110,Q今日はどうしますか?A探索です!1
朝、微睡んでいるとコガネちゃんに肩を叩かれた。
目を擦りながら体を起こし、部屋を見渡す。
昨日はコガネが鍵を直した後は夕飯を食べて、レヨンさんとお喋りした後寝たんだったか。
「ふぁ……ぁぁ……」
「おはよう、主」
「おはよう……」
コガネから服を渡され、受け取るとコガネは部屋を出た。
……コガネは早起きだな……
最初のころは私の方が早起きだったのに……
「ピィ!」
「おはよう、サクラ」
肩に乗ってじゃれついてくるサクラを指先で構いながらベッドから降りる。
降りるとサクラが机の上に移動した。
それを確認して服を着替え、サクラを肩に乗せて移動する。
「おはよー」
「おはようございます」
リビングにはレヨンさんとコガネが居た。
イスに座ると、レヨンさんが朝ご飯を出してくれた。
レヨンさんも料理上手だよな……
教えてもらおうかな?
料理も出来るようになりたいが、お菓子とか作ってみたいのだ。
甘い物好きだけど、毎回買ってるとお財布が心配だからね。
作れるようになりたいな。
「じゃあ、私は行って来るね、主」
「うん。行ってらっしゃい」
「いってらっしゃ~い」
「行ってきます」
コガネを見送りながら朝ご飯を食べ、モエギを軽く突っついていたレヨンさんに話しかける。
「レヨンさん、レヨンさんはお菓子とか作れますか?」
「作れるよ。……作る?」
「良いんですか!?」
「うん。じゃあ今日は材料を買いがてらお散歩しようぜ。作るのは明日」
「はい!」
返事をして、急いで朝ご飯を食べ終える。
しっかり味わったから問題ないでしょう。
「よし、行こう」
「はーい」
食器を片付けた後、サクラとモエギを肩に乗せて家を出る。
……鍵はちゃんとかかっているようだ。
流石コガネ。
「この国、すごい入り組んでるでしょ?結構面白いんだよ」
「そうなんですか……道の先に宝箱……」
「思うよね。探したことあるわ」
「あるんですか」
「おう。宝箱はなかったけど隠し通路は見つけた」
「隠し通路はあるんですね」
マッピングしたら楽しいだろうな。
でも、1人でウロチョロするわけにも行けないしな。
「あの道は、通るといつの間にか坂の上まで移動してるんだよ」
「え、ワープですか?」
「そう思うよね~。単純に気付かないくらい微かな上り坂なだけなんだよな」
「そうなんですか……」
上ってから種明かししてもらいたかったな……
ちょっと残念かも。
……まあ、上る用事がないからいいけどね。
「……お?」
「どした?」
「いや、いい眺めだなぁ……と」
「ああ、なるほど。ここは割と高台だからね」
「いつの間にこんなに上がってき……」
ああ、これがワープか。
他の道でもなるのか。
仕組みを知っていても不思議だな……
「ニヤニヤしないでくださいよ」
「いやー、可愛い可愛い。行こうか」
「はーい」
面白い国だな……迷子になりそうだけど、冒険したら楽しいだろうな。
……今してるな。冒険。
「ここが1つ目の目的地」
「何のお店ですか?」
「……粉?」
「何のお店ですか!?」
怪しい言い方はやめていただきたい。
多分、小麦粉とかそういう粉だろうけど。
この世界、謎の粉結構あるんだよ……ヒエンさんがたまに調合してたりするんだよ……
「ふはは。まあ、普通に料理に使う粉だよ」
「良かった……」
だろうとは思ってたけど、やっぱりちゃんと言ってもらった方が安心する。
ここでヤバい粉の店とか言われたら困る。
お菓子に何入れるつもりだってなる。
「割とよく来る店なんだ」
「そうなんですか……同じようなお店っていくつかあるんですか?」
「流石に、ここだけだと不便すぎるからね。離れたところに何個かあるよ」
「ほぇ……レヨンさんってこの国の事なら何でも知ってそうですね」
「政治とかは分からんけどね。情報屋なんてやってるからね」
そういえば、情報屋だった。
国外のこともいろいろ知ってるもんな。
国内の事なら知ってて当然、なのかな?
「入ろうか」
「はい!」
レヨンさんにくっついて店の中に入る。
中は少し暗いが、不思議と明るい気がした。
……なんだ、この矛盾した感じ。
「いらっしゃー」
「雑だな」
「レヨンだもん」
「ひどい扱いだ。客なのに」
……これは、よく来る店、というより友達の店、かな?
それより、だ。
レヨンさんと会話している人の姿が見えない。
「……うん?」
「あ、もしかして私の事見えてないかな?」
「見えない……です」
「そうかそうか。ちょっと待ってね~……っほい、これでどうかな?」
「あ、見えます。見えました」
ポンッと軽い音がして、カウンターに肘をついた女の人が現れた。
……なんか、髪が一部重力無視してるんだけど。
ふわふわ浮いてるんだけど。
「見えないって、何で?」
「なんかの加護か、魔法か、呪いか……私がそういうのと相性良いの知ってるでしょ?」
「……相性良すぎて見えないとか意味わからん」
「完全に周りの魔力と私の魔力が融合したとか?あとはその子にかけられた加護が反応したか」
「なるほど。確かに目に悪いもんな」
「ひどいなぁ」
目に悪いかどうかは置いといて、見えないのは本当に不思議だな。
今までいろいろと不思議現象に出会ってきたけど、見えないのは初めて……いや、消える奴らには出会ったことあるか。
「で、レヨンは今日は何をお求め?」
「小麦粉」
「珍しい。それだけなんて」
「他のはまだあるからね」
とりあえず、重力を無視してる髪の毛が気になって仕方ない。
何で浮いてるんだ?
魔法かな?……わざわざ髪の毛浮かす魔法とかかけるか?
床に付きそうとかならともかく。
「アオイちゃーん」
「……あ、はい」
「買い物は終わったぞ」
「はーい」
「私の髪が気になる?」
「……はい」
「これはある種の呪いだよ。詳しく知りたいならレヨンが教えてくれる」
「丸投げか」
レヨンさんに促されて店から出るが、気になって仕方ない。
……聞いたら教えてくれるかな?
「レヨンさん、呪いって……」
「……うーむ、どこから話すか……」
レヨンさんが考えている間に、店に入る前に飛び立っていったサクラとモエギが戻ってきた。
2羽を肩に乗せてると、サクラが乗ってる方が下がりそうになるんだよね。
サクラが元気よく動くから。
おま、ちょっと落ち着けって。何、風に乗ってたの?……楽しそう。