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65,Qモエギですか?Aはい。その方が安心です。

今回はコガネちゃん目線で始まります。

 サクラを肩に乗せ、メモを片手に西区を歩く。

 店主に頼まれたお使いは、エキナセアと古くから付き合いのある店をいくつかまわり、それぞれの店で必要な物を買ってくること。

 西区の職人街は入り組んでいて、1つの店を探すのにも手間取ったが、サクラが上から探してくれたおかげでどうにか見つける事が出来た。


「次は……魔女の隠れ家……?」

「ピィッピィ!(なんか怪しい!)」

「だよね」


 店主の知り合いなら大丈夫……だと思いたいが、店主自体が怪しい気もするので油断は出来ない気がする。


「全体にツタが巻き付いてるレンガ造りの小さい建物……だって」

「ピッ!」

「お願い」


 サクラが飛び立ち、上空を旋回し始める。

 そして、何かに気付いたのかすぐに降りてきた。


「見つけた?」

「ピィ、ピッピ!」

「モエギ?」


 モエギが来た、というので上を見上げると、確かに見覚えのある小鳥がこちらに向かって来ている。

 主と店番をしていた筈だが、何かあったのだろうか?


「チュン」

「モエギ、どうかした?」

「チュン、チュッチュン(お使いの追加をお願いします)」

「追加……良いけど、どんな?」

「チュンチュン(帰りに便箋買ってきて下さい)」

「便箋?」

「チュッチュン、チュン(レヨンさんから手紙が来たんです)」

「ピィ!」

「チュン」

「分かった、後2時間くらいで帰るね」

「チュン」


 モエギは要件を伝えると、エキナセアの方向へ飛んでいった。

 サクラは肩の上でレヨンさん!!と騒いでいる。

 前の主人の事を好いているのは知っているので騒ぎたいのは分かるが、耳元で騒ぐのはやめて欲しい。


「サクラ、サクラ五月蝿い」

「ピ……ピィ……」


 指先で突っついて嗜めると、サクラは小さく鳴いて大人しくなった。

 サクラは最近、私の言う事を聞いてくれるようになった。

 おそらく、私の方が最大魔力が高いので本能的に逆らってはいけないと感じているのと、契約獣になったのが私の方が先だから指示に従っているのだろう。


「さて、魔女の隠れ家を探さないとね」

「ピィ!」


 私の言葉に元気よく答えたサクラは、再び空へ飛び立った。

 モエギに2時間と言ったからには2時間で帰らなければ。




 モエギが帰ってきてからお客さんは2人しか来ておらず、私の予想は見事に当たっていた。

 ……お客さん来ないっていう予想が当たるって、ちょっと寂しいね。


「暇だね〜」

「チュン」

「そろそろ2時間だね〜」

「チュン」

「もうすぐ帰ってくるかね〜」

「チュン」


 私の特に意味のない呟きに律儀に答えてくれるモエギの優しさよ……

 本当にいい子や……


「……そういやさ、サクラとモエギは女の子?」

「チュン、チュンチュン」

「え、モエギ男の子だったの?」

「チュン」

「マジか……勝手に女の子だと思ってた……」


 驚きだ。モエギが男の子だった。

 私が勝手に考えていたモエギ擬人化像を作り直さねばならぬな。


「……あれ?サクラとモエギは人型になれないの?」

「チュンチュッ、チュンチュン(今はなれませんが、そのうち出来るようになると思いますよ)」

「んー……何で?」

「チュンチュン(魔力が足りないので)」

「……あ、そういう事か」


 コガネも最初はキツネ状態で過ごしていたし、人型になるには一定量以上の魔力が必要らしい。

 ……でも、サクラもモエギも怪我とかしてないよな?

 今はなれないって事は、そのうち魔力が高まるって事なのかな?

 コガネちゃんが帰ってきたら聞いてみよう。

 そんなことを考えていると、店の扉が開いた。


「いらっしゃ……あ、おかえり〜」

「ただいま、主」

「ピィ!」

「チュン」


 多量の荷物を持ったコガネちゃんが入ってきた。

 すごく重そう。

 あれ、私が持ったら一瞬で潰れるやつや。


「重そうだね」

「いや、そんなに重くない」

「……そっか」


 これぞ種族の違い、もしくは育ちの違いか……

 コガネちゃん、女の子バージョンの時も男の子バージョンの時も筋力変わらないからな〜

 女の子バージョンの時の力強さがすごい。

 見た目はふわふわの髪の天使なのにね。


「主、便箋これで良かった?」

「あ、大丈夫だよ〜。ありがと」

「うん」


 コガネちゃんは荷物の中から便箋を取り出し、残りを作業部屋に持っていった。

 駆け寄って扉を開くと、ヒエンさんが箱に寄りかかって死んでいた。……いや、死んでない死んでない。


「え、ちょ、何事?」

「……疲れて倒れた?」

「ヒエンさんが?」

「そう言われると違和感しかない」


 コガネちゃんと若干失礼な会話をしつつヒエンさんに近寄る。


「ヒエンさーん?」

「…………」

「返事がない、ただの屍のようだ」

「コガネちゃん、それアウト。というかどこでそんなセリフ覚えたの?」

「……んー?」

「あ、動いた」

「……あら、コガネちゃんおかえりなさい」

「ただいま店主。これ、頼まれてたもの」

「ありがとう。そこに置いておいて」

「ヒエンさん、これどういう状況?」

「いやあ、休憩してたら寝ちゃったみたいね」


 あの体勢で寝てたのか。

 すごいなヒエンさん。

 というか休憩中に寝るとか、疲れてるのかな?

