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40,Q嬉しそうですね。Aだってあの作者さんですよ!?

「え?ん?ええ!?」

「落ち着け〜」

「へ?いや、え??」

「大丈夫?理解追いついてる?」

「お、おお追いついてないです!」

「だよね〜」


 レヨンさんはお茶を飲みながら笑っている。

 嘘だよ☆とか言ってくれないかな。


「だが残念。本当の事なんだな〜これが」

「えええ!!」

「まだ驚くか」

「驚きますよ!!だって私、この本通してこの世界のこと認識してたんですよ!?」

「うん。その使い方が正しいよ。この本、異世界人の為に書いた本だから」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ〜私がこの世界に来た時に何にも分かんなくて苦労したからさ〜無いのなら自分で分かりやすくまとめた本を書いてしまおう!と」

「思って、書いちゃったんですか」

「書いちゃったんです」


 凄い思考回路。

 普通書こうと思わないだろ。

 もしかして日本にいた時も作家さんだったのかな?


「いやあ、書いたこと無かったけど、案外書けるもんだね〜」

「書いたこと無かったんかい!?」

「無かった無かった。これがデビュー作」

「マジかぁぁ!!」

「完全な自己満足と趣味で書いたのに結構売れてさ〜しかもシリーズ化するし。このシリーズでかなり稼いだな」

「自己満と趣味……」

「しかも自家出版ね」

「え!?」

「この世界出版社とか無いからね〜」


 言われてみれば、この世界の本って出版社書いてないな。

 なるほど。出版社自体ないのか。


「……あれ?本出すのって、結構お金かかるんじゃ……」

「普通は1冊1冊手書きだからね」

「レヨンさんは違うんですか?」

「私はうっすい鉄板に文字彫って刷った」

「原始的……」

「この世界ではかなり驚かれたけどね」

「この世界バランス悪く無いですか?」

「悪いね〜武器とか装備の質は良いのにね〜」

「文明的なところですか……」

「まあ、仕方ないっちゃ仕方ない」

「魔物とか魔獣とかいますしね」


 というか、鉄板ってそんな簡単に彫れるものなの?

 うっすい鉄板って言っても……あれ?もしかして逆文字で彫ったのかな?だとしたらレヨンさんすげぇ


「ちなみにどうやって彫ったんですか?」

「私を拾ってくれたエルフにお願いして彫る用のペンに魔法かけてもらって彫った」

「エルフさん!!」

「保護者がある種チートだったんだよね」

「私の保護者もチート並になんでも知ってます!」

「何だろうねぇ。異世界人の保護者はチート性能って決まりなのかねぇ」

「だとしたら神様過保護じゃないですか?」

「そうだねぇ。神様が転移場所決めてるとしたら過保護だね。かなり」

「……あれ?そう言えばそのエルフさんは……」


 レヨンさんは若いから、エルフなら生きてるだろう。


「いないよ。数十年前に死んじゃった」

「……え?」

「話すと長くなるけど、いい?」

「はい」


「まず前提として、エルフは長生きで、人より回復力も高いけど、不死身とかじゃないんだよ。急所は人と同じだし、そこを攻撃されれば一溜りも無い。

 まあ、それは一旦置いといて、数十年前にこの国に現れた魔獣の話をしようか。

 その頃は私もまだ普通の人間でね、髪も黒かったんだよ。もちろん目も。今はどっちもハニーブラウンだけども。


 ……で、まあ、その頃私も異世界生活に慣れてきた頃でね〜その日も、いつも通り鉄板彫りつつ保護者であるエルフさんとのんびり喋ってたんだよ。

 そしたら突然、窓の外が暗くなってさ。外に出てみたら、闇の塊みたいなのが上に浮かんでいるわけよ。

 そいつが街を破壊し始めてさ。

 うちのエルフさんはこれはヤバイ奴だって判断を下して、逃げることにしたんだけどね。

 なんせエルフと異世界人だから。気配が特殊なんだよね。

 まあ、私はアオイちゃんみたいに狙われる体質ではないから普段は平気なんだけど、その魔獣……かどうかも分かんないそいつはさ、私とバキア……エルフさんを狙ってたんだよね。


 今考えてみれば、エルフの魔力の強さか、私のオリジナルスキルか……もしくは両方に、釣られてたんだと思うよ。

 そんな訳で、狙われた私達は逃げるんだけど、なにせ相手は生物かどうかも分かんないからさ。

 逃げても逃げても引き離せないんだよ。

 最終的には攻撃くらって、防御力の弱い私が死にかけたんだよね。

 エルフさんはそんな私を庇うもんだから二人して死にかけて……バカだよねぇ……私なんてほっといて逃げれば良かったのに。

 そこからは良く覚えて無いんだよね。なんせ死にかけて意識が朦朧としてたし。

 覚えてるのは、なぜかその闇の塊が消えてて、バキアが私に自分の血を飲ませてた事だけ。


 バキアは、エルフの中でもかなり魔力の強い種類で、その血にもかなり強い魔力が宿ってたんだよね。

 私の種族を、人間から中途半端なエルフに変えるくらいの魔力がさ。

 その魔力のお陰で私はこうして10代の外見を保って90年近く生きて、のんびり本を書いてるわけなんですが……酷いよね。みんな、私より早く死んでいく。

 バキアだって、その苦しみは知ってた筈なのにさ。

 最後に言った言葉が「生きろ」じゃ、死ぬに死ねないよ」


 レヨンさんは悲しそうな顔をしていた。

 話の中でエルフさんの名前を呼ぶ時、すごく愛おしそうに呼ぶ。

 多分、恋仲だったりしたんだろうな。

 それと、もう一つ気になった事が。


「レヨンさんって、オリジナルスキル持ちだったんですか?」

「あれ?アオイちゃん知らない?別の世界から来た人間は、全員オリジナルスキル持ちなんだよ」

「え?それじゃあ……」

「うん。アオイちゃんもオリジナルスキル持ちだと思うよ。調べてみる?」

「調べられるんですか?」

「私は3分の1エルフだからね。ちょっとした魔法なら使えるんだ」

「へぇ〜……ちなみに、レヨンさんのはどんなスキルなんですか?」

「『ライター』分かりやすく言って、色んな情報が集まりやすいって、スキルだね」

「……あ、もしかして【世界とは何か】って……」

「うん。スキルをフル活用したシリーズだね」


 やっぱり。凄い情報量だったもんな。あのシリーズ。


「で、どうする?アオイちゃん」

「やりたいです!調べたいです!」

「了解。じゃあ、部屋移動しようか」

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