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04,Qお出かけですか?A街を散策してきます。 1

 異世界生活2日目。

 ……なんだよな。うん。

 実は夢なんじゃないのかな〜とかちょっと期待してたんだけどね。現実はそんなに甘くなかったね。


「アオイちゃ〜ん。起きてる?」


 扉をノックする音と共にヒエンさんの声がする。


「あ、はーい。今起きました〜」

「じゃあ、制服に着替えて降りてきて。朝ご飯は作っておくから」

「すいません。ありがとうございます」


 扉に向かって頭を下げる。

 そしてベッドから降りてクローゼットからエキナセアの制服を取り出す


「……やっぱり似合う気がしないでござります」


 言いながら寝間着を脱いで制服を身につける。

 靴はスリッパ的な物から貰ったショートブーツに履き替えた。

 着替え終わったので部屋を出て一階に降りる。


「ヒエンさん、おはよー」

「おはようアオイちゃん」

「いい香りだね。なに作ってるの?」

「フレンチトースト」


 朝から手の込んだものをお作りになられている……


「さあ、ちょうど出来たところよ。食べましょう」

「わーい。いただきまーす」


 使い慣れないフォークとナイフに苦戦しながらフレンチトーストを口に運ぶ。

 ……ナンダコレハ。

 こんなに美味しいフレンチトースト食べたことない!


「ヒエンさん!なんでこんなに美味しいの!?」

「あら嬉しい。多分、この世界特有の蜂蜜をかけてるからでしょうね」


 美味しい。舌の上でとろけるような自然な甘みがすごく美味しい。

 異世界来てよかったわ。うん。


 その後しばらくヒエンさん特製フレンチトーストに舌鼓したつづみをうち、お腹一杯になったところでヒエンさんが立ち上がる。


「さてと。それじゃ、お店を開けようか。アオイちゃん。店番よろしく」

「え、まじで今日から店番ですか?」

「ええ。本気マジで今日から店番ですよ」


 カラカラ笑いながらヒエンさんは言う。


「大丈夫よ〜私は隣の部屋にいるから」

「隣の部屋で何なさってるんで……?」

「約3時間ほどかけてポーションつくってる」

「そんなにかかるの!?」


 ポーション作りって、案外大変なんだなぁ。

 なんかこう、素材集めて「合成!」って言ったらできる気がしてた。

 現実はそんなに甘くなかった。


 お店の開店は朝の9時。

 ヒエンさんが言うにはまとまったお客さんが来ることは滅多にないから大丈夫だとか。

 のんびり本でも読みながらお客さんを待っててOKなんだとか。

 なので、昨日の読みかけの本、【世界とは何か】を読むことにした。


「読みやすい。確かに読みやすいのだが、読書は苦手でござります。進まないでござります」


 ブツブツ言いながらページをめくる。

 すると、チリリン♪とお店のドアの鈴が鳴った。

 ……お客さんが来たようだ。来てしまったようだ(汗)


「いらっしゃいませー(棒)」


 自分でも驚くほど棒読みになった。

 入ってきたのは背の高い男の人。


「あれ、ハーブさんは?」


 開口一番それですか。

 はあ、これだからイケメンは。


「ヒエンさんなら作業部屋にいますよ。呼んできましょうか?」

「いや、いいや。君は、新しい店員さんかな?」

「はい。ヒエンさんに拾われました」


 にっこり笑った顔は、女受けしそうである。

 はいはい。イケメン。イケメン。


「それじゃ、ポーション5つとハイポーション2つください」


 ……なんだこいつ、私の事を子ども扱いしてやがるな。そういえば日本人は童顔だって聞いたことがあるぞ。

 がまんがまん。

 この人に悪気はないんだ。ただちょっと私が童顔なだけなんだ。


「はい。えーっと、110ヤル、です」

「はいはい。これでいいかな?」

「はい。110ヤルちょうどいただきました。こちらポーション5つとハイポーション2つです」

「ありがとう。頑張ってね」

「ありがとうございます。頑張ります」


 なんだかんだいい人だった。子ども扱いされたけど。

 ……別に、気にしてないよ?子ども扱いされたことなんて。


 ここで説明しておこう!!(突然の説明キャラ)

 エキナセアではポーションは1つ10ヤル、ハイポーションは1つ30ヤルなのだ!

 あ、ヤルっていうのはこの世界のお金の単位らしい。

 【世界とは何か】に書いてあった。

 やっぱりこの本すごい。

 ちなみに硬貨が6種類でお金の種類はそれで全部です。


「……なんか、どうにかなる気がするぞ!」


 意気込んだのに、次のお客さんはなかなか来ない。

 そのまま午前中が終わった。

 ……なんだよ!意気込んだのが馬鹿みたいじゃん!


「アオイちゃんお疲れ様」

「ヒエンさん、疲れるほどお客さん来なかった」

「しばらく不定期開店にしてたからねぇ」


 カラカラ笑うヒエンさん。

 笑い方、カラカラなんだよな。なんかそう表記したくなる笑い方なんだよな。


「そうだアオイちゃん」

「なーにーヒエンさん」

「午後はお店を閉めて街を散策しましょう」

「おお!いいの?」

「出かけなきゃいけない用事があるのよ」


 ヒエンさんは楽しそうに言って私を促す。

 というか急かす。

 楽しそうだなヒエンさんよ。


 看板をしまい、ドアノブにかかっている札をひっくり返したら街に出る


「さてアオイちゃん」

「なんだいヒエンさん」

「まずはギルドに行くわよ」

「ヒエンさん、ギルドっていうのは、あのギルドでいいのかな?」

「多分そのギルドだね」

「……なにをしに行くの?」

「ちょっと依頼をしに、ね」


 依頼ってなんだ。

 なにをするんだ。


 私の困惑が伝わったのか、ヒエンさんはニヤニヤしている。

 ……あ、これ分かってて詳しく説明してくれないんだ。この人楽しんでるぞ!!

 だからあんなに楽しそうだったのか!!


「さあ、行きましょうか」


 ……ヒエンさん、何気なにげにSっ気あるよね!

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