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135,Q明かされましたね。A…そういえば貴方誰です?

 目を閉じて待っていると、魔法陣が強く光り始めた。

 それが収まってから目を開けると、私の前に1枚の紙が落ちてくるところだった。

 横から覗いてくるヒエンさんにも見えるように紙を広げる。


<オリジナルスキル有り


 スキル名・愛しき代行者


 スキル内容・神の愛し子にして代行者。神の力を継ぎ、揮うことが許されたもの。


 魔力・10>


「……へぁ?」

「まあ、こういうことだよね」

「なんですか、魔力10って……」

「文字通り神に愛された者。もしくは神そのもの」


 当然のように言うヒエンさんを見上げて、よく分からなかったのでイセルアさんに目を向ける。

 なぜか頷かれた。その頷きは何ですか。いや、私何も分かってないですからね?


「君は、本来そのスキルを持って生まれ、その力を揮うはずだった。だが、その力は強大すぎる。魔物に狙われ、人から恐れられもしただろう。だから、正しく力を揮うことが出来るようになるまで、魔法の無い世界に避難してもらっていた」

「それが、日本ですか」

「ああ。地球という世界の、日本という国の事はよく知っていたからな」

「行き方が伝わってるんでしたっけ?」

「いや、出身者がいるんだ。ここに」


 ……ここにって、勇者さんたちの中にってこと?

 異世界転移で勇者とか正しくファンタジーの主人公じゃん……

 ところでどなた……?


「もうしっかり覚えてはいないけどね。こっちで過ごした時間の方がずっと長いし」

「えっと、桜花さん」

「モアでいいわ。アオイさんはこっちに来ても髪と目の色が変わらないのね」

「そういえばそうですね。モアさんは変わったんですか?」

「ええ。髪は元からこんな色だったけど、目は大分変ったわね」


 モアさんの髪は濃い茶色、目は薄桃色だ。

 うーん、いい組み合わせ。ずっと眺めてられる。

 私が見惚れている後ろで、ヒエンさんとリーンさんが何やらヒソヒソしていた。


「おい、見ろレプ。あのモアが初手デレたぞ……」

「なんてこった……ツン7割デレ3割のツンデレなのに……」

「さすがアオイちゃん、人たらし……」

「同郷だからなのか?私たちには滅多に見せてくれない微笑みを惜しみなく……」


 ヒソヒソ、ヒソヒソ……

 聞こえてるけどね?私に聞こえるってことは、モアさんにも聞こえてるからね?

