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46,Qどうですか?A思ったより多いです。

 キマイラの騎士団の方々とは門の前の広場で待ち合わせしていた。

 広場が近くなってくると、サクラが飛んで行った。

 私たちの到着を知らせてくれるらしい。

 モエギは私の前を飛んで道案内をしてくれている。

 キマイラは地形の問題なのかなんなのか、すごく入り組んでいるのでとてもありがたい。


 モエギの後を追うこと約8分。広場についた。

 広場の中心には20人ほどの人。

 その中にサクラを指に止まらせてこちらに歩いてくる人を発見した。

 ヴィスリさん……昨日の騎士さんだ。

 フルネームはシルト・ヴィスリさん。


「おはようございます」


 お辞儀をしてから手を伸ばす。

 サクラはすぐに私の手に乗ってきたのでいつも通り肩に乗せておく。

 モエギは案内終了後すぐに肩に着陸していたので今日も今日とて両肩に小鳥が乗っている状態になった。


「おはようございます。……この青年が?」

「コガネです」

「本当に……同じ人物なのですか……?」

「人じゃないから人物じゃない気がする」

「コガネ君、今そこにつっこむかい」

「人物ではないなら……狐物ですかな?」

「ヴィスリさん、真面目に考えなくていいですよ」


 案外天然なのかもしれないヴィスリさんにツッコミをいれる。

 コガネが狐なのは昨日のうちに伝えてある。

 どうせ隠してはおけないし、隠しておく必要もない。

 白キツネであることがバレなければいいのだ。


「主、行くぞ」

「うい」


 ちょっと物思いに耽っている間にヴィスリさんとコガネ君が歩き始めていた。

 ……いつの間に。

 思いながら素直に歩く。

 少し先で待っていてくれたヴィスリさんと合流して騎士団の方々のところに向かう。

 とりあえず挨拶しないとね。

 迷惑かけるだろうしな。おもに私が。


「おい、皆!この子たちが昨日言ってた同行者だ」

「アオイです。よろしくお願いします。……で、この子が……」

「コガネだ」

「え、なに、この可愛い子……」

「神の使いか?天使か?」

「コガネ君っていうんだ〜背高いね〜」


 約1名を除いて全員が私を見た。

 ただ1人コガネに反応していた人はのんびりとした口調でコガネに話しかけている。

 私はただただ戸惑っている。


「ピピッ!」「チュン!」

「おお、小鳥だ」

「可愛いな。この鳥たち……」

「天使のお供は天使だったか……」


 やめろ!主が戸惑ってるだろ!

 という2羽の訴えもむなしくむしろ盛り上がる。


「こら、お前らやめろって」

「そうだよ〜可哀想だよ〜それにもう出発だよ?」


 ヴィスリさんとコガネ君に反応していた方が止めてくれた。

 コガネはいつの間にやら私の横にいた。

 私の横でサクラを構っていた。

 サクラも構ってもらって嬉しいのかコガネ君の手に擦り寄っていた。


「アオイさん、こいつはファル。移動中はアオイさんと一緒に行動する」

「よろしくね〜アオイちゃん」


 ファルさんというらしいこの方は、ゆっくりとした口調とのんびりとした動作が相まって、なんだが眠くなってくる。


「よろしくお願いします」

「騒ぎ立てるバカ共は近づけないから安心してね〜」

「は、はい」


 案外のんびりしてないのかもしれないな。

 ファルさんは結構物騒なことを笑顔で言った。

 ……あれ?ファルさんって……?


「あの……ファルさんって、女性……ですか?」

「ん〜……ボク、性別の認識がないからなぁ……」

「そうなんですか?」

「うん。ボクは氷狼なんだ〜今回はウルフ族の討伐だから駆り出されたんだよ〜」

「狼なんですか……?」


 なんでだろう……見えない……

 可愛いからかな?それとも動作がのんびりしてるからかな?


「見えないでしょ~?でも狼なんだよ~」

「狼なのに騎士団ですか……」

「ううん。ボクは騎士団じゃないよ」

「あれ?でも、じゃあなんでここに?」

「ボク、シルトの契約獣だからさ」

「……へ?」


 ヴィスリさんを見ると、頷いている。

 本当のことらしい。

 ……え?でもこれ多分魔力契約だよね?


「ボクが森で死にかけてたところにまだ幼かったシルトが現れてさ~拾われて契約して今に至る」


 拾われてたのか。というか死にかけてたのか。

 もしかして魔力契約行ってる獣ってみんな死にかけてたんじゃないのか?

 コガネもそうだったよね?


