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おまけ1,253年と4か月16日

「いいいやややだぁぁぁ!!!」


 綺麗な青空に、ヒエンさんの絶叫が響いていた。

 現在位置、空である。

 うーん。怖い。


 魔王を倒して、それぞれが歩き出そう、といい感じになった魔王の間で、コガネが一言

「キマイラ、行かないとな」

 と言ったのが、この騒動の始まりだった。


 キマイラと聞いて、先代勇者パーティーは一瞬でヒエンさんを囲み、逃げないように捕まえて連行した。

 多分、一旦忘れてたんだろうな……

 そんなわけで、簀巻きにされたヒエンさんはレノさんの小脇に抱えられ、私はコガネ君に横抱きにされてキマイラ上空まで来ていた。


 ちなみに、国造りメンバーは同行していない。

 これから忙しくなるんだって。

 どうなったか教えて、とは言ってたから、気にはなってるみたいだけど。


「諦めろ」

「往生際が悪いぞー」

「足掻くに決まってんだろ!!!はなせぇぇ!!」


 ジタバタ、というより、ビッタンビッタンというほうが似合う動きをしているヒエンさんを眺めつつ、コガネに話しかける。


「お師匠さんはどんな人なの?」

「エルフだ。とても優しく、思慮深い。店主が師匠でよくこうなったな、と思わないでもない」

「そっか」


 コガネがさらっとヒエンさんをディスってるでござる。

 でもまあ、今の簀巻き状態みたらそうなるか……

 ヒエンさんのあの動き、ツボにはまりそうなんだよね。

 かなり面白い。元が美人だから、なんか余計に面白い。


「さあ、着くよー」

「おろせぇぇ!!」

「そこ、右だ。見えた、あの奥の家だ」

「コガネ君やめて!?」


 慈悲はなかった。

 コガネの適切なナビゲートのおかげで、コガネのお師匠で錬金王の弟子であるエルフさんの家の前に、最短距離で着いてしまった。


「さてウィル、この状態で家の中に投げ込まれるのと、自分でちゃんと扉を開くの、どっちがいい?」

「あ、逃げようとしたら速攻投げ込むからね」

「お前らほんと鬼かよ……」


 ヒエンさんは抵抗をやめて、ぐでんと力を抜いた。

 そして拘束が解かれ、勇者さんたちは少し離れたところから観察を始めた。

 ヒエンさんも、流石に腹をくくったらしい。

 ため息を吐いて、扉をノックした。


 少しして扉が開き、出てきたのはエルフの男の人。

 うーん、美人。やっぱりエルフ美人だな。

 そんな美人な人は、目の前に立っているヒエンさんをみて、固まった。


「あー……えっと……なんだ、久しぶり、だな」


 珍しくどもるヒエンさんに、エルフさんはしばらく信じられないというような目を向けた後、確かめるように手を握った。


「……253年と4か月16日ぶりですね、師匠」

「細かいな」

「今数えました」

「そうか。……いつまで握ってるんだ?」

「今離したら、また250年ちょっと会えなくなるかと思いまして」

「……私の記憶の中の弟子は、もっと素直だったんだがなぁ……」

「待ち焦がれすぎてひねくれました」


 そんな会話をする2人を見て、勇者さんたちは満足そうに去って行く。

 私たちも行った方がいいな。

 253年と……数か月ぶりの再会だし、水入らずで、ね。


「よし、サクラとモエギを迎えに行こうか」

「ああ」

やっと会いに行きましたね。

今後はちょこちょこ弟子さんが遊びに来るんだと思います。

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