 ほら、モアさん鞭構えてる……


「……ごめんて」

「悪気はなかったんだって」

「うるさい」


 鋭く振るわれた鞭を2人はかわして、そのまま移動して戦闘が始まった。

 まあ、じゃれてるって感じだけど。


「あれは無視していい。……アル、しばらくしたら止めてくれ」

「分かった」


 イセルアさんは慣れた様子で放置した。

 いつもの事、なのかな?ヒエンさん人の事からかうの好きだもんね。


「……さて、こちらの説明は大体終わったが、質問とかはあるかな?」

「えっと……循環の破壊とか言われても、私何も分からないんですけど……」

「時は満ちている。大丈夫、必要になれば分かる」


 ……またそれですか。まあ、そう言うほかないんだろうな。

 私が使えるらしい力は、多分私にしか分からない。

 今は私が理解できてないから、だれにも分からない状態だ。


「……うーん……あ、魔王さんが復活したとして、私このままだと即死したりしないですか?」

「魔法使い総出で守る予定だ」

「お手数おかけします……」

「いや、こちらが巻き込んでいるわけだからな……」


 なんだかお互いに申し訳なくなってきているようだ。

 神の力うんぬん言われても私の耐久度が底辺なのに変わりはないからね……

 あと聞いておくことは……


 考えていると、何やらよく知る魔力が近づいてきていることに気が付いた。

 ……二種類混ざってる。両方知ってる。

 あ。これ、めっちゃ怒ってるな……


「……ヒエンさん、天罰って下るんですねぇ……」

「え、どうした急に?……あ」


 モアさんとじゃれていたヒエンさんに声をかけると、言われて気付いたのか引きつった笑みを浮かべた。

 そして、動きを止めたヒエンさんに白い物体が思いっきりぶつかった。


「いってぇ!?」

「……天罰」


 飛んできた勢いそのままヒエンさんにドロップキックをかましたコガネは、のけ反ったヒエンさんに無表情で詰め寄る。


「言い訳は?」

「……説明する時間がなかった……」

「ここでゆっくりおしゃべりする時間はあるのにか?」

「……ごめんなさい」


 うーん、ギルティ。

 コガネは無表情のまま拳を構える。

 それを見て、ヒエンさんは流石に慌てて止めにかかった。


「ちょ、流石に神獣本気の1撃は痛すぎるって!」

「甘んじて受けろ」

「ごめんて、もうしないって!」


 ヒエンさんが本気で焦ってる。珍しい。

 まあ、コガネマジおこだし、ヒソクの魔力も上乗せされてるもんね。

 流石に止めた方がいいかな。


「コガネ、コガネストップ」

「……1発だけ……」

「どんだけ殴りたいの!?」

「どれだけ心配したと?」


 ……1発くらい許される気がしてきた。

 そもそも原因はヒエンさんだし。


「……あれ、サクラとモエギは?」

「流石に連れてくるわけにはいかなかったからな。レヨンの所に行かせた」

「そっか。帰ったら迎えに行かないとね」

「ああ。そのついでに師匠の所に店主を連行しよう」

「何で知ってんの!?」

「師匠から聞いた。会いたがってたぞ」

「うああああ……」


 ヒエンさんが唸り始めた。

 もう逃れられないことを悟ったらしい。

 ……それでも会い難いのか。


「もう諦めて会いに行きましょうよ」

「……250年ぶりなんだって」

「それ、時間が経つごとに会いにくくなるやつじゃないですか」


 ヒエンさんは唸りながら頭を抱えた。

 ……何でコガネは満足そうなの?Sなの?


「……ん。来た」


 突然、神速の聖剣……アルさんがそう言って立ち上がった。

 それに反応して、モアさんが近くに寄る。


「出迎えてきてくれ。この状況じゃ、戸惑っているだろうからな」

「分かった」

「入口に居るのよね?」

「ああ」


 2人はイセルアさんに言われて、部屋から出て行った。

 ……誰が来たんだろ?流石に魔王さんじゃないみたいだけど……


「勇者だろうな」

「え?勇者さんはここに……あ。ケイさんたちか!」

「ああ。今は向こうが正式な勇者だからな」

「イセルアさんたちも正式な勇者じゃないですか……」


 ケイさんたちがここに来て、循環の破壊に必要な鍵が揃う……んだよね?

 コガネはどこまで知ってるんだろう。

 ……じー……


「……俺は特に何も知らないぞ」

「そうなの?」

「ああ。主が何者であれ、主なことに変わりはないからな。正直若干どうでもいい」

「雑じゃない?」

「そうかもな。まあ、必要があるなら分かることだ」

「その言い回し流行ってるの……?」

「神がよく使っていたんだそうだ。それでだろうな」


 うーん、神っているんだなぁ……実感わかないけど。

 色々実感がわかな過ぎて、何に実感がわくのか分からなくなってきた。

 そもそも実感ってなんだ……?


 なんだかおかしな方向に回り始めた頭を正常に戻そうとしている間に、アルさんとモアさんが戻ってきた。

 後ろに当代勇者、ケイさんたちを引き連れて。

 ……勇者が勇者を連れてきた。なんかすごいな。


「あ、アオイさん!?」

「どうも、数日ぶりです」


 そりゃそうよねー。驚くよねー。

 今から魔王と決戦だって言うのに、こんなに弱っちいのがここに居るんだもんね。


「……勇者だったんですか?」

「違います!断じて違います!!」


 何やらおかしな勘違いをされそうになってたぞ!?

 何でそうなったんだ!?さてはケイさん混乱してるな!?


「さて、残念だが、のんびり話している時間はなさそうだな」


 イセルアさんがこ混乱しているケイさんの肩を叩いて、座るように促した。

 当代勇者たちが、先代勇者から何かの説明をされている間に、私は魔王の間を少し探索させてもらった。

 なるべく被害を受けにくい場所に居るためだ。


「ここは魔力が薄いな」

「ああ、そこ、元は柱があったんだ。その影響かも」


 まあ、私が居る場所を決めるのはコガネで、私は物珍しそうにキョロキョロしてるだけなんだけどね。

 説明をしてくれてるのはレノさん。一応魔王だし、魔王城の構造には詳しいから、と案内役を買って出てくれた。


「こっちは、何かあったのか?」

「あーそこは僕らの所為かも。そこにセザが陣を敷いてたんだよね」

「なるほどな……使ってもいいか?」

「もちろん」


 どうやら場所が決まったらしい。

 レノさんが軽く魔力を込めると、床がきれいに掃除されて敷物が敷かれた。


「うん。これでよし」

「豪華すぎませんか?」

「魔王の魔力って強力だからね。最悪倒れこめるように」

「……ありがとうございます」


 とってもありがたい気遣いだった。

 敷物すごいフカフカ。

 そんなことをしている間に、ケイさんたちの話し合いも終わったらしい。

 全員が魔王の間に出てきて、位置取りの確認を始めた。

 ……始まっちゃうかぁ……

次が最終話になりました。

ちなみに、Qは月花羊さんが言っているという全く役に立たない設定があったりなかったりします。

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