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03,Q異世界の言語は何ですか?A日本語でした。

「葵ちゃん葵ちゃん」

「なーにーヒエンさん」

「葵ちゃんの名前、漢字表記は世界観に合わないからこの回からカタカナ表記に変更ね」

「えーそりゃないよヒエンさーん」

「文句なら自分で説明するのはなんか怖いからって説明を私たちに丸投げした作者に言って頂戴」


というわけで、表記が変わります。

ごめんね、アオイちゃん……

 アオイは衣食住の安定を手に入れた。

 そんな脳内アナウンスが聞こえる。

 レベルがUPした感じの音楽と共に。


「そうと決まれば一旦お店を閉めましょ」


 ヒエンさんはパンッと手を叩いてイスから降りる。

 そしてカウンターから出てくる。


「ヒエンさん、お店閉めるの?」

「ええ。一旦閉めて、アオイちゃんの支度が終わったらまた開けましょう」

「支度?」

「着替えたり、部屋に案内したり」


 着替えるのか。だがまあ、確かにこの服は目立つ。

 日本にいれば普通の制服なのだが、この世界では悪目立ちする。

 さっき街の中を歩いていた時に実感した。


「でもヒエンさん、私替えの服なんてもってないよ」

「大丈夫よ。店の制服を渡すから」

「店の?どんな?」

「今私が着てるのと同じよ」


 ヒエンさんが着てるのは、白のブラウスにサロペットっていうんだっけ?そんな感じの胸当てのついたスカートにブーツだ。

 とても可愛い。


 ヒエンさんが着るとオシャレ。

 きゃーすごーいお人形さんみた〜い


 だがそれと私が似合うかは別問題だ。

 似合うわけがない。

 日本人形にフランス人形の服を着せたみたくなるに決まっている。

 和と洋がお互いにお互いを邪魔しあっている。

 合わせちゃいけない。


 そんなことを言ってるうちにヒエンさんは看板をしまってopenの札をひっくり返している。


「さ、アオイちゃん、いらっしゃい」

「はーい」


 カウンターの中を通って奥の扉を開けているヒエンさんにトコトコとついていく。

 扉をくぐったヒエンさんの後に続いて隣の部屋に入ると、そこは台所だった。

 大きめのテーブルもある。


 目の前からヒエンさんがいなくなったので周りを見渡すと、ヒエンさんは横に曲がって階段を上がっていた。


 階段を上がると、扉が3つあった。階段の横に1つ、階段の正面に2つ。

 ヒエンさんは正面の、左側の扉を軽くノックしながら言う。


「ここがアオイちゃんの部屋ね」


 近づいて中を覗くと、ベッドと机とイスとクローゼットが置いてある5畳ほどの部屋だった。


「ごめんなさいね。狭くって。この建物、家より店に重点を置いて作られたからどの部屋もこんな感じなのよ」

「あ、いえいえ、ベッドで寝られるだけありがたいです」


 そう?と言いながら、ヒエンさんはいつ手に取ったのかヒエンさんが着てるものと同じ服を渡してくる。


「着替え終わったら降りてきてね。あ、クローゼットとかは勝手に使っていいわよ。中に寝間着もはいってるから」

「はーい」


 扉が閉まり、部屋の中に1人になる。

 渡された制服を広げてみると、余計に自分が着てはいけない代物に思えてくる。


 だがグズグズしてもいられない。

 私は仕方なく着替え始めた。


 着替え終わった、のだが、鏡がないのでどんな感じか分からない。ま、ちんちくりんだろう。

 脱いだ学校の制服をハンガーにかけてクローゼットにしまい、部屋を出て階段を降りる。


「あらアオイちゃん、似合ってる似合ってる」

「ヒエンさん、お世辞なんて言わなくていいんだよ」

「お世辞なんて面倒くさいこといわないわよ」


 階段を降りるとヒエンさんがテーブルに向かって何か書いていた。


「さてと。アオイちゃんの支度も整ったし、お店を再開しましょ」


 言いながらカラカラと笑って立ち上がる。

 そのまま店に繋がる扉を潜る。

 ヒエンさんを追いかけて店に入ると、ヒエンさんは棚に先ほどまで書いていた紙を置いていた。


「ヒエンさん、それなーに?」

「商品の名前と値段よ。明日から店番するのに分からなかったら困るでしょ?」

「明日から店番なの!?」

「私は隣の部屋にいるから、分からなかったら聞いてくれていいわよ」


 紙を置き終えたヒエンさんは一冊の本を渡してきた。

 タイトルは【世界とは何か】

 ……重っ!タイトル重っ!


「ヒエンさん、これは……?」

「その本読んどけばこの世界のことだいたい分かるわよ」

「えっすげぇ!この作者すげぇ!」

「タイトルのわりに読みやすいよ。その作者の本」

「ところでヒエンさん、字、読めるかな?」

「読めるわよ〜日本語と同じだもの。というかタイトル読めてんじゃん」


 ……確かに。

 てか、日本語と同じなんだ。

 異世界語って、なんかこう、グニャグニャしてるイメージあったんだけど。


「今日はその本読みながら、仕事の内容見てるだけでいいから」


 表に看板を出して再び札をopenにしたヒエンさんに言われ、促されてカウンターの内側のイスに座る。

 ちなみにカウンターの内側にはイスが2つあった。


 読書は苦手でござります。

 でも頑張るでござります。


 私は、タイトルのわりに読みやすいらしい【世界とは何か】を開いた。

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