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友人を連れてお店へ

評価、ブックマークありがとうございます。

呼子として店から出て宣伝に出かけると友人である冒険者ガイとその仲間達をお店に連れてくることに成功した。

お店に向かう前にガイ達のパーティのサポーターとガードナーと合流して彼らも連れて行く。

ガイのパーティはソルジャー6人、ガードナー1人、サポーター1人の計八名だ。


なぜか途中、ガイ達が「どうしても立ち止まりたい」というので休憩すると彼らは森で採取を行った。

俺の店の方には基本的に冒険者が来ないのでほとんど手つかずで貴重な薬草などが取れるからそれを採取したのだろう。


冒険者は基本的に実力の高さに比例してお金にガメツイ。

そうしなければ危険な仕事を安く言いつけられるのでそうなるのは仕方ないが、彼らの実力ならばこんなところの採取なんていつでも来れるだろうに・・・


(もしかして、お金に困ってでもいるのだろうか?)


友人とはいえ初めてのお客さんにツケてやるほと俺は甘くないぜ?

そう思ったが、途中でこの辺の最強クラスの魔獣であるフォレストビッグフットにまた出くわした。


「ぎ・・・」 ゴス!


ガイの仲間の一人が悲鳴を上げようとしたが、一瞬にしてガイが黙らせる。

俺はフォレストビッグフットに気付かれないように『人払いの結界』を張ってやり過ごす。

『人払いの結界』という名前だが、この結界は結界内の存在を外からわからなくして、さらに結界を見たものに『ここに近づくな』と暗示をかけるものなので生物であればすべてにおいて有効だ。

無論、結界を使う魔法使いの力量が結界を見たものよりも上でなければならないが、俺は今までこの魔法をあの人以外には見破られたことがないのでフォレストビッグフットに対しては有効だということは分かっていた。


問題になりそうなのはガイの仲間たちが気勢を上げたり戦闘態勢をとったりして結界を中から揺さぶった場合だ。

『人払いの結界』は視覚によって相手に暗示や幻術をかける魔法なので奇声や戦闘態勢に入った時の魔力の高ぶりなどは消せない。

なので、この魔法は奇襲時には使用できないという欠点がある。

といっても、元々は誰にも見られたくない場所を形成するために使用する魔法なので戦闘用になっていないのは当然である。


俺達はフォレストビッグフットをやり過ごすとその場を後にして店へと向かった。

店へと向かう道中に他の魔物ともあったが、正直にいうと魔の森で魔獣に遭うのは当然なので別段不思議なことではない。

困るのはガイの仲間たちがそのたびに行動を起こそうとすることだろう。

ガイは俺の邪魔にならないようにいち早く動いて自分の仲間達を戦わせないようにしていた。


(俺のことあんまり知らないから信用できないんだろうなぁ・・・)


