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115,Q無事ですか?Aアジサシさんが強いです。

 キマイラを出てしばらく進んだところで、馬車が止まった。

 何かあったのかな?

 コガネちゃんと顔を見合わせて、馬車の前の方に行ってみると、馬の足に着けてあった飾りを外している所だった。

 飾りを外された馬は、綺麗な漆黒と純白の毛並みに……


「いやいやいやいや」

「主?」

「おかしいでしょ……2頭とも茶色だったじゃん……」

「この2頭、魔力が高いから国の中では魔力を押さえさせてるんだ」


 馬車1階の屋根に座っていたチグサさんが答えてくれたけど、ツッコミどころがいっぱいある。


「それで毛色も変わるんですか?っていうかどこに座ってるんですか……」

「変わるんだ。ここはボクの特等席さ」


 この子たちは空も走れるよ、と笑顔で言ってきたチグサさんは、何だかヒエンさんに少し似てる。

 ここから先、一気に速度を上げるらしいので、元の位置に戻って座る。


「コガネちゃんは第4大陸には行ったことあるの?」

「うん。第7大陸以外には行った」

「旅してるねぇ……」

「結構楽しかったよ」

「そっか」


 コガネちゃんって、同じくらいの年に見えるけど本当はすごい年上なんだよね……

 正確な年は聞いてないけど、前に「主から見たらお婆ちゃんだよ」って言われた。

 いくつなんだろう……

 白キツネの中では若いらしいけど……


 レヨンさんが神獣の寿命は大体1000年、みたいなこと言ってた気もする。

 その中で若いって……

 感覚が狂って分かんないな……


 ……というか。

 本当に速いなぁ。

 窓の外を見ると、景色がすごい勢いで流れていく。

 速すぎて酔わない。というよりも、何故か揺れない。

 この馬車、本当にどうなってるんだ……?


「おー……」

「コガネちゃんが感心するレベルで速いのか……」

「凄いね、ドラゴンの背中に乗ってるみたい」

「乗ったことあるの!?」

「1回だけね」


 なんというか、コガネちゃんって結構色々やってるよね。

 たまーに私が読んでる本に出てくる珍しい薬草とか「食べたことある」って言うし。

 大体美味しくないらしい。

 ……うーん、謎情報。


「……コガネちゃんが見た中で1番綺麗だった景色ってどんな?」

「どうしたの?急に」

「なんか、コガネちゃんなら桃源郷見たことありそうだなって……」

「とう……?」

「あー、天国とか、そんな感じ?の……?」

「天国は見たことないけど……昔、精霊界には行ったことあるよ」


 それもう桃源郷でいい気がする。

 精霊界って、なんかすごい綺麗なところなイメージがある。


「綺麗だった」

「そっかー……私は行くことないだろうからなぁ……」


 ちょっと興味あるんだけどね。

 流石に生身の人間が行ける場所じゃないね。

 でも気になる。私は無理だがコガネの語彙力ならその景色を言い表せるんじゃないか?

 そう思い、聞いてみようとしたところで、馬車が急停止した。


 あまりの衝撃に体が宙に浮く。

 あ、これヤバいやつだ。

 このままいくと重力と飛ばされた時の衝撃をモロに受けて最悪死ぬやつだ。

 そうは思っても掴まれる場所などなく。


 コガネがこちらに手を伸ばすのも見えたが、腕の長さが足りない。

 さっきまですぐ横に居たのに、一瞬で飛ばされてしまった。

 ひぇぇ……どうしよ……

 というかなんか景色がスローモーションだな……

 これ、走馬灯とか流れるやつかな……


 私が今世に別れを告げようか迷っていると、急に体が引き寄せられた。

 その直後、大きな衝撃音と共に馬車が何かにぶつかった。……のかな?

 私は無傷で、どうやら誰かに抱えられているらしい。


「っはぁー……無事?」

「あ、はい。ありがとうございます」

「いやー危ない危ない」

「主……無事?」

「なんで同じこと聞くの!?」

「……なんとなく」


 私を助けてくれたのは、アジサシの……えっと……どなただったか……

 ……多分、色んな細工とかをやってる方。

 その方は、私をコガネちゃんに受け渡し、窓の外を眺める。


「いやー、本当に狙われるんだね」

「あ、これそういう事なんですね」

「そうだね。めっずらしーのが出てきた」

「大丈夫なの?」

「まあ、上に居たのが討伐に行ったからすぐに終わるよ」


 ……なんか、申し訳ないなぁ……

 私が混ざると、絶対旅に戦闘が混ざるんだよね……

 もう本当に、これどうにかならないかな……


「やあ、無事かいアオイちゃん」

「チグサさんも同じこと言う……」

「そりゃあ、友人の愛弟子を預かってるんだからね。そこはちゃんと確認しないと」

「チグサさんとヒエンさんって友人だったんですね……」


 てっきり仕事仲間的な存在だと思ってた。

 まあ、親しげではあったけども。

 ヒエンさんは常連のお客さんと仲良いから、それと同じ感じかと思ってた。


「それにしても、思わぬ儲けものだ」

「儲けものなんですか?」

「うん。滅多に見つけられない魔獣だからね。皮から骨まで全部上質な素材になるのさ」


 ……アジサシ的にはいい事、なのか?この状況。

 まあ、迷惑じゃないなら良かったかな……

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