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49,Q着きましたか?Aはい。ケートス入国です。

 馬車で揺られてウトウトすること半日ちょい。

 サクラが外に飛び出した。


「どうしたサクラ?」

「ピィッ!」

「え、残りの距離の確認?」

「ピッ!」

「おお、分かった分かった。じゃあモエギと一緒に行っといで。モエギも、いい?」

「チュン」

「ありがと。気を付けてね!」

「ピッ!」「チュン!」


 暇を持て余したサクラが後どのくらいか確認する、と言い始めた。

 サクラだけでは余りにも不安なのでモエギも一緒に行かせる。


「主、行かせていいのか?」

「うん。行かせた方がいい気がするんだよね」

「と、いうと?」

「いやさ、サクラとか、ケートスに着くまで馬車の中にいさせたら外に出た時にはしゃぎすぎて物に衝突しそうじゃん?」

「なるほど」


 というか実際、さっきまで馬車の中で騒ぎたてていたのだ。

 モエギがどうにか止めようとしていたが、駄目だったのだ。


「う……ん?ふぁぁ……アオイちゃ〜ん今どのへん?」

「あ、ファルさんおはようございます。確認中なのでちょっと待って下さいね」

「は〜い……」


 ファルさんはこんな風に時々覚醒しては場所を確認して再び眠りについている。

 灯棒が見え始めたらちゃんと起きるから……とつぶやいていた。

 本当に起きるのかは分からないが、とりあえず灯棒が見てたら起こす事になっている。

 起きるかどうかは分からないが。


「ふ……ぁぁぁ……」

「眠そうですね」

「うん……眠い……」

「さっきまで寝てたのに……」

「寝すぎて眠いのです……」

「それダメなやつじゃ?」

「そうだよねぇ〜ボクいっつもこんな感じ〜」


 惰眠を貪る日々を送っているらしい。

 それでいいのか神獣よ。

 いやむしろ神獣だからいいのか?

 というかヴィスリさんはそれを黙認してるのか?


「ボク普段はシルトの帰りを待ちつつ部屋の掃除したり洗濯したり料理したりしかしてないから時間余って暇なんだよね〜。」

「案外ちゃんと働いてた……」

「うん。家事はやってるよ」


 ただの専業主婦だった。

 まさかの専業主婦だった。


「神獣が専業主婦やってる件について……」

「センギョー?」

「あ、いえ。何でもないです」


 そうか、伝わらないか。

 コガネ君も首を傾げているし、この世界には無い言葉だったようだ。

 久々に感じたな。地球との差。

 しみじみと考えていると、サクラ&モエギが帰ってきた。


「ピーッピィ!」

「おお。お帰り〜」

「ピィ!」

「そっか〜もう少しか〜」

「ピッ!」

「うん。ありがとう。モエギもありがとね」

「チュン」


 膝の上に着地したサクラは、一番前の馬車からは灯棒が見えた、と騒いでいる。

 モエギはちょっとグッタリしている。

 多分サクラの暴走を止めるのに苦労したんだろう。


「うう……もう着くのか〜じゃあもう寝れないなぁ……」

「そうですよ。起きて下さいね」

「うん……起きる……」


 すごく眠そうな声で言われた。

 少しばかり心配だが、一応起きる気はあるようだ。

 全力で伸びをしている。


「主、見えたぞ。灯棒」

「おっ!本当だ」


 コガネ君に促されて外を見ると、灯棒が過ぎ去っていくのが見えた。

 そろそろ腰が痛くなり始めていたので気分が高まる。


「ケートスって、船の国なんだよね?」

「ああ」

「……どんな国?」

「見た方が早いぞ」

「そっか〜……」


 ……気になる。すごく気になる。

 確か海に面していたはずだが、それは関係しているのだろうか。

 関係してるんだろうな〜。

 船か……船……

 ん?考えてみたら私、海見るのすごい久しぶりな感じがする。


「海か〜」

「主は海を見たこともないのか?」

「いや、見たことはあるんだけど、最近は行ってなかったからな〜」

「久々の海ってことか」

「うん」


 最後に海に行ったのはいつだったか。

 確か、中学校1年生の夏とかだった気がする。

 2年生になってからは夏場外に出なくたっていたはずだから。

 ……その頃から若干引きこもりだったからな〜。

 家の中の快適さを知ってしまうと、どうしても外に出たく無くなるんだよな。


「主、門が見える」

「本当?」

「ああ」


 コガネ君の珍しくはしゃいだ声につられて窓から顔をだす。

 確かに見てた。その奥に、海も見えた。


「おおお!海だ!」

「ピィッ!」「チュン!」

「主、落ち着け。落ちる」


 海が見えて、テンションが上がって身を乗り出すと、コガネ君が後ろから引っ張って支えてくれた。


「ふふふ。楽しそうだね〜」


 ファルさんは子供を見守る母親の目で私を見ている。

 そんなに微笑ましいか?


