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105,Q準備ですか?Aはい、お出かけの準備です。

 雨期が終わり、エキナセアの来客数も普通……というかなんか2倍くらいになった。

 なにこれ忙しい。

 雨期の分をこっちに持ってきたみたい。


「雨期に処理できなかった魔物を討伐するのよ。雨期だと魔物の方が動きやすいからね。危険を避けるために雨期明けに一気に討伐するの」

「へぇ~……それ、雨期の間は危険じゃないの?」

「危険度の高いやつは雨季の間でも討伐するか大丈夫よ」


 なるほど。そりゃあ繁盛するわけだ。

 一気に討伐するってことは数も多いんだろうし。

 普段は余裕で倒せる魔物も数が増えると処理が大変ってモクランさんが言ってた。

 まあモクランさんは範囲魔法で一気に倒すからあんまり関係ないとも言ってたけど。


「この忙しいのも雨期明け1週間くらいで終わるわよ」

「そうなの?以外と短いね」

「一斉討伐のクエストって、普通のクエストに比べて報酬が高いのよ。冒険者たちがここぞとばかりに受けるから1週間で終わるわ」


 なるほどなぁ……国とかギルドとかが出してるクエストになるのかな?


「……そういえば、ガルダには騎士団っていないの?」

「いるにはいるけど、王城内の警備くらいしかしてないと思うわよ。この国の騎士って貴族出身しかいないし」

「そうなんだ……」

「だからクリソベリルが雇われてる……みたいなところも」


 なんか、騎士ってものに対する憧れがなくなるね。

 キマイラ騎士団は皆いい人たちだったけどな。


「そもそも騎士団がない国も結構あるのよ」

「そうなんだ」


 そんな話をしている間に、私の手元のポーションは半分ほどろ過が終わっていた。

 ビンを持ってきて中身を入れていると、ヒエンさんが隣に移動してくる。

 別の薬の下準備のようだ。


「そうだ、アオイちゃん」

「なあに?ヒエンさん」

「1週間後くらいから、キマイラ行ってらっしゃいな」

「……ふぁ!?」

「行く予定は立ててたんでしょ?」

「え、あ、うん」


 ヒエンさんは軽~く言ったが、それってつまりこの忙しい時に準備するってことになるんじゃ……

 考えている間にも手は勝手にポーションを瓶詰めしており、ポーション製作が終わった。

 早く店に持って行かないと客が詰まってしまう。


「アオイちゃん、ポーション置いてきたらまたすぐ戻って来てちょうだい」

「はーい……何かあるの?」

「コガネちゃんが答えを知ってるわよ」


 ……何でしょう、その言い方は。

 コガネが知ってるってことは、また何かなくなりそうってことかな?

 分かんないけどとりあえずポーション置いて来よう。


「コガネー、ポーション出来たよ」

「ありがとう、主。ところで毒消しがなくなりそう」

「あ、はーい」


 箱を引きずって置きに行くと、コガネが棚の中を漁りながら言ってくる。

 なるほど。確かにすぐ戻らないとだね。


「ヒエンさーん。次は毒消し?」

「ええ。そのあとまたポーション作らないと間に合わなそうね」


 ヒエンさんは言いながらナベをかき混ぜている。

 今、作業部屋にはナベが2つ置いてある。

 普段は物が置かれているところになんとビックリ熱源の魔石が埋め込まれていたのだ。

 この時期にナベ1つだと生産が間に合わないらしい。


「ちなみにヒエンさんは今何を作ってるの?」


 毒消し草を切りながら聞いてみると、ヒエンさんはナベの上でポーションの実を削ぐように切りながら


「魔力ポーションよ」


 と教えてくれた。

 ……魔力ポーションってあれか、上位の薬師試験の課題の薬を作るためにまず作り方を覚えないといけないやつ。

 ややこしい。魔力ポーションが課題薬なわけではないらしい。


「……さて、今のうちに……」


 ヒエンさんは呟きながら薬研を取り出す。

 魔力ポーションは現在放置で煮ているようだ。

 つまり暇が出来たから次の準備をする、と。

 忙しいね☆


 こっちも忙しいけど、1人でお客さんを捌いてるコガネちゃんがすごいよね。

 なんか、並んでる列の横にペンと紙が置いてあって、必要な薬と数を書いてもらってるみたい。

 その紙をコガネちゃんに渡して、コガネちゃんが書いてあるのを取り出す、と。


 ちなみに、モエギも手伝ってるんだよね。

 コガネが注文の品を出してる間に代金の計算をしてるみたい。

 モエギ、もしかしたら私より暗算能力高いかもしれない。

 サクラは紙とペンが置いてある台の上でぴょこぴょこしてた。


「えーっと、ビン、ビン……」

「ヒエンさん、後ろ後ろ」

「あら、ありがとう」


 珍しくヒエンさんがガバってる。

 忙しいもんね。かれこれ5時間くらいずーっと作業してるもんね。

 そりゃあ疲れますよ。

 私は腕が疲れたよ。ずーっとナベかき混ぜてるんだもん。


 今もかき混ぜてるんだけど、もうね、気を抜くと混ぜ方が小さくなりそうだから気が抜けないんだよね。

 おかげで余計に疲れる。


「あー……腕が……」

「鍛え方が足りてないわね」

「これから頑張ります~……」


 ヒエンさんが楽しそうに笑いながら言う。

 なんで楽しそうねんですかねぇ……!!

 やっぱりドSだろ、この人。


 その後もヒイヒイ言いながら薬を作り、店に置いてきたら別の薬を作り……というエンドレスループを頑張って生き延びて1日が終わった。

 ヒエンさんは割とケロッとしてたけど、コガネと私の疲労具合がヤバかった。


 なんか、もう訳が分からないよ……何だよ……あのお客さんの量は……

 絶対今日だけで普段の売り上げの3,4倍売り上げてるだろ……

 これが1週間続くのかぁ……


 もう、今日はさっさと寝よう。

 早く寝ないと明日がしんどい。

 ……というか、疲れすぎてすでに眠い。

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