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14,Qその本は何ですか?A世界統一認証薬師試験の初級用テキストです。

 ドラゴン襲撃騒動から6日ほどが経った。

 街は、もう完璧と言っていいほどに直ってきている。

 そんな中、クリソベリルが帰ってきた。


「ドラゴンだぁ!?」

「それ、大丈夫だったんですか?」

「まあねぇ〜。よく知らないけど、2体とも討伐されたみたいよ」


 ヒエンさんとリーダーさんとコーラルさん(例のイケメンさん。)が話している。

 ヒエンさんが言うには、ドラゴンが現れたあの日、私と逸れたヒエンさんはそれに気づいた時から私を探していたらしい。

 主に私と行った場所なんかを中心に探していたら、いつの間にかドラゴンが倒されていたんだとか。


 うーむ。やっぱり2体目のドラゴン倒したのはヒエンさんじゃなかったのか。

 よかったよかった。何がどうよかったのかは自分でもちょっと分からないけど。


「へぇ〜コガネちゃんって言うの?確かに目が黄金色ね。可愛いわ〜白髪美少女最高だわ〜」

「でも、主は私の目を見る前に名前つけてた。目は関係ないんじゃないか?」


 カウンターの私の前に座っているアヤメさんと、私の横に座るコガネちゃんがのんびり談笑していた。

 アヤメさんは、店に入ってきた瞬間(「アーオイちゃ〜ん!」と言いながら入ってきた。何事かと思った)コガネちゃんを見て、「増えた!?」と叫んだ。

 いや増えたはないだろ、増えたは。

 そんな事を考えている間にカウンターに座ってた。

 相変わらずの早技だった。


「主!?だれ、誰のこと!?」

「私の横に座ってる」

「アオイちゃん!?アオイちゃんが主なの?どういう意味での主?」

「?主は主だが」


 回想に耽っている間に話が噛み合わなくなっていた。


「アヤメさん、アヤメさん。コガネちゃんは人じゃないのですよ」

「え?そうなの?」

「私はキツネだ」

「へぇ〜キツネ……キツネ目っていうより猫目って感じだけど……」


 アヤメさんはコガネちゃんの瞳をまじまじと見て言った。……確かに猫目っぽい。可愛い。


「……?」


 注目されてる本人は何のことか分かっていないようだったが。


「おい。アヤメ〜行くぞ」

「え、リーダー早くない?もうちょっと……」

「駄目だ。迷惑だろうが。ほら行くぞ」

「えー……しょうがない。またね、アオイちゃん、コガネちゃん」

「さよーならー」

「バイバイ」


 リーダーさんに首根っこを掴まれてアヤメさんが去っていく。

 コガネちゃんと揃って手を振る。


「さて。それじゃ2人とも、お店お願いね」

「はーい」

「分かった」


 ヒエンさんはクリソベリルのお三方を見送ってから作業部屋に戻って行った。

 ヒエンさんはここ数日ずっと作業部屋にいる。


「忙しいのかな……」

「ドラゴンの襲撃でポーションの売れ行きが良いから大量に作ってるんだような」

「そっかー。確かにそうだろうな〜。

 ……というかコガネちゃんさ、前から思ってたけど、しゃべり方もうちょっと女の子風にならないの?」

「……それは、必要か?」

「なんかね、違和感がある」

「……分かった。なら、直す」

「ごめんね〜」


 お詫びに頭を撫でておく。

 撫で始めると気持ちよさそうに目を細めて頭を手に押し付けてくる。……可愛い。

 それにしても柔らかい髪だな。ふわっふわだよ。ついでにサラサラだよ。

 くっそ。良い髪質してやがる……


「主?どうかした?」

「コガネちゃん、髪結ってもいい?」

「うん。別に構わない」

「やったね」


 許可をいただいたので、早速髪ひもを取り出す。

 ……取り出す、というか外す。

 この前ヒエンさんに一本貰ったのを使わないので腕に装着していたのだ!

