死体(したい)Corpse of THETA
男たちは森の中を、ジェットコースター周辺を、探し回った。
「ショー!」
しかし、ビビりの夜桜 清真の行方は不明だった。
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『閉園後の裏野ドリームランドの中には、赤いワンピースを着た女の子の幽霊がおり、あそこに興味本位で遊びに来る子供達がいれば、一緒に遊ぶふりをしてどこかへ連れ去ってしまう』
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まさか…
誰もがそう思った。ついさっき目の前に現れた少女が、清真を連れ去ったのではないか、と。
だんだん傾いて行く日を見、焦燥感を募らせながら、必死に彼らはビビりの名前を呼び続けた。
帰ってくる答えは谺か仲間の声のみ。
清真の声はついに聞こえる事はなかった。
ポツポツポツポツ…
そのうち、天気予報では降らないと言っていた雨が降り出した。
ポトポトポトポト…
鵺野 榮二は近くで立ち尽くす不死川 純次に「ほら、言わんこっちゃない」とさも言いたげだったが、こんな状況ではさすがに口に出すのは控えているようだ。
彼らは近くに建っていたドリームキャッスルの入り口で雨宿りをすることにした。
シャーシャーシャーシャー…
雨脚は段々と強くなっていく。
城の屋根に打ち付ける音がハッキリとしてくる。
ザーザーザーザー…
ウィィィィィ…
ザーザーザーザー…
ィィィィィ…
ザザザザザザザザー…
雨音に混じって、何かが聞こえたような気がした。
しかし、雨音が激しいので何の音なのかは、隻眼男には聞き分けがつかなかった。
ザザザザザザザザ…
ザザザザザザザザ…
ガタガタガタガタ…
まるで、パンクした車が走っているかのような音が混じってきて、さすがの隻眼男でもわかった。
同時に、優男の宵奈良 和眞やチャラ男の榮二も気づいたようで、ジェットコースターの方を向いていた。
この音はジェットコースターのゴンドラが上昇する時の音だ。
しかし、あの金属の錆び付き様、蔓の巻き付き様、葉の覆い様を目の当たりにしている彼らには、ジェットコースターが動くなんてことは絶対にあり得ない、と思うしかなかった。
雨の水煙越しにジェットコースターのレールが、
そして、ゴンドラが確かに動いているのが見えた。
そこには、さっきの少女が!
キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!
落下するゴンドラの中から、少女の恐怖の叫び声が聞こえてきた。
その時、
「レナ!?」
隻眼男の後ろにいた4人が一切に叫んだ。
隻眼男は驚いた。なぜ彼らも彼女の名前を知っているのか!
「なぜ、お前たちが彼女の、畦田 霊那の名前を知っているんだ?」
それには彼らも驚いていた。
「シーさんこそ、何で…」
彼らは隻眼男より2つも歳下だ。彼らがなぜレナの名前を知っているのかと言えば、答えは1つだ。
彼らもレナの取り巻きの一部だったということだ。
その時、
アハハハハハハハ!
レナの笑い声が響いた。
恐怖の声から笑い声に変わるのに、何があったのかと、隻眼男が見ようとすると、右眼の視界の端を何かが通り過ぎるのがわかった。
そして、右耳に雨の音など、気にならなくなるほどの鈍く気持ちが悪い男が響いた。
ゆっくりと顔を動かす隻眼男の視界に入ってきたモノは……
3人の死体
1人の死骸が残りの2人を押し潰している。
人間凶器
そんな言葉が隻眼男の脳内に浮かんだ。
ジェットコースターの遠心力で飛ばされた死骸が、ここに雨宿りしていた彼らに直撃したのだ。
その被害者は、無口の2人。
未だセリフをももらえていない霊岩寺 禅龍と、
この雨の原因となった不死川 純次。
そして、2人を殺す凶器にされたのは、姿を消されていた、夜桜 清真。
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「ジェットコースターで事故があったから。」
しかし、それらの人々に「どのような事故があったのか」を尋ねれば、返ってくる返答は1つとして同じものは無い。
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