第一話〜キャンプ〜
苦しいの。悲しいの。痛いの。
どうして人間は、わかってくれないの?
わかってよ。
苦しいんだよ。悲しいんだよ。痛いんだよ。
わかってよ・・・・・・・。
動物からの・・・
「なぁ〜〜頼むよぉ〜〜凛〜〜〜」
「うるさいな〜。どっか行ってよ」
俺の名前は、大葉 広樹。14歳。中学2年生。
今、俺を無視して本を読んでるこの女は、砂川 凛。(りん)同級生で
俺の幼馴染だ。黒くて長い髪は腰の辺りまである。
今は7月。学校の教室はかなり暑い。そんな中よく本なんて読めると思う。
「なんでだよぉ。お前だって嫌いじゃないだろ?キャンプ」
「嫌いじゃないけど・・。好きでもないから・・・」
俺は、動物や自然が大好きで、今回
『動物とふれあおう〜大自然の中のキャンプ〜』
という企画があって一人で行くのが嫌な俺は
さっきから、凛をキャンプにさそっているが、凛は『いかない』の一点張りだ。男の友達もいるけれど、みんな動物のアレルギーを持っていたり、虫が大嫌いだったりで、凛しかいなしのだ。
「なぁ、なぁ頼むから!!一生のお願い!!」
「何回、一生のお願い言えば気がすむのよ」
「ムーーー」
何を言っても軽く流される。
ダメだ。このまま頼んでいたら休み時間が終わってしまう。何か凛の心を動かす決定的な一言を・・・
そうだ!!!
「凛!今回のキャンプ。色んな動物が居るんだって」
「動物?」
凛が顔をコッチに向けて聴いてきた。興味を持ったらしい。
「そう動物!!!」
凛も俺と同じで動物は好きなのだ。
「猫は?」
凛に聴かれて、俺は急いでポケットに入れておいたキャンプの紙を引っ張り出す。これに動物の名前も書いてある。
猫・・・あった。
「いるぜ!え〜と、シャムネコに、みけねこ、ペルシャに、アメリカンショートヘアー。その他色々だって」
「ふ〜んそれなら行ってあげてもいいかな?」
どうやら猫というので、なっとくしてくれたらしい。
「マジ!?やった〜」
俺は猫より犬派なんだ。犬もたくさんいるらしい。
キャンプは明日。当日に先着40名様までだ。
「凛。明日、朝5時に俺の家の前まで来てくれよ」
「ん。わかった」
受付は6時30分からだ。俺の家から歩くと30分くらいの距離にあるキャンプ場でやる。
明日が楽しみだ。