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発見した食材が全て新メニューになっているわけではない。

実は、コーフィが魔の森で発見した食材はそのすべてが新作メニューに取り入れられる訳ではない。

なにせ、見たこともない食材がその中にはあるのだ。

これは、そんなコーフィに発見されたけど残念ながら陽の目を見なかった食材のお話。


~コーフィ視点~


俺は魔の森を散策していてあるものを発見した。


「こ、これは・・・!」


それは俺が港町に立ち寄った時に食べたことのある食材。

そう、ウニだ。

トゲトゲのついた殻に守られたその中には何とも言えない美味なる味が眠っている。


(しかし、なぜこんな森の中で?)


そう思い、辺りを見渡す。

するとすぐそばに生えていた木に大量のウニがなっていた。

そのウニはまだ緑色で地面に落ちている焦げ茶色のウニではない。


よく見ると近くに川が流れている。


(なるほど、ウニって森でできてそれが川から流れて海に行って見つかるんだ。)


そう思いつつも地面に落ちた茶色いウニを拾う。

海で取れるウニは周りのトゲトゲのついた殻が真っ黒になっている。

だから、きっとまだ熟成しきってはいないのだろうがこれはこれでおいしいかもしれない。


(バナナも売られてるのは黄色いけど、新鮮な取れたてのバナナは緑色をしているからな。)


そんな、半端な知識をもとに俺は山で採れたウニを籠いっぱいに拾う。




俺はウニを持ち帰ると早速、中を見てみることにした。


「よく見たらなんかすでに割れてるな・・・・」


拾っている最中はよく見てなかったのと浮かれていたので気づかなかったが棘のついた殻はすでに割れて中身が見えていた。


(地面に落ちたから割れたのかな?)


そう思って中身を見るとなんということだろうか。

中にはさらにかたい殻のついた物が入っていた。


「ウニって棘のついた殻だけじゃなくてこんなのにも覆われているのか?」


俺はそう思って棘のつた殻から丸みを帯びた半円の形をした何かを取り出す。

その硬い殻は先端の部分と思われるところが尖っており、約8割の部分が焦げ茶色の殻で尖っている所の反対側が灰色っぽい色をしている。

触り心地としては焦げ茶色の部分はツルツルしているが灰色の部分はザラザラとしている。


「ううむ・・・ これはいったいなんなのだろう・・・」


ウニは食べたことはあるが調理したことがない。

店の人に「これは魚の卵か何かか?」と質問すると店主に「いや、これだよ」と言って棘の殻がついた物を見せられただけだった。

あの時は貝の仲間なのだろうと思っていたが、まさか山になる木の実だったとは思いもしなかった。

というか、二重に殻があるってどんなに厳重に中身を守っているんだ。


「ううむ・・・ とりあえず、この殻を取るか。」


俺は包丁を握って殻に刃を入れてとりあえず真っ二つにしてみることにした。


ザシュリ


真っ二つにすると中には硬い身が入っていた。


(おかしいな・・・)


昔、食べたウニはとろける様に柔らかかった。

こんな硬いはずがない。

もしかしたらウニはそれ専用の調理法が必要なのだろうか・・・

だとしたら俺にはお手上げだ。


「とりあえず、鍋で煮てみるか。」


俺は同じように他のウニも外側の棘のついた殻を外すと虫食いがないかどうかをチェックしてから内側の殻を真っ二つにして中身を取り出す。

殻にへばりついてうまく剥けなかったがスプーンで穿ほじくり出した。

どうせ最後はトロトロになるのだ。

問題ないだろう。


「よし。」


俺は穿り出したウニの実を鍋に投入して火にかける。

水の量が判らないので最初は鍋に大量の水を入れて実験する。

なので、ウニの実は全部は投入しない。


それから火をかけること20分・・・


「おかしい・・・」


火をかけて20分も経つのにウニは全くトロトロにはならない。

俺は菜箸で中のウニの実を触ってみる。


(最初よりは少し柔らかいかな?)


どうやら、結構な長丁場になりそうな雰囲気だ。

俺はその後、お湯を足しなが2時間ほど粘った。

そうするとウニはトロトロというよりはなんか水っぽくなった。

水分を入れ過ぎたのかもしれない。


今度は水分少な目で同じように火にかけた。


二時間後


「よし、トロトロだな。」


俺は火を止めるとおたまを手に取り水を取り出す為にこしきを使って水だけをボウルに移す。

それが終ったらホカホカトロトロのウニを別のボウルに移して冷やす。


「これで冷たくてトロトロのウニが出いるはずだ!」


俺は作業が終わるとコーヒーを淹れて休憩に入る。

お客様は今日も来られないので呑気にブレイクタイムだ。




ブレイクタイム終了後。

ウニは硬くなっていた。


「俺の努力が・・・」


俺は両手を机について項垂れた。

俺はこの日、1日使ってウニを食べれるように努力した。















一日を終えた結論。

駄目でした。


「塩水につけても駄目ってことは本物の海水じゃないとだめなのかな?」


俺が店を出した魔の森は大陸の中央付近にある。

なので、海に行くには最低でも一月はかかる。


「残念だ・・・」


俺は水分と熱がなくなって固くボロボロのウニを見つめながら溜息をついた。


今回の話のまとめ

コーフィがウニだと思っていたのは栗です。

コーフィはウニは知っているけど栗の存在は知りません。

なので、勘違いで調理をしました。

そして、全く別物なので調理はうまくいくはずがありません。

というお話です。

分かりにくかったらごめんなさい。

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