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裏話,魔獣襲来とエキナセア 2

 記憶を見終わり、閉じていた目を開ける。

 うーむ……何とも悲しいすれ違い。

 もし女性が、フィアナが魔力を間違えなければ……


「……いや、まあどうなってたかは分かんないな」


 実際その状況になってみないと分からない。

 そういうもんだ。


「……というか、思ったより時間経ってるな」


 木べらが勝手に混ぜてくれている鍋はいい感じだ。

 後はここにアストラを粉末状にしたものを入れれば完成である。

 鍋の中にアストラ(粉末)を入れると、水分がみるみるうちに消えていく。

 何度見ても面白く、なんかむなしい。


「あんなにあったのに、最終的にはこれだけだもんね」


 呟きながら鍋を傾け、底にたまっている粉を小瓶に入れる。

 これが「死者との再会」だ。

 見た目は真っ白でサラサラした綺麗な粉である。


「よーし、今日のお仕事終わり!」


 デイリーミッションはクリアした。

 なので改めてフィアナの記憶の糸に意識を向けることにした。

 少し気になることがあるしね。


 とか思って糸を手に取ろうとしたら、窓から何か入ってきた。

 何かと思えば精霊ちゃんだ。


「おやシルフちゃん。どうしたの?」


 **があの魔獣を気にしてるの


「ああ、なるほどね。なら、これを持って行ってよ」


 いいの?まだ完全に見終わってはいないんでしょう?


「いいよ。私は別の調べ方をするから」


 分かったわ。なら、貰っていくわね


「うん。気を付けてね」


 ***も気を付けてね


 風の精霊シルフちゃんに記憶の糸を託す。

 私よりあっちの方が詳しく見れるだろうからね。

 手伝ってくれる子も多いだろうし。


 私は私のやり方があるからいいんだよ。適材適所って言うでしょ?

 そんな訳でさっき言ってた別の調べ方だ。


 まずは記憶の糸に染み付いていた土地の魔力を膨れさせる。

 ちょこっとだけ手元に残して置いたからね。それを薄くならないように水増しする。


「よーしよしよしよし……」


 水増し完了。

 魔力の濃さ異常なし。

 後はこれを飛ばすだけだ。


 魔力波に乗せてレッツゴー!

 え?何をしているのかって?ふっふっふ……それはだねぇ……こうして魔力を飛ばしてフィアナの記憶にあった土地を探しているのだよ!


 なんでかって?ふっふっふ……それはだねぇ……もしかしたらあの男性もしくはその子孫を見つけられるかも知れないからだよ!


 見つけてどうするのかって?え?分かんないかな?

 あー……私の説明が悪いんだね。昔から言われるよ。

 簡単に言うとフィアナを魔人に戻したいんだよね。

 魔獣として討伐されるより魔人に戻って生きた方がいい。なんなら私が身元引受人になるつもり。


 ……いい加減1人会話(しかも脳内)疲れたな。

 1人でいる時に妙なテンションになるのやめたいよね。

 無理なんだけどね。


「この大陸ではないよなぁ……」


 つぶやきながら魔力波を飛ばしていると、第5大陸に反応があった。

 おやおや。ここだったか。

 思ったより早く見つかったな。ラッキー☆


 だがまあ、悲しい事にそこはただの焼け野原で、人の気配は感じられない。

 村の残骸も発見できそうにないな。


 魔力の質からして、ここが焼け野原になったのは5,6年前くらい。

 フィアナが魔獣化したのは2,3年前くらいだろう。


 何も無くなっててもおかしくはない年月。

 でもここには何かある気がするんだ。

 私のこういう勘は割と当たる。割と、な?


 取り敢えずこの辺りの探索をしたいんだけど……なんかないかな?適当に魔力が宿りそうな石とかは。

 うーん……ないかなぁ……?

 ……あ、あるじゃん。丁度良さそうな水晶が。


「よし、じゃあこれに……」


 魔力を注ぎ込もうとしたら、ガルダ内での魔力の動きを感知した。

 なんだ?と思ったらサクラちゃんとモエギちゃんがこっちに向かってくるではありませんか。


「……あ、やっべぇ」


 一旦魔力波を止めて、適当に本を引っ張り出して開き、慌てて目の色をヒエンもとの色に戻す。

 危ない危ない。

 サクラちゃんは誤魔化せてもモエギちゃんは誤魔化せなさそうだからな……


「ピィ!」「チュン」

「あら、どうしたの?」

「ピィッピピッピィ!」

「ああ、ごめんなさいね。私は言葉が分からないの」


 私が言うと、サクラちゃんは器用に空中で一時停止した。

 そして慌てたように鳴き始めた。

 どうしよう!?とでも言ってるのかな?