 まあいいか。体調は問題ないみたいだし。


「ヒエンさん便箋来たよ。返事、何を書けばいい?」

「ああ、そこにメモがあるからその内容をよろしく」

「そういえば、三ヶ月後にキマイラでお祭りがあるらしくて……」

「行きたいなら行ってきていいわよ。コガネちゃんが一緒に行けば安心だし」

「わーいありがとうヒエンさん」


 軽〜いノリで許可が出た。

 祭り……楽しみだな……


「さてと。続きをやろうかしらね」

「じゃあ私は店番しながら返事書こうかな」

「お願いね」

「はーい」


 店に戻ってカウンターの内側に座り、便箋を広げてペンを構える。

 さてさて、メモの内容は……


 〈制作期間、三ヶ月

 値段、5000ヤル〉


「うぉっ!?」

「主?」

「いや、1つの薬で5000ヤルもするのか……」

「……5000ヤル?」

「うん。ほら」

「制作期間三ヶ月……主、これ、なに?」

「清龍の涙」

「え?なんでそんな薬作るの?」

「レヨンさんのお知り合いが呪いにかかったらしい」

「……堕ちし龍の呪い?」

「あ、コガネちゃん知ってるの?」

「うん。……こないだの嫌な気配は堕天龍だったのか」


 ……そういえばそんな事もあったね。

 コガネちゃんとサクラが何の気配か探りに行ったりしてたね。

 すっかり忘れてたよ。

 さて。返事書こ。


 〈レヨンさーん

 どうも、お久しぶりです。アオイです。

 薬は作れるそうなので、値段と作るのに掛かる時間のお知らせです。

 制作期間は三ヶ月、値段は5000ヤルだそうです。

 それと、お祭り行く許可は貰ったので行こうと思います。

 その時はまた泊めてもらえると嬉しいです。〉


 ……こんなんでいいかな?

 短いけど、そもそも文書くの苦手なんだよね……


「いいか。こんなんで」

「主、最後に名前書いといて」

「あ、はい」


 コガネちゃんに言われて最後に記名し、クルクルと巻く。


「モエギ、これ運べる?」

「チュン」

「ピッピィ!ピッ!」

「ごめん、今回はモエギオンリーで」

「ピ……」


 とりあえず手紙をカウンターに置いて、リビングにパンと水を取りに行く。

 戸棚に仕舞ってあるミックスベリーパンを半分に切って皿に置き、水差しから皿に中身を移す。

 皿を持って店に戻り、カウンターの上に置く。


「出発前に腹ごしらえだ〜」

「チュン」

「ピッピ!」

「うん。食べていいよ」


 サクラとモエギがパンを食べるのを見ながらさっき巻いた手紙に紐を付けておく。


「……ところでさ、これ、どうやって運ぶの?」

「足に括り付けるんだよ」

「この紐を?」

「その紐を」

「チュン」

「お?もういいの?」

「チュン」


 モエギは片足を差し出して来ている。

 ここに付けろという事かな?


「……これでいいの?」

「チュン」


 なんか、手紙が大きく見える。

 大丈夫かな?

 やっぱりフクロウとかの方がいいんじゃないのかな?

 もしフクロウを飼う機会があったらその時は白い子がいいな。

 飼う予定なんてないけど。


「チュン」

「うん。気を付けてね」

「ピィ!ピッピ!」

「チュン」

「いってらっしゃい」


 モエギは一声鳴いて、窓から飛び立っていった。

 往復で半日って言ってたから、明日の朝には帰ってくるのかな?

 さすが、空路は速いね。


「さて……暇だね」

「主、ダラダラし過ぎ。人来たらどうするの?」

「いや、来る気がしないんだよね……」

「それは勘?」

「うん。勘」

「じゃあ来ないかもね」

「それはそれで困るっちゃ困るんだけどね」


 実は定評のある私の客足に関する勘。

 今日は来てもあと1人か2人な気がするんだよな……


「んー……暇だ……」

「主、あと1時間だから頑張ろうよ」

「うん……閉店間際に来客の予感……」


 ただの勘だけどね。

 なんか来る気がするのでござりますよ。

 なんだろうね?

 そんなことを考えたり、コガネちゃんとダラダラ喋っていたら閉店まで残り十五分。

 そろそろ閉店準備を始めましょうかね。

 と、思ったら。

 チリリン♪と鈴が鳴って扉が開いた。

 予想的中。閉店間際滑り込み来店。


「いらっしゃいませ〜」

「ませー」


 お客さんは1人で、服装を見るに冒険者だろう。

 ……魔導士かな?


「魔力ポーションって、ありますか?」

「ありますよ」

「じゃあ、魔力ポーションを4つ」

「はい。200ヤルになります」


 この人が本日最後のお客さんだった。

 お客さんが帰ってから、コガネちゃんがポツリと呟いた。


「……主、なんで来店時間まで予想出来るの……?」

「……勘としか言いようがないね」

「そっか……」

「……なんかごめん」

「いや、主が謝ることなんて一つもないよ……」


 コガネちゃんは遠くを見つめたまま閉店作業に取り掛かった。

 ……なんか、ごめんね?

皆様どうもこんにちは(震え声)瓶覗です(震え声)

大ニュースです。一大事です。

この話の総合Ptが100になりました!!

3ケタ!!3ケタです!!

心臓が痛いです!!(喜び過ぎて)

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