける確率・最後まで好きな髪型が残る確率は全て平等なんだ!」
「どうも納得いかないわね。」
「お前たち習っていないから仕方がないが小学生レベルの問題だ。」
「算数って難しいのね。」
「では早速、ロザ、ローサ、ロサ、ジェシー、アキリサ、チェリー、イチゴの順で引いてもらう。」
くじ引きの結果、ロザは三つ編み、ローサはサイドテール、ロサはパーマ、ジェシーはポニーテール、アキリサはツインテール、チェリーはドリル、イチゴはストレートになった。
皆すぐに髪型を変えた。ロザは4時間以上かけて三つ編みにし、ロサとチェリーは8時間以上かけてパーマとドリルヘアをセットした。
「これで全員だな。」
「似合うかしら?」
「最高だよ。長い赤髪が素敵だ。長い赤髪の素晴らしさをよく引き出している。」
「わたくしの髪の毛もご覧になって!」
「ああ、素敵な赤髪だ。新しい髪型も長い赤髪の艶めかしさを引き立てている。」
「アキリサの髪の毛はどう?!アキリサの髪の毛も見て!」
「私も!私も!」
「私の髪の毛も!!!」
「あたしの髪の毛も見て!」
「私の髪もみて下さい!!!」
「みんな髪型を変ええたからってずるいわ!私だって自慢の赤髪を見て欲しいわ!」
「みんな最高だよ。みんなの赤い髪の毛は見たこともないくらい美しくて妖艶だ。こんなにも美しい髪の毛を独り占めできて本当に幸せだ。」
八人全員が命より大切な赤い髪の毛を見せびらかしあった。
「私の髪の毛が一番美しいのよ!」
「いいえ!私の髪の毛よ!」
「何言ってるのよ!私の髪の毛よ!」
八人の美女たちは自慢の赤髪を振り乱し、髪の毛の美しさを競った。争いはヒートアップし、髪の毛を振り回しあって自分の髪がいかに美しいかを言い争い合った。水掛け論である。ところが、トラブルが起こった。八人の美女たちの長い髪の毛が絡まりあったのである。
「きゃあ!私の美しい髪の毛に汚い下女の髪がまとわりつくなんて!」
「何ですって!?汚いのはあなた達の髪でしょ!」
「この髪が邪魔なのよ!」
「いたた!!引っ張らないでよ!」
美女たちはパニックを起こし髪の毛を振り回した。そしてお互いの髪の毛が引っ張られあった。
「痛ぁ~い~!!やめなさいよ!!」
「あなたこそ引っ張らないでよ!」
「痛たあ~!!!髪が抜けちゃう~!」
「痛い痛い痛い!!もう枝毛になっちゃうじゃない!!」
「やめろ~~~!!!」
秀一が電撃で美女たちを痺れさせ一括した。
「喧嘩両成敗だ。」
「悪いのはこの女たちよ!血みたいな髪で気持ち悪いんだから!」
「それはあなた達の髪の毛でしょ!私の髪の毛は薔薇よりも美しいんだから!」
「そんな醜い髪してるからいじめられたのよ!私は赤髪が美しすぎて嫉妬されただけよ!」
「醜いのはあなた達の髪だけよ!あたしの赤髪は史上最も美しいんだから!」
「あなたたちは妖怪みたいな髪の毛が不気味ですわ。わたくしの女神のような赤髪を見習ったらどうかしら?」
「私の髪の毛が誰よりも美しいです!」
「赤い髪で美しいのはアキリサだけなんだからね~!」
美女たちは足の引っ張り合いならぬ髪の引っ張り合いで喧嘩を続けた。美女たちは暴れながら髪を無理やりほどこうとしたため髪の毛はさらに複雑に絡み合った。
「やれやれ。これだけ複雑に絡み合ったら切断しかないな。」
「「「「「「「「切断!?????」」」」」」」
美女たちは青ざめた。
「「「切断ですって!????」」」
「そんな…」
「「「いやああ!!!!!」」」
「私たちの髪の毛が…」
美女たちはショックで泣き崩れ落ち、全員気を失ってしまった。
「ようやく大人しくなったか。」
秀一は魔力を使い、美女たちの絡み合たった髪の毛を時間をかけて一本一本解いていき、1本も切ることなく全て解いてしまった。
「最初から暴れないでくれれば気絶させる必要も無かったのに。」