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セブン 西方での遊び

ふぅ・・・

妙な男に連れ出されてお外に出てしばらく立つ。


ボクをここに連れてきた男は笑顔の眩しい白髪の男に連れられて毎日の様にどこかに出かけていく。

ボクはといえば、このお家に来てからずっとこの部屋の中で生活している。


最初は知らない場所で戸惑ったけど、このお部屋はなかなかに面白い。

まず、ベッドと呼ばれるお布団。

四方にカーテンをつけているこのベッドなる物はすごく寝心地がいい。

ボクのお家じゃ畳の上に直接お布団を敷くのだけど。

このベッドなる物は木製の足があり、その上にかなり大きな敷布団を使用しているのか。

すごくフカフカなんだ。

なんて気持ちいいんだろう・・・。

寝心地がいいのですぐにウトウトしてしまう・・・。


「はっ!」


ガシ!!


ナイスキャッチ。

最初は何事かとビックリしたけど。

今となってはここまでが一つの動作さ。

え? 何がって?


ボクがベッドで寝て、寝相が悪くて落ちて、それを近くに控えている侍女さんが受け止めるまでさ!

ああ、フカフカのベッドもいいけど。

侍女さんのだっこもいいなぁ~。

子守歌を歌ってほしいよ。


「あ~あ~。」


「? どうしたの? お腹減った? おしっこ?」


子守唄を歌って貰おうと催促すると、この侍女さんは見当違いな答えを返してくる。

くそう。

ボクのお家の侍女さんなら3割ぐらいの確率で子守唄を聞かせてくれるのに・・・

このお家に来てからというもの。

あの妙な男が夜中に子守歌を歌ってくれる以外で子守唄を聞くことができない。


「ぶぅ・・・」


「あ、また怒っちゃった・・・。 ほ~ら、高い高い!!」


そうして、ボクが不機嫌になるとなぜかこの侍女さんは『高い高い』をしてくるんだ。

そんなんでボクの機嫌が直ると思うなよ!!


「高い高~い!!」


侍女の人は一生懸命に手を上げてボクを高く高く持ち上げる。

背の低いこの侍女さんがボクを持ち上げても正直言ってそんなに高くない。

お父さまがたまにやってくれる『たかいたかい』はもっと高いぜ!


「たかい たかい・・・」


ボクがプンプンと怒ったままでも侍女さんはあきらめない。

ボクはもう二歳になるので、小柄な侍女さんには持ち上げるだけでもすごいしんどいのだろう。

その手はプルプルと震えている。

その振動がボクの体を揺すってまるでいつ倒れるかわからない積み木で作られた塔のような状態になる。


(ココだ!!)


「きゃっきゃ!」


わ~い楽しいなぁ~♪

と言う気持ちを込めてボクは機嫌を直す。


「やった!機嫌よくなった!!」


侍女さんは満面の笑みで僕に微笑みかけて嬉しそうにしている。

それと同時に両手を下げてボクを抱きかかえる。

その瞬間僕はまた「ぶぅ~・・・」と怒りを顕わにする。


「ああ! また怒っちゃった。 ほら、高い高~い!!」


フフフ。

計画道理、すぐにまだ疲れているのに必死に高い高いをやってくる。

しんどいのだろう。

苦しいのだろう。

でも、ボクを笑顔にするために一生懸命に腕を上げる侍女さん。

そんな侍女さんがボクは大好きです!!


おっと、お気に入りのおもちゃはこの侍女さんにベッドだけじゃない。

忘れちゃいけないのが、このカーテンだ。

引っ張る。包まる。隠れる。立ち上がる。噛み付く。とあらゆる用途に対応して・・・


「きゃぁ~! カーテンに涎が・・・!!」


あと、侍女さんの反応が面白いです。


でも、ボクがここに来てよかったと思うのはこっちにあるおもちゃと出会ってからかな。

まずは『ドミノ』っていうおもちゃ。

これは積み木みたいに木でできてるんだけど。

全部おんなじ形なんだよね。


最初は積み木として遊んでたんだけど。

侍女さんが僕に正しい遊び方を教えてくれてからはこれに夢中である。

まず同じ型の木の板を並べる。

並べる。

並べる。

最後に、指先でコツンと板を倒せば。


パタパタパタパタ!


と、倒れていくんだ!

積み木の時もそうだけど。

積み上げた物が崩壊するあの瞬間は格別だね!


次はジェンガ。

これはボクが最高に面白いと思うおもちゃだ。

侍女さんが一生懸命にジェンガを高く積んでくれるんだ。


「さぁ遊びましょう。」


それを合図にボクは立ち上がると一直線にジェンガに突撃!


バキャ!


ジェンガを一撃で粉砕だ!!


「何してるんですか?」


フフン。

突然の事態に侍女さんが驚いている。


「全くしょうがないですね・・・」


そうして、ジェンガはまた積まれていく。

もちろん僕も手伝う。


「さて、完成。次は私から・・・」


させるか!!

ボクは一目散にジェンガに突撃を開始する。


「だからなんで突撃するの?!」


侍女さんがまたも悲鳴を上げる。


「だー!!」


ボクは立ち上がると雄叫びを上げる。

特に意味はないけど、そんな気分だったんだ。


「はぁ・・・ しょうがないなぁ~。ジェンガっていうのはね・・・」


侍女さんはジェンガのルールをボクに説明してくれた。


「さ、それじゃもう一回・・・」


「だ~!!」


「なんで突撃するの?!」


ジェンガ。

ルールは分かった。

でも、このボクの胸に宿る熱い鼓動はそんなものじゃ止まらない。

そう!

ボクがルールだ!!











「もう知らない!」


「ウエェエエエンンン!!」


侍女さんがジェンガを作ってくれなくなった。

ボクは社会常識ルールを学んだ。


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