 どうしようかねー。とか考えていると、モエギちゃんが紙とペンを持ってきた。

 うん?どうすりゃいいんだ?

 首を傾げていると、今度は開かれた本の文字をつつき始める。

 ……あ。分かったかも。


「ここに五十音書けばいいの?」

「チュン」

「じゃあ、ちょっと待っててね」


 紙に五十音を順番に書いていく。

 あー……地味に面倒だ。

 まあ、やるけどさ。


「……はい。終わったわよ」

「チュン」


 モエギちゃんは1声鳴いてからくちばしで文字を叩き始めた。

 えーっと、なになに……

 ま・り・よ・く・ほ・お・し・よ・ん・を・も・ら・え・ま・せ・ん・か


「魔力ポーションを貰えませんか?」

「チュン」

「……ああ、なるほど。なにか大きな魔法を使うのね?」

「ピィッ!」

「分かったわ。少し待っていてね」


 はい。本当はツルバミ君が大暴れしてるの知ってまーす。

 巨大魔法を融合で使ってたこととか知ってまーす。

 だって魔力が分かりやすいんだもん。

 ユリシアちゃんの魔力も結構分かりやすいし、なんてったってアオイちゃんが一緒に居るから無意識に魔力確認してたしね。


 アオイちゃんは守らないと。

 何せこっちに連れてきたのは私なわけだし。

 巻き込むタイミングはそんなに悪かったわけではなかったはずだけど、アオイちゃんはこちらの世界に来る直前の記憶がないみたいなんだよな……


 それについても色々確かめないとな。

 向こうの世界に帰りたがらないのは、向こうの世界が嫌なわけではなくこちらの世界がアオイちゃんに合っているからなので特に問題はないんだけどね。


 アオイちゃんは元々こちらの世界に居るはずだった人間だし。

 私があっちの世界に行ったのもアオイちゃんに会うためだった。

 っと。今はそんなこと置いといて。


「はい。結構重いけど、大丈夫かしら?」

「ピィ!」「チュン」

「……あ、少し待ってくれる?」


 2羽に渡したカゴの中に、速攻で書いたメモを入れる。

 お代は、アオイちゃんの護衛代ということにしましょう。

 そもそも利益出すために薬屋やってるわけじゃないからね。


 このくらい軽いもんですよ。

 いざとなったら昔の仲間からぼったくる。

 どうせあいつら金ため込んでるだろうし。


「……さて」


 サクラちゃんとモエギちゃんが飛び去ったことを確認し、改めて第5大陸に魔力を飛ばす。

 さっき見つけた水晶に魔力を宿す。

 ついでに形も軽く整形。


 完成した魔道具(笑)を通して周りを見ると、完全に焼けている。

 ……死の炎で焼けたからかな。草なども一切生えていない。

 焼けた土は風以外に動かされた跡はなく……ん?


 なんか一部だけ掘り起こされてるっぽいぞ?

 ここだけ魔力が噛み合ってない。

 頻繁に何回も掘り起こされてるみたいだ。


 この魔道具(笑)じゃ掘り起こせないかな?

 ちょっと魔力を込めて……土を……うご……け……よ……オラァ!

 ……よし、動いた。そして君は何も聞いていない。私はおらぁとか言ってない。良いね?(威圧)


 ……はい。土を動かしたところからは木製の扉が出てきた。

 この下に地下室的なものがあるようだ。

 土を動かしたのと同じ感じで扉も持ち上げる。

 ……………………ほいっ!


 扉は大きな音を立てて勢いよく開いた。

 力入れ過ぎたか?まあいいや。

 中に入れたから何でもいいや。


 中は暗かったが、魔力を頼りに周囲を見ているので問題なし。

 中には色々なものが置いてあった。

 おそらく誰かがここで生活していたんだろう。


 いろんな魔力を感じる中で、一際複雑な魔力を宿しているものがあった。

 机の上に置かれた日記だ。

 ちょっと中を見させてもらう。


「……見つけた」


 探し物は終わりだ。

 この日記は何も書いていない端の方を少し切り取らせてもらう。

 これで材料は揃った。

 日記の切れ端は魔道具(笑)の中に収め、魔道具(笑)はこちらに向かわせる。


「……さて。作りますか。死者の記憶」


 死者の記憶は、死んだ者の本当の気持ちを見せる薬だ。

 一回で見ることの出来る記憶は1つ。

 しかも見たい記憶の魔力が宿ったものが必要。

 ついでに作るの超面倒。


 でもこれがあればフィアナは元に戻るだろうからね。

 ちょっくら頑張りますか。

 ……あ、そういえばアオイちゃんもそろそろ筆記の勉強頑張らないとなんだよな。

 薬師試験、10日後だわ。

ヒエンさんのテンションは基本的に高めです。

でも顔にも声にも出ないのではたから見たらただの美人です。

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