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37,Qいましたか?Aデカイのがいました。

 移動で死にそうな思いをしながらコガネ君にくっつくこと約5秒。

 ……コガネ君、足速いネ。

 とまあ、一瞬現実逃避をしたりしながら前を見ると、そこにはでっかい生き物……なのかな?あれは。

 とにかく、生き物かどうか分からない岩の塊みたいなのがいた。


「あら、岩竜ね」

「弱小型か。小さいな」

「とりあえず、いつも通りでいいんだよね?」

「ええ。それじゃ、始めるわよ」


 クリソべリルの方々は短い会話の後、それぞれの武器を構える。

 ……え?これで小さいの?

 嘘だろ。2、3メートルはあるぞこれ。

 というか普通に戦っちゃうのか。

 何の躊躇いもなく斬りかかって行くアヤメさんを見ながら少しだけ驚く。

 まあ、アヤメさんなら何でもありな感じするけど。


 そんなアヤメさんは少し長めで薄めの剣を右手で持ち左手には数本のピックを構えていた。

 岩竜と言うらしい岩の塊に走り寄りながら左手を振りかぶり、手の中のピックを飛ばす。

 それがうまい具合に岩と岩の間に入ったようだ。

 予めピックに付けていた糸を両手で掴み、岩竜の身体を駆け上がる。


 その間にジェードさんが弓を構えて狙いを定める。

 アヤメさんが岩竜の上に着地した瞬間、ギリギリまで絞られた矢が放たれ、小さな凹みに入り込んだ。

 その矢が当たった直後、岩竜が暴れ始めた。

 それはまるで藻掻くようで、なんとも痛々しい。

 思わずコガネの服を掴むと、コガネは私をあやすように一定のリズムで背中を軽く叩いてくる。


「コガネ、あれって……」

「あの矢が当たったところが岩竜の目だ」

「あー……やっぱり」


 そりゃあ、痛いだろうな。

 目を貫かれる訳だから。

 でもまあ、私はが応援すべきはクリソべリルなわけですから。同情するのはここまでにしますか。


「……アヤメさん、大丈夫かな?」

「大丈夫だろうな。あの人は振り落とされそうにないから」

「確かに……」


 岩竜は身体をよじって動きまわっているが、アヤメさんは振り落とされる気配がない。

 左手でピックと繋がった糸を掴み、右手は正確に岩と岩の間を切り続けている。

 もはや職人技というか神技。

 ……あれ?そういやモクランさんが見当たらない。

 どこに行かれたのか……


 思った直後、岩竜の身体がグラリと傾げた。

 まるで、見えない巨大な手に押されたかのように。

 まあ、多分そうなんだろうけど。

 岩竜の右側にモクランさんがいた。

 ハ○ー・ポ○ターに出てきそうな杖を右手に持っている。

 それを軽く振ると、岩竜の巨大な身体が傾ぐのだ。

 どんな威力だよ、おい。


「風系の魔法だな……」

「……風魔法って、こんなに強いもんなの?」

「いや、あの人が異常……」

「さいですか……」


 モクランさんの異常性……あ、でもハーフエルフだしこれで普通なのかな?

 ちなみにアヤメさんはこれでも余裕で剣を振るっています。この人もこの人で異常。

 そう思ったところで、ジェードさんの矢(2本目)が岩竜の逆の目にクリーンヒット。

 なるほど。クリソべリルがおかしいのか。

 あ、岩が1枚剥がれた。

 ちなみにアヤメさんが攻撃してた岩でござります。

 うん。異常。


 そんなこんなで異常な強さを誇るクリソべリルの方々の攻撃を受け続けた可哀想な岩竜は、10分後には身体に付いている岩が3分の1ほど剥がされ、両目にそれぞれ3本ずつ矢が刺さり、身体の至るところに突風による凹みが出来るというなんとも無残な姿になっていた。でもまだ生きてる。

 すごいな。この生命力。私からしてみれば、ここまでフルボッコにされても死ねないほうが可哀想に感じるのだけれども。

 あ、また1枚岩が剥がれた。


 さらに5分後、岩竜討伐終了。

 コガネに聞いてみたら、いくら弱小型とはいえ3人だけで、しかも15分程度で倒すのは異常すぎるということだった。

 やっぱりクリソべリルは異常のようだ。

 さすがは大陸最強パーティー。

 なんかもうクリソべリルが勇者とかでもいい気がするのは、きっと私だけじゃない。

 ……そういやラミアから旅立った勇者さんはどうなったのかな?


「アオイちゃん、怪我してない?」

「あの状況で怪我出来たとしたら、それはもはや才能だと思います(キリッ)」

「確かに」

「怪我してないならいいわ。……あ、そうだコガネ君。ちょっと手伝ってくれない?岩竜の体岩を運ぶの。これ、意外と重いのよ」

「分かった」

「これ、馬車に乗るかな……?」

「引きずればいいんじゃない?」


 私は手伝えないな。

 重いらしいし。

 応援とか、しときますか?


「コガネ〜アヤメさ〜ん頑張って〜」

「「可愛い!!」」

「うわあ、2人共急に大声出さないでよ...」

「ジェード、ビックリし過ぎでしょ」

「可愛いわ……なんて可愛いの……天使……これは最早天使よ……」

「アヤメは落ち着いて」


 なんか逆効果だった気がする。

 まあ、いいか。

 とりあえず、私は皆さんの後ろをくっついていこうかな。先に行ったら迷う気がするし。

多分、皆さん思ったと思う…


勇者?ああ、確かに一瞬そんな話が出てきたような…


もしくは…


え?勇者なんて旅立ってたっけ?


と…ちなみに私は勇者さんのことをしっかり忘れてました…

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