9章 炎髪
秀一はロサの元を訪ねた。
「いらっしゃいませ神主さま!」
「今度は獣人は関係ないよな…。」
「何の話ですの?」
「いや、何でもない。頼まれていた赤い薔薇の鉢植えを買って来たぞ!」
「まぁ綺麗!私の髪の毛みたいですわ!」
「それと整髪料も買って来たぞ。このジェルを髪の毛に塗ってみてくれ。」
「まぁ!ありがとうございます!」
ロサは何時間も掛けてジェルを髪の毛全体に滲ませた。
「燃えるような赤い髪…本当に素敵だ。」
「ありがとうございます!燃えるように真っ赤なわたくしの髪は命より大切なわたくしの誇りですの!」
ロサは自慢の髪の毛を誇らしげに掻き揚げた。
「本当に燃えているような髪の毛だな。」
そう言うと秀一はロサの髪の毛に髪の毛に火をつけた。
「本当に燃えているぜ。」
「きゃああ!!なになさいますの!!!?あついあついあついあつい!!!」
ロサは髪の毛を燃やしながら走り回った。秀一はそんな姿を写真に撮った。
「いやああああああああ!!髪があ!髪があああ!!わたくしの命よりも大切な長い赤髪があああ!!!!」
「そろそろかな。」
秀一はロサの頭を叩いて火を消した。
「いや~ん!わたくしの赤髪がぁ!キュートなキューティクルがぁ!」
「大丈夫だよ。鏡を見てみろ。」
「あら?髪の毛が全く焦げてませんわ!あれだけ燃えていたのに、真っ赤で綺麗なままですわ!!」
「お前が塗っていたジェルは『ファイヤージェル』といって塗れば火をつけてもジェルしか燃えないんだ。」
そう説明するとファイヤージェルを赤い薔薇の花びらに塗って火をつけた。
「燃えるように赤い薔薇が本当に燃えるのは実に美しいだろう?」
「本当ですわ。真っ赤に燃えてて綺麗ですわ!」
「ほら、お前の燃えるように真っ赤な髪が綺麗に燃え上がっている写真だ。最高に美しいだろう。」
「本当ですわ!わたくしの燃えるような赤髪が炎に包まれて本当に綺麗ですわ!」
「赤いものが好きなお前に赤い炎をプレゼントしようと思ってな。」
「素敵なプレゼントありがとうございます!」
「しかし、赤髪は綺麗だが酷い顔だ。」
写真に写った燃え上がる髪の炎を消そうと必死に走り回っているロサの顔を見てそうつぶやいた。
「んもぉ~。意地悪ぅ…ですわ。」




