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幕間 神を纏うは桜の花

 夜の風を受け、髪がなびいた。

 高い崖の上に座った男は、肩にかけられた羽織を手で押さえ、遠くを眺めていた。

 はるか遠くに見える明かりは、文明があることを表している。

 フッとため息を吐いた男は後ろから近付いてきた女に話しかける。


「なあ、モア。あとどのくらいだろうな?」

「もうすぐって、ウィルが言ってたわよ」

「ウィルのもうすぐにはムラがあるからな……」


 そんな話をしながら、文明の明かりを眺める。

 もう深く関わることの出来ないその明かりは、懐かしさと寂しさを同時に連れてくる。

 ウィルは今でも人と深く関わることを選んだが、ウィルの選択は少数派だった。

 9人の仲間のうち、7人は人との関わりを絶つ道を選んだ。

 人と関わることを選んだのはレプも同じだが、レプは森の中に家を建て、深くは関わろうとしなかった。


「……ウィルは、寂しかったりしないんかねぇ……」

「なに、急に」

「いや、俺らは人じゃなくなったから、人を見てると寂しくならね?ウィルは大丈夫なんかなって」

「相変わらず喋るの下手ね。ウィルは、それも含めて人との関わりを楽しんでるのよ」


 ふと疑問に思ったことで仲間を心配した男に、女は軽い毒を吐きつつ答える。

 本当は時々弱音を吐いているのを知っているが、それを言えば仲間思いな男が何を言い出すか分からない。


「全然会ってねえな~」

「そうね。でも、もうすぐ全員集まるわよ」


 言いながら男の肩を叩き、立ち上がるように促す。

 もうすぐ月が空の真上に来る。

 ふとしたきっかけで出会った同郷の情報屋が言うには、今日の月が真上に来た時、面倒な魔物が魔界から現れる。

 人と直接関わることは出来なくなったが、守りたい気持ちは変わっていない。


 月が真上に上り、それと同時に空が歪んだ。

 歪んだ空は嫌な魔力をまき散らしながら、魔界へとつながる門を形成していく。

 今回のメインである上級の魔物、名前はアシュタロト、だったか。

 アシュタロトの他にも面倒な悪魔種が門の向こうから大量に出てくるだろう。


 今回やることはアシュタロトを始めとする悪魔種の掃討。

 そして門を破壊することだ。


「悪魔種は魔王に何も言わずにこっち来てんのかな?」

「そうでしょうね。魔王は今日もサボってるわよ」


 仲間をサラリと魔王呼びしながら、2人は武器を構える。

 男は剣。女は鞭だ。

 どちらも仲間が作った神器級の物である。

 普通の人が作ったものでは、2人の魔力や速度に耐えられずすぐに壊れてしまう。


 2人が武器を構えると同時に、空の門が出来上がった。

これが最後の幕間です。

ちなみに書いたのは去年の五月。幕間は長く放置される運命なのです…

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