ガイと違って俺の結界魔法の威力を知らない彼らは警戒を怠ることができず、過敏に反応してしまう。

冒険者としては攻略組に属する者たちなのである程度の実力はありそうだが、正直言って神経を少しばかりすり減らし過ぎのような気がする。

年齢も若いようだし、ガイは俺が喫茶店を開くまでの間に中間組の有望株のパーティに参加して彼らを成長させていたのだろう。

中堅を一流に押し上げるという育成は、実力と名声があり、少々無茶な要求をするガイにはちょうどいいのだろう。

パーティ解散後に俺とは違う人生を歩んでいる友人に少しだけさみしさを感じてしまう。


「ん? どうかしたか?」


そんな俺の視線に気づいた勘のいい友人に俺は笑顔で「なんでもないよ」と微笑んだ。

彼はそんな俺に「なんだよ。気持ちわりぃな」と素っ気ない返事を返したが、その顔は笑っていた。

そういえば、パーティ時代に彼はよく周りを気遣って声をかけていた。

俺は聞かれるといつも「なんでもない」と返事を返していた気がする。


そんな懐かしき冒険者時代を思い出しながらの帰路も終わりがやってきた。


「さぁ、つきましたよ。お客様。」


俺は店の前に降り立つと扉を開けてお客様を店内にお招きする。


「おう! いい店じゃねぁ~か!」


「・・・な・・・ なんじゃこりゃ・・・」


「魔の森の中にホントに見せだしてるよ・・・」


「すげ~・・・」


俺の店を見た第一声はこのように三者三様のありさまだった。

俺の店を見てガイは意気揚々と店の中に入っていった。

そのあとに続いてオズオズとガイの仲間たちが入っていく。

もしかしたら、誰もいない店内に魔獣が入っていないか心配でもしているのかもしれない。

まぁ、結界が張られた店内への侵入は誰にもできないのですぐに安心していただけるだろう。


「ガイ様一向。8名様入りま~す♪」


俺は意気揚々とお客様の後に続いて店内に入っていった。


ガシャン チリンチリ~ン


ドアを閉めると風鈴が涼やかな音を奏でてくれる。




「ご注文は何にしますか?」


カウンター席にガイのパーティ8人をお通しすると俺はカウンターの中に入りご注文は尋ねる。

すでにお通しの水とおしぼり、メニュー表は渡してある。


「ううむ・・・ 高いな・・・」


ガイの第一声はそれだった。

まぁ、確かにそう思うのは無理もない。

なにせこの店の品の料金はすごく高い。

それもそのはずで、街にある少し高い喫茶店の3倍の値段がメニューには示されているのだ。


何せここは魔の森の喫茶店。

仕入れはすべて店長である俺が街にっておこなっているのだ。

魔の森の奥深くにあるこの喫茶店から街まではすごく距離がある。

移動だけで一日二日は余裕でかかってしまうのだ。

料金が高くなってしまうのも仕方がないだろう。


「まぁ、でも適当に昼飯でも食うか。」


「いや、ガイさん。もう晩飯の時間ですよ。」


ガイの言葉に槍使いの男ロイが時間に対する指摘を入れる。


「なに?!」


ガイは驚きの声をあげて仲間たちの顔を見る。


「ふふふ。暴君殿は戦いに熱中すると時間を忘れる癖がありますからな・・・」


そう言って初老の弓使いデバックは顎髭を撫でながら目を細めて笑っている。


「全く、その癖だけは何とかして欲しいですね。付き合わされるこちらの身にもなってください。」


そう言ってガイに指摘するのはニヒルな笑いの似合う魔法使いボルフ。


「うっせ! だいたいお前らが弱いから雑魚しか相手にできずに俺が消化不良を起こすんだろうが!」


ガイはそう言って自分の正当性を主張する。

まぁ、確かに俺とパーティを組んでいた時はそんなことはなかった。

寧ろ、彼は周りの状況を見て休憩を申し出るタイプだった。

まぁ、周りは周囲を爆散した焼け野原だったが・・・


「ガイさん。 前のパーティを基準にしちゃダメよ? 今のパーティはあの伝説のパーティとは違うのだから。」


そう言って「聞き分けてください」というのは麗しの女魔法使いのロゼ。


「俺、この裏メニューの回復がいいな・・・」


「私がヒールしますから・・・」


端の方で頭を押さえている二刀流の剣士ビルゼをサポーターの少女ルビーが優しく治癒魔法をかけている。

ビルゼは俺が獲物の回収を手伝っているときに割って入ってきてガイに拳骨を落とされた男で、ここに来る途中もフォレストビッグフットを見て驚き、声をあげようとした所にまたガイの拳骨を落とされていた不運な美少年である。


「ホットコーヒーとスペシャルパンケーキ、あとこのマスターの気ままなデザートを下さい。」


最後にメニューに噛り付いていたマイペースなガードナーの小男ロッシュが注文を開始した。

彼の眼には迷いがなく吟味に吟味を重ねた結果なのだろう。

その瞳には「期待してます」という主張が、その唇には「おなか減った」と言いたげに涎が垂れていた。


「かしこまりました。」


俺は一礼するとロッシュ君のために急いで準備をするのだった。




その後、彼らは一通りの食事を済ませると店内を見学して帰って行った。


「レシピを教えていただけますか?」


ロッシュ君は俺のスペシャルパンケーキと気ままなデザートが気に入ったのかそんなことを言ってきた。


「教えてもいいけど、集めれるのかい?」


・・・

・・・・

・・・・・


俺は一応ロッシュ君にレシピを教えてあげた。


だが、それを聞いて彼は驚愕の声をあげて帰って行った。


「また来ます!」


彼だけはきっといいリピーターになる。

そんな予感のするいい返事を返して去って行った。






「俺、ここに住んじゃダメ?」


「それはちょっと・・・」


ガイはこのお店の宿泊施設に泊まりたがったがお断りした。

彼の場合は宿泊ではなく移住になりかねないからだ。

人が増えすぎて把握しきれない。

一気に8人は多すぎた><

まぁ、あんまり出て来ないようにすればいいか・・・

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