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107,Q順調ですか?A平和、です(?)

 コガネにくっついて馬車の中で待機していると、クリソベリルの3人が向かった方から何やら強い魔力が飛んできた。

 ……この、やたらと攻撃的な魔力はツルバミさんだな。

 相変わらず巨大な魔法をバカスカ撃ってらっしゃる。


「コガネ君、魔獣ってどんなの?」

「これは……鳥だな」

「鳥?」

「ああ。大体20メートルくらいの鳥だ」

「でかっ」

「まあ、魔獣だからな」


 何となく緩い会話をしていられるのは、コガネがかなりの魔力を消費して私の魔力を打ち消し、クリソベリルが魔獣を翻弄しているからだ。

 本当ならこんなにのんびり話してなんていられない。


「というか、主は本当に魔力の探知が上手くなったな」

「本当?」

「ああ」

「やった!」


 コガネに魔法関連のことを褒められるとすごく嬉しい。

 コガネが魔法特化の種族だからかな?

 普段は物理攻撃してるけど。

 魔力温存とか言ってるけど結局魔力使ってないことの方が多いよね?

 魔法特化の神獣がこれなら、物理特化の神獣はどんな何だろう?


「……ん?コガネ君、神獣って結構種族あるの?」

「神獣か……俺も聞いた話で詳しくはないが、12種だった気がするぞ」

「ほう……12種……」


 月ごとに1体的な。

 1か月間のイベント的な。

 そんなの、やってたゲームに出て来たな。

 1年あれば全部回収可能か……


「……主?何にやけてるんだ?」

「何でもないよ。持病だよ」

「……そうか」


 そんな、今は全く関係のない話をしていると、ツルバミさんの魔力が通常時に戻った。

 倒したのかな?

 コガネを見上げると、コガネも頷いて魔力を消した。

 終わったみたいだね。


「よっしゃ。行こうぜ」

「ツル、荷台出して」

「俺かよ……」


 意気揚々と戻ってきたツルバミさんはモクランさんに言われて馬車の後ろに回る。

 馬車の後ろに荷台をつけて魔獣を運ぶのだろう。

 こういう、道中で出くわして倒した魔獣とか魔物が、ギルドが出現確認してなかった危険な奴なら特別報酬が出るってモクランさんが言ってたな。

 出現確認されてた奴でも報酬は出るらしい。


 そこら辺の仕組みはまだよく理解できてないな~。

 興味はあるからレヨンさんにでも聞いてみようかな。

 今回は結構長めに泊まるし、キマイラの冒険もしたいな。


 やりたいことがいっぱいだ。

 土地神の加護範囲外に出るのもだいぶ慣れてきたから、今回は単純に楽しいな。

 遠足気分。……は、緩すぎるかな?


「なに百面相してるの?」

「あ、モクランさん。……その紙は?」

「クエスト受注外討伐報告書」

「うあ……?」

「なにその声」

「なんか、難しそうな……」


 モクランさんの持っている紙には何やら大量の記入欄がある。

 絶対書くのめんどくさい系の書類だ。


「さっきの魔獣ですか?」

「そう。向こうのギルドに報告しないとね」

「やっぱり報告義務とかあるんですね」

「割と細かく決まってるよ」

「そうなんですか?」


 小型は報告不要、とかかな?

 小型1体狩っただけで報告とかだとギルド側も大変だろうし。


「魔獣は即時報告、魔物も上位は即時報告、中位は10体以上の討伐で報告、下位は50体以上の討伐で報告、その他希少種に遭遇した時も即時報告」

「細かい……」

「生態系が壊れるのも困るから、全部倒すわけにもいかないんだよね。だから下位も一応報告対象」

「なるほど……」


 生態系うんたらは、何となく分かる。

 あんまり詳しくは理解できてないけど、崩しちゃいけないものなのも分かる。

 けど、難しいな……私の頭で理解するには限界があるや。


「……馬車の中って、揺れるから書き辛いんだよね」

「大変そうですね」

「はあ……ツルに書かせるわけにはいかないしな……」

「……そうなんですか?」

「ツルは真面目に書こうとしないからね。書こうと思えば書けるはずなんだけどね」


 まあ、ツルバミさん普通に頭良いもんな。

 魔法は学問と同じ、みたいなこと前に言ってたし。

 水と氷の魔法は演唱全部覚えてるって言ってたし。

 ついでに雷と風も覚えてみたって言ってたな。


「……モクランさんは、どんくらい魔法の演唱覚えてるんですか?」

「なに、急に」

「ツルバミさんが水と氷と雷と風の攻撃魔法は全部覚えてるって言ってたのを思い出しまして」

「ああ、ツルは攻撃魔法バカだからね。今は闇覚えようとしてるみたいだよ」

「あれ以上何をする気ですか……」

「さあね。覚えたいだけだと思うよ」


 ツルバミさん、実はめっちゃ知的好奇心が旺盛だよな……


「で、です!モクランさんはどのくらい覚えてるんですか?」

「………………回復系は全部。結界も全部。解毒とか解熱とかも全部で、サポートは演唱は覚えたけど技量不足で使えないのが何個か」

「モクランさんに使えない魔法とかあるんですね……」

「あるよ、そりゃ。君のお供が使う魔法とかは割と使えなかったりするし」

「そうなんですか?」

「もう種族の問題だからね。そこは仕方ない」

「なるほど」


 ……モクランさん、知ってはいたけど記憶力えぐいな。

 回復系って、1纏めにしてるけど結構種類あった気がする。

 やっぱりクリソベリルって全体的に規格外だよね。


「あ、そういえば!」

「なに?」

光精霊ルーメンの加護、使えるようになりました!」

「良かったね。……もう少し時間がかかるかと思ってたけど、君割と魔法のセンスいいよね」

「わーい」


 何だか軽~く馬鹿にされた気がしなくもないが、ここは素直に喜んでおこう。

 センスいいって言われた。やったぜ。

 モクランさんは私の魔法の師匠もしくは先生だから、褒められると単純に嬉しい。


「完全演唱?」

「略式です」

「へぇ……旱魃の方は?」

「ぜんっぜん発動の兆しが見えないです!」

「そっか。じゃあそっちは諦めかな」

「はーい」


 旱魃は、周囲の水を消し去る魔法で、水攻め対策で教わったのだが、どうにも発動しない。

 何でかなー……魔法の名前がいけないのかな?

 最初に名前聞いて若干の拒否感が生まれたのが原因か?


 そんなことを思いながら、書類にペンを走らせるモクランさんを眺め、馬車に揺られているうちに眠くなってきてしまった。

 目をこすっていると、モクランさんが無言でブランケットを渡してくれた。

 これは寝ていいってことか。

 なら、ラミアに着くまでの間、少しだけ眠らせてもらおう。

お久しぶりです。瓶覗です。

今週からちゃんと更新出来そうです。

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