「もうそろそろ門に着きます。顔を引っ込めて下さいね」


 この馬車を操っていた騎士団の方に言われて窓から顔を引っ込める。

 馬車の前方から騎士団の方の門番が話している声が聞こえてきた。そしてすぐに入国を許可されたようで、馬車が進み始める。

 顔を出していたら危険な近さで門を通過した。

 なるほど、門の間が狭いから顔引っ込めろって言ったのか。


「そろそろお別れだね〜ちょっと寂しいな」

「私も寂しいです……」

「でもまあ、キマイラに来ることがあったら教えて。街を案内するから」

「はい!」


 私とコガネ君、それからサクラ&モエギはケートスの中心部で下ろしてもらうことになっている。

 騎士団の方々はケートスのお偉いさんのところにいくらしい。

 つまり、ここでお別れだ。


「バイバーイ。アオイちゃん、コガネ君。気を付けて帰るんだよ〜」

「はーい。ファルさんもお気を付けて〜」

「なにに〜?」

「それはちょっと分かんないです」


 ファルさんに手を振り、騎士団の方々にお辞儀をして馬車を見送る。

 ……やっぱりちょっと寂しい。


「主?」

「あ、いや、ちょっと寂しいなって」

「多分、そんな気持ち忘れるくらいはしゃぐことになると思うけどな」

「へ?」

「後ろ、見てみれば分かる」


 コガネ君にそう言われ、振り返ると


「えっえ!?船の国って、こういう事!?」


 陸地より水面が多い街が広がっていた。

 移動は小さな船で行い、露店の代わりなのか船で商売をしている。


「コガネ君!船でお店やってるけどどうやって買い物するの?船に乗って近づくの?」

「いや、金を投げて渡すんだ。向こうは商品を投げてくる」

「それ、取り損ねたりお金が船に届かなかったりしたらどうするの?」

「そういうことが不安な人は船が陸地に近いてきたタイミングで売り買いをする」

「へぇ〜……」


 ちょうど目線の先で若い女の人が近いてきた船にお金を渡していた。

 なるほど、観光客はああやって買い物するのが普通なのか。


「コガネ君、投げたり取ったりできる?」

「もちろん」

「なら買い物系はコガネ君に任せようかな」

「分かった」


 コガネ君なら取り損ねたりしそうにないから安心だ。

 逆に私はキャッチボールとか全く出来ないノーコン人間なのでやっちゃいけない。


「ピィッピピ?(今日の宿って決まってるの?)」

「ん?決まってないよ?」

「ピィッ!(じゃあ探してくる!)」

「いいの?」

「チュン(もちろんです)」

「じゃあ、お願い」

「ピッ!」「チュン」


 サクラとモエギは元気に飛び立った。

 そっか。飛べれば陸地も海も関係ないか。

 いいな……私も飛んでみたいな……


「主、サクラとモエギが宿を探してる間に船を借りに行こう」

「船って借りられるの?」

「ああ。この国は船がないと移動出来ないからな」

「確かに……ところでコガネ君、船漕げる?」

「もちろん」

「良かった〜」


 コガネ君万能説。

 船の漕ぎ方なんてどこで覚えたんだか……

 まあ、何はともあれ楽しそうな国だ。

 ここは全力で観光しないと損ですな!

どうもこんにちは。瓶覗でございます。

今回は特に意味のない登場でございます。

いや、意味もなくは無いんですけど、どちらかというと無いので…まあ、要するに読まなくてもいい内容というか、暇な人はどうぞ〜的な内容です。はい。


で、まあ、その内容なんですが…一部、なんか異常に短い時が続いてた事に最近やっとこさ気づきまして。

あ、これはちょっと短すぎやしないかい?

と思った次第でございます。

なので、意味もなく謝っときます。

すいません。ごめんなさい。

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