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116,Qどうですか?Aワクワクです!

 馬車が急停止してから、数分が経過した。

 私はコガネの横に座って窓の外を眺めている。

 チグサさんは反対側の窓の縁に座ってる。


「団長」

「終わったかい?」

「いや、デカすぎるから解体する。仕分けしに来てくれ」

「分かった」


 チグサさんが魔獣討伐をしていた人に呼ばれて倒された魔獣のところに向かった。


「……コガネちゃん、あの魔獣珍しいの?」

「滅多に人に見つからない、かな。私は森の奥とかで割と見たことあるよ」

「そうなんだ……見つけたらラッキー、な感じ?」

「いや、普通は不運だよ。強いし」

「強いんだ」

「うん。アジサシが異常。というか、主の周りは強い人多すぎて感覚狂ってると思うけど普通はあの速度で魔法放てないからね」


 ついにコガネに感覚狂ってるって言われた……

 そうだろうとは思ってたけど、コガネに宣言されるとなんか悲しい気持ちになるな……

 ……というか、1番身近な感覚狂わす要因はコガネだよね!?


 さも「自分は正常だけど〜」みたいな顔で言ってるけど君が1番私の感覚を狂わせてるからね!?

 それに、お供が神獣で保護者がプラチナ級薬師な時点でもう何かが狂ってるんだよなぁ……


「おーい、2人ともちょっと避けててくれるかい?」


 チグサさんが馬車の正面に立って手招きをしている。

 コガネちゃんと顔を見合わせ、急ぎ足でチグサさんの元へ行くと、魔獣……の、解体されたものがあった。


 ……グロくは無いけど……何だろう、あんまり直視したくない感じがする。

 目を逸らしながら奥を伺うと、馬車の入口を通る大きさに加工されているようだ。


 これ、運ぶのか。……そりゃそうか。

 皮から骨まで使える、んだもんな。

 ……なんか、すっごい綺麗に解体されてる。

 アジサシって、解体のプロもいるのか……


「肉はどうする?」

「うーん……塩漬けと冷却保存と……魔道具管理に分けようか」

「了解した。取ってくる」


 この肉、食べれるんだ……美味しいのかな?

 どんな味何だろう?


「団長、骨どこまで砕く?」

「太いのは残して細かいのだけ砕いてー」

「分かったー」


 砕くんだ!?

 ……あ、あれかな。漢方的な?

 なんかの薬学書で骨を砕いて加えるって見たことある気がする。


「主、主」

「どうしたの?」

「あの牙、買っちゃダメ?」

「……何かに使うの?」

「魔法の媒体と、そのままでも武器になる。加工すればすごく使いやすい」

「なるほど……お値段どのくらいかな?」


 コガネちゃんが物を欲しがるって、割と珍しいんだよね。

 なんか、買ってあげたくなるなぁ……

 でも珍しい魔獣の、便利な牙って高そう。


「どの牙だい?」

「わっ……チグサさんいつの間に……」

「上の、左6番目」

「それなら……1000ヤルかな」


 うーん……手が出ない値段でもないが、高い。

 旅の資金は大量に貰ったが、ここで使い過ぎて旅の続行が不可能になるなんて事は避けたいしなぁ……


 でも、コガネちゃんが欲しがるくらいだし、珍しくて上質な物何だろう。

 持っておいて損はない、って感じかな?


「でも……そうだな……コガネちゃん」

「……なに?」

「魔力切れの魔道具に魔力を装填することは出来るかい?」

「出来る」

「じゃあ、魔道具一つに付き50ヤルの値引きって事にするから装填をお願いしてもいいかな?」


 コガネが許可を求めるように私を見る。

 私的には、断る理由もない取引だ。

 コガネちゃんがいいなら、と伝えると、すぐに取引は完了した。


 その後、解体された魔獣を馬車に積み込み、魔力の切れた魔道具をコガネちゃんのところにまとめて旅が再開された。


「……魔力を込めるって、難しいの?」

「うーん……人によるかな」

「得意な人は簡単に出来るのか」

「うん。主は多分苦手だと思う」

「そっかー」


 私が苦手って事は、魔力の維持とかが必要になるのかな?

 コガネは魔力に関することなら大体出来るから、魔力を込めるくらいは容易いだろう。


「……神獣って、みんな魔力いじるの得意なの?」

「いや、全く出来ない種族もいるよ」

「そうなんだ」

「私は魔法特化だから、魔力操作も出来るだけ」

「魔法特化……」


 そうなんだよなぁ……如何に物理攻撃を主体にしていようと、コガネは魔法特化なんだよなぁ……

 魔法使ってるとこあんまり見ないけど、魔法特化なんだよなぁ……


「……主、私けっこう魔法使ってるからね?」

「……え?」

「普段の物理攻撃にも魔法の上乗せとかしてるからね?」

「なん……だと……!?」


 私が気付いていなかっただけだというのか!?

 私、そんなに探知能力低いんだ……

 ……いや、コガネちゃんの魔力って、普段から身近に感じてるから改めて魔法を使われても分かんないんだ。

 きっとそうだ。


 それに、意識を集中すれば魔力の濃さは感じられる。

 今もコガネちゃんの手に魔力が溜まってるのは感じられるし……うん。そんなに悲観するほど探知出来てないわけじゃない。……はず。


 モクランさんにも、特に何も言われてないしね。

 魔力維持でボロクソ言われたし、ダメなら何かしら言われてるはずだ。

 大丈夫、大丈夫。


「……主、なんか……ごめん」

「いいのよ……」


 コガネちゃんに心配されてしまった。

 そんなに分かりやすく落ち込んでたかな?

 ……魔力探知、もう少し練習しよう。

 全部コガネに頼りっきりは良くないしね。


「おーい、そろそろ門に着くぞー」


 決意を固めていたら、馬車前方から声がかかった。

 門。普段は国の入国口の意味で聞く言葉だが、今回は違う。

 ここでの意味は「大陸間の検問」だ。

 つまり、もうすぐ別の大陸に入る。


「おおお……ついに第3大陸から出る時が……」

「そっか、主は初めてなのか」

「うん!」

「じゃあ、初めて見るものがいっぱいだね」

「第3大陸にはないものとかあるの?」

「いっぱいあるよ」


 なんと。目新しいのは国だけじゃないらしい。

 ……楽しみだなぁ。

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