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113,Q帰還は?Aしばらく先になりそうですね。

 キマイラ滞在5日目、私はレヨンさんに連れられて旅の道具を扱っている店に来ていた。

 レヨンさんが注文していた物が出来たらしい。

 ……それ、私がついてくる必要あったのかな?


「はい、ご注文の品」

「ありがとー」


 入口近くで待機していると、紙袋を受け取ったレヨンさんに手招きされる。

 近付くとさっき受け取っていた紙袋をそのまま渡された。

 ……ん?


「レヨンさん、これは?」

「開ければ分かる」


 それはそうなんだけども。

 レヨンさん、時々ヒエンさんと同じようなことするよなぁ……

 そんなことを思いながら紙袋を開けると、中には手袋が入っていた。


 冬に付けるような奴ではなく、バイクとか乗る人が付けてそうなやつ。

 ……でも、カッコイイ!!って感じではない。

 個人的にはとても好きなデザインだ。


「……レヨンさん、これは?」

「プレゼント的な」

「なぜ突然……」

「思い付きだな」


 さいですか……

 嬉しいけども。


「着けてみて」


 お店の人に言われて、紙袋を脇に挟んで手袋を着ける。

 ……フィット感すげぇ……

 これ、カッコイイ!!って感じのデザインだったら似合わなかっただろうな……


「サイズは大丈夫そうだね」

「はい」

「おー……良かった……」


 店員さんはそう言ってカウンターに突っ伏した。


「レヨンに何となくのサイズだけで作れとか言われたからどうなるかと思った……」

「……レヨンさん、もしかして無茶振りしたんですか?」

「無茶振りと言うほど無茶振りではない」

「いや、割と無茶振りだよ?それでいてなるべくピッタリサイズで、とか完全に無茶振りだよ?」


 店員さんはレヨンさんを恨めしそうに見上げた。

 ……レヨンさん、やっぱりちょっとヒエンさんと似てるな。

 と、いうか。この手袋すごいな。

 指輪の部分だけ少しゆとりがある。


「指輪が痛くない……」

「他の手袋だと痛かったりするの?」

「はい。薬の調合の時は指輪外したりするんです」


 毒草とかも扱うからね。

 手袋をする機会はそこそこある。

 ピッタリサイズだと指輪が通らなかったり痛かったりするけど、緩いやつだと指先に布が余って上手く調合出来なかったりするのだ。

 なので基本的に指輪を外して手袋。


「その手袋、毒とか通さないからなんなら着けたままで行けると思うよ」

「本当ですか!?」

「うん。あと、内側からの魔力は通すけど外からの魔力は防ぐから対魔法性能抜群」


 店員さんの説明を聞きながら、指先に軽く魔力を貯めてみる。

 ……うん。問題なく貯まるね。

 じゃあこれを反対の手のひらに……


「おおお……」


 通さない。全然通らない。

 すごい、なにこれ。


「あ、あと物理攻撃にはかなりの強さがあるから」

「凄いですね……」

「すごいよねぇ。衝撃が伝わった時点で固くなる特殊素材だから、手へのダメージはほとんど無いと思うよ」

「凄いですね!?」


 なんでそんな凄い手袋を私に……?

 というか、何が元の素材なんだろう?

 錬金術とかで作ったやつなのかな?


「魔獣の皮を鞣したやつ」

「ふぁっ!?」

「聖水に漬けたりなんなりしてるから、最早別物だけどね」


 びっくりした……魔獣の皮をそのまま手に纏ったのかと思った……

 でもそうか。魔法を使う魔獣って対魔法性能高いもんな。

 それが元になってるなら納得だな。


「さて、支払いはもう済んでるから行こうか」

「あ、はーい」

「ありがとうございましたー」

「またなー」

「おーう」


 今日のお出かけ内容はこれで終わりらしい。

 ここからレヨンさんの家って、地味に遠いんだよな。

 直線距離はそんなに無いんだけど、1回階段を降りてから坂を上がらないといけない。


「広場に寄っておやつ買っていこうぜ」

「わーい!」


 のんびり話していると、サクラとモエギが肩に着地した。

 店にいる間、外で待っていてもらったのだ。

 そのまま他愛もない話をしていると、広場に到着する。


「……ん?旅商人が来てるね」

「旅商人?」


 あれ。と言ってレヨンさんが指差した先には、2階建ての大きな馬車。

 ……見覚えがあるな。


 話しかけようかどうしようか迷っていると、向こうが私に気付いて大きく手を振った。

 そしてそのままこちらに走ってくる。


「やあ、久しぶり。覚えててくれてるかな?」

「お久しぶりです。チグサさん、ですよね」

「そうそう。覚えててくれて嬉しいよ」


 移動型万能店アジサシの店主、チグサさん。

 流石に忘れない。

 コガネと出会うきっかけの人だし、この人以外に金貨出す人見たことないし。


「いやあ、会えて良かったよ。実は、ハーブの姐さんから伝言を頼まれてるんだ」

「伝言?」


 首を傾げていると、チグサさんは1枚のメモを差し出してきた。

 メモの内容は簡単。


 〈やっほー、アオイちゃん。楽しんでる?

 突然だけど、アジサシについて行って別の大陸にも足を伸ばしてみてちょうだい。

 旅の資金はチグサちゃんに預けてあるわ。

 帰りは遅くなっても大丈夫だから、いろんな国に行ってみてね♡

 ヒエン〉


 ……ヒエンさんが突然じゃ無かったことってない気がするな!!

 というか、急にそんなこと言ってチグサさん、アジサシの皆さんに迷惑なんじゃ……


「ボクとしては、楽しくなりそうだし全く問題ないよ。せっかくなんだから、ハーブの姐さんの言う通りいろんな国に行ってみるのもいい経験なんじゃないかい?」

「………………お邪魔します!!」

「よし来た!出発は明後日だよ。詳しい事は明日にでも伝えるね」


 私が急にお辞儀をしたので、サクラとモエギが驚いて飛び立ってしまった。ごめんね(汗)

 私が再び肩に降りてきた2羽を指先で構っている間にレヨンさんとチグサさんが親しげに話し始めた。


「驚いた。チグサとアオイちゃんって知り合いだったんだ」

「それはこっちのセリフさ。いやぁ、世界は狭いね」

「……え、お2人知り合いだったんですか?」


 チグサさんとレヨンさんは、同時にニヤッと笑った。


「商売相手さ。ボクたちはレヨンから珍しい魔物なんかの情報を買って」

「私はアジサシから珍しい品々を買ってる」

「なるほど……」


 なんか、凄い人同士はだいたい知り合い何じゃないかな、この世界。

 でも、この2人が仲良さげなのはなんか納得だな。

 雰囲気似てる。


「……あ、すみません、ペンってないですか?」

「これでいいかい?」

「はい。ありがとうございます」


 チグサさんからペンを借りて、ヒエンさんからの伝言の裏に走り書きでアジサシの馬車に同乗させてもらうこと、明後日が出発な事を書いてサクラの足に結ぶ。


「サクラ、コガネに届けてくれる?」

「ピィッ!」

「お願い」


 帰ってきていきなり言われるより、錬金術の師匠にもすぐに説明出来る今教えた方がいいだろう。

 私よりコガネの方が準備とか大変だし。

年が…明けましたね…。

去年の目標は、エキナセア完結でした。今年の目標も、エキナセア完結です。

そんなわけで、今年もよろしくしていただけると幸いです。

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