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雑魚がゾロゾロと何の用だ?

それはある日の夜だった。

何とか立会人として役立ちそうな人間を確保してコーフィ=チープの経営する店に最も近い街に行く途中。

そいつらはやってきた。


僕達は場所を止めてすでに野営の準備を終えている。

周囲を取り囲む様に布陣した様子から察するに山賊の類だろうか?

僕の仲間達は当然のようにそのことに気づいているので警戒して武器を手に取る。

立会人には馬車の中に入ってもらい防御の結界を張って安全を確保する。


準備が終わったところで敵の出方を見る。

こちらが気づいていることに勘づいて逃げるなら見逃そう。

だが、実力差の理解できないゴミならば灰にしてこの地の肥料にするしかない。


「出て来ないのならこちらから行こうか?」


僕は一歩足を踏み出して前に出ると槍を掲げる。

僕の持つ槍は魔剣≪プロミネンス≫

世界に50余りあるチープクラスの魔剣の中で炎熱系統の能力を持つ魔剣だ。

魔力を込めればそれを吸収して魔剣から膨大な熱量が紅いオーラとなって飛び出す。


チープクラスの魔剣はその威力故に扱い方を間違えれば僕でさえ死が待っている。

だが、逆に言えばそれほどまでに強力な武器と言うことだ。

その魔力の迸りを見て森の中に身を潜めていた者達が姿を現した。


炎の魔法使い相手に森の中に隠れたまま戦うことの無謀さを理解しているのだろう。

僕がその気になれば、先制攻撃で森ごと彼らを焼き払うことなど造作もない。

しかし、僕はあえてそれをしなかった。

なぜならば、そんなことをしなくても勝つ自信があるからだ。


旧世代である彼らを堂々と戦い返り討ちにする。

そうすることで、新世代の実力をはっきりと世間に知らしめることができる。

そうすれば、過去の遺物たるコーフィ=チープを倒した暁に得るであろう名声は世界に轟くことになる。

そうなれば、三大国家の王達ですら僕ら新世代の存在を無視できないものになる。


(そして築かれる僕の王国。旧世代の人間を排除し、新世代の手によって構築される最強無敵の帝国がこの世に繁栄することになる。)


それは魔物や魔獣に怯えることのない。

人々が平和に暮らせる王国。

その足掛かりとなるためにも・・・

彼らには生贄になってもらおうかな・・・


「君達、僕達にいったい何の様だい?」


僕は出て来た連中の中でおそらくはリーダーであろうという者に問いかけた。

周囲を取り囲んだ100人が一斉に顔を覗かせて、おまけに武器を所持している。

いきなり攻撃に入ってもいいが一応は相手の事情を聴くことにした。


こちらには証人がいるとはいえ、出てきた相手は名の知れた冒険者の様だ。

何人かは顔を見たこともある。

もっとも、どいつも旧型の魔法術式を使う旧世代の連中だ。

僕達との戦力差が100対8と大人げない数を用意したように見えるが、実はそんなことはない。

なにせ彼らは冒険者の中でも中堅クラス。

トップクラスの実力を持ち、守護天将に選ばれるほどの実力がある僕達よりも遥かに格下だ。


旧世代と新世代の実力差は約5~6倍。

中堅とトップの実力差が約4倍程度だから最低でも一人当たり20人分に相当する戦力が僕達にはある。

それを当て嵌めればこれは100対160の戦いだ。

負ける要素はほとんどないと言っていい。

例え伏兵がいたとしても僕とシェリルがいればどうとでもなる。


なんたって僕達は世界最高峰の装備であるチープクラスの魔剣を所有しているのだ。

これを持つ僕とシェリルの実力は他のメンバーよりもさらに飛びぬけている。

周囲への被害さえ考えなければ僕かシェリル1人で彼らを八つ裂きにできるほどに・・・。


「ギルドの依頼でな。依頼主は≪元散歩に行こう≫のメンバーからだ。お前らの行動を阻害するだけで賞金が出るんでな。悪いが邪魔立てさせてもらうぞ。」


そう言って正面に立つ男が武器を構える。

それに合わせて周囲の者達も武器を構えた。


(なるほど、勝算は度外視ってことか・・・)


彼らの受けたクエストは僕達の行動の妨害。

つまり、ここで囲んで戦い。

多少消耗させるだけでも賞金が出る。

馬車などの荷物を焼き払えばさらに効果的。


「舐められたものだな・・・」


それはつまり、勝てずとも何かしらの被害を出せるという算段があるということだ。

旧世代の骨董品が、新時代を切り開く刃に傷をつけることができると思っているということだ。


「思い知らせてやろう。誰に勝負を挑んだのかを・・・ 君達に僕達の前に立ちはだかる権利などないということを・・・ 殺れ!!」


僕の叫び声と共に両陣営は一気に動き出した。

どうやら、相手は僕達から仕掛けた瞬間にどう動くのかを決めていたらしい。

しかし、所詮は烏合の衆。

僕達に勝てる道理などはなからありはしない。


(思い知るがいい。実力のほどを・・・!)


こうして、《獅子皇帝》と冒険者連合100名との戦いが切って落とされたのだった。

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