 それをカウンターに置いて、コガネちゃんの髪に手を入れる。


 どうしよっかな〜ポニーテールより下で結んだ方が似合いそうだな〜。あ!ハーフアップという手があるではないか!それがいい。そうしよう。


 脳内会議を終了してコガネちゃんの髪の耳から上を回収する。

 結ぶ位置は右寄りで。

 ……髪飾り、欲しいな。コガネちゃんに付けたい。


「はい、でーきた」

「ありがとう、主」


 振り向いたコガネちゃんが何とも可愛い。

 胸の下あたりまである髪をちょっといじっただけなのに、すごく雰囲気が変わる。

 可愛いことに変わりはないけどね☆

 それはそうと、だ。


「コガネちゃん、ちょっとだけ店番お願いしてもいい?」

「うん。いいよ」

「ありがと〜10分しないで戻ってくるからね!」


 やっぱりヒエンさんが気になる。

 コガネちゃんの髪をいじっていても完全に紛れはしなかった。(少しは紛れた。)

 そんな訳で作業部屋の扉を開ける。


「ヒエンさ〜ん」

「あら、何か足りなくなった?」


 ヒエンさんはナベをグルグルかき混ぜているところだった。


「ううん、そうじゃ無いんだけど、大変そうだからなんか手伝えないかなって」

「あら嬉しい。でも、一応資格が必要なのよ。ポーション売るにも」

「そうなの?」

「必ず必要ってわけじゃないけどね。やっぱり資格を持ってる人が作ってる店の方が安心でしょ?」

「なるほど……」


 つまり手伝えないようだ。

 いやはや、悲しい限りです。


「……そうだ。アオイちゃん、資格、取ってみる?」

「……え?」

「薬師の資格。アオイちゃんが取ってくれれば作業効率がぐんと上がるわ」

「それ、取れるものなの……?」

「ちょっと勉強すれば大丈夫よ」


 うむ。勉強か。

 ……勉強は、苦手でござります……(汗)

 だがまあ、それでヒエンさんの役に立てるなら頑張ってみようかな。

 お世話になってますしね!


「ヒエンさん、私頑張る!頑張って資格取るよ!」

「ありがとうアオイちゃん。基本的な資格は基礎が出来てれば取れるから頑張って」

「うん!で、どうすればいいの?」

「そうね、とりあえず、その本を読んどいてくれる?詳しいことはお店を閉めてから」


 棚からヒエンさんの指差した本を取り出す。

 そして意気揚々とお店に戻る。


「主、その本、なに?」

「これを読んどかなければいけなくなったのです」

「そうなの?」

「うん。コガネちゃん、私頑張るよ」

「そっか。頑張って」


 ガッツポーズを作ってコガネちゃんに宣言したら、コガネちゃんもガッツポーズで返してくれた。

 相変わらずノリがいい。

 いやあ、ノリが完璧で可愛いとか、最強じゃないですか?

 少ない頭の容量をくだらないことに使いながらカウンター内側のいつものイスに座る。

 そして手に持った本をカウンターに置く。


 タイトルは【世界統一認証薬師試験初級用テキスト】

 ……なんか、すごく難しそうなんですが……ヒエンさん?もしかして基礎がすごくめんどくさいやつなんじゃないですか?これ。

 うわぁ、頑張れないかもしれない。


 いやいや、私は出来る子だ。やれば出来る。そう、アイキャンドゥーイット!

 ……あ、駄目だ。出来ない気がする。1ページ目で心が折れそう。


「主は面白いね。まばたきする一瞬で表情が変わる」


 ああああ、これ駄目だ。基本テストの点数が赤点の5点上の人間が手を出していい問題じゃない。

 ……あれ、コガネちゃんなんか言った?


 そんなこんなで、世界統一認証薬師試験へ向けての勉強を始めました。

 ……これ、もはや暗号の域で難しいんだけど。

世界統一認証薬師試験って、何でしょうね。

なんかすごくめんどくさそうです。

……アオイちゃんファイト!

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