「まあ、そんなわけでボクはアオイちゃんに過剰反応したりしないから安心してね~」

「はい、分かりました」

「あ、コガネ君はシルトと行ってね〜討伐隊はそっちにいるから〜」

「分かった」


 なるほど。コガネ君とは別行動か。

 まあ、私を安全に運ぼうと思ったらそうなるわな。


「よろしくお願いします。ファルさん」

「うん。よろしくね〜ボクたちは真ん中の馬車だよ〜アオイちゃんを狙うであろうウルフ族を周りの馬車で待機する討伐隊が刈り取るらしいよ〜」

「なるほど。効率がいいですね」

「そうだね〜でも、なんでアオイちゃんはこんなに魔力が特殊なのかな〜?」


 そんなに特殊なのか。

 ……特殊か。異世界人でレア5のオリジナルスキル持ちだもんな。

 ファルさんに案内された馬車に乗り込みつつそんなことを考える。


「ところで、コガネ君はアオイちゃんの契約獣なんだよね?」

「はい。そうです」

「でもさ、コガネ君って白キツネだよね?」

「へっ!?えっ!?ふぇ!?」

「あれ?違った?」

「い、いや、そう、なんですけど……」

「あ、大丈夫大丈夫。シルトには言わないから」

「あ、ありがとうございます……」


 なんで分かったんだ?

 氷狼って言ってたけどそれも関係あるのか?

 それともコガネもが自分で教えたのか?


「なんで分かったかネタばらししようか?」

「お願いします」

「ボク、昔白キツネと暮らしてたんだ。だから、魔力の感じとかで分かるんだよ」

「へぇ……キツネと狼の共存……」

「どっちも神獣だからね~そんなに不思議じゃないかもよ?」

「……神獣なんですか」

「そうだよ〜白キツネも氷狼も神獣なんだよ〜知られてはいないけど」

「ヴィスリさんって、結構有名人だったりしますか?神獣のテイムって……」

「いや、ただの騎士団第一部隊隊長だよ。ボクが水狼ってことは騎士団のみんなも知らないし」


 やっぱりそこは隠しておくのか。

 でも、契約獣自身が堂々と言っちゃってるけどいいのだろうか。


「でもなんでだろうな~アオイちゃんには言っても大丈夫って感じがするんだよな〜」

「あー……なんか、私動物に好かれる体質らしいんですよね……」


 嘘は行ってない。嘘は。

 ただちょっと言葉を抜かしただけだ。

『動物に好かれる体質のオリジナルスキルを持っているらしい』という文を略しただけだ。


「なるほどね~道理で一緒にいて安心するわけだ」

「そんなに安心しますか?」

「うん。ただ頼りがいはなさそう」

「戦闘能力皆無ですから」

「そっか〜そうだろうな〜。あ、そろそろ生息域に入るよ〜気をつけてね」

「りょ、了解です」


 ちなみに、サクラはコガネ君のところに、モエギは副隊長さんのところにいる。

 2羽とも情報交換に活躍する……予定だ。

 とりあえずコガネ君は2羽と会話できるし、まあどうにかなるだろう。

 主が同じ契約獣は意思の疎通が出来るそうだ。

 ただし魔力契約に限る。


「おや、来たかな?」


 ファルさんがそう言った次の瞬間、狼の雄叫びが響いた。


「うひゃぁ!」

「大丈夫だよ〜」


 ファルさんに抱きつくと、頭を撫でられた。

 なんか落ち着く。なんでだろ?


「何体いるのか確認してみようか」

「はい」


 ファルさんにくっついたまま窓に近づき、開ける。

 窓の外には騎士団の皆様と、約25体くらいのカラフルな狼たち。

 ……多くね?てかなんでカラフルなん?


「わあ、紫狼がいるや。シルトも大変な仕事押し付けられたな~」

「紫狼?」

「あの紫のやつ。ウルフ族は魔力の量によって毛の色が変わるんだよ」

「へぇ……紫狼って強いんですか?」

「上から3番目かな」

「……つおい……」


 大丈夫かな……?

 と、思っていたら紫狼さんと目があった。

 ……悪い予感しかしないと言うか、これまで目があった魔獣やら魔物やらに襲われなかった記憶がないと言うか。

 とりあえず、


「ファルさん!あいつ間違いなく私をロックオンしましたよ!?」

「なーるほど。こうしておびき寄せてコガネ君とシルトが2人で倒す作戦か〜」

「のんびり言ってる場合ですか!?」

「大丈夫だよ~自分の契約獣を信じなさい」


 そりゃ、コガネもは強いけども。

 でも、心配なのは変わらない。

 ……言ってても仕方ないか。

 もうこうなったら観戦と洒落こみますかな!!(ヤケクソ)

ウルフ族の毛の色~上から順に~


金狼→銀狼→紫狼→赤狼→青狼→黄狼→緑狼→茶狼


です。

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