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フォレストビッグフット

前の話のあとがきに用語解説?的な何かを追記しました。

多分読まなくても大丈夫な用語だと思います。

あと『フォレストブッグフット』というサブタイですがあんまり関係ないかもしれません。

~ゾルディア視点~


(終った・・・)


フォレストビッグフット。

この周辺に存在する魔獣の中での最強クラスの魔獣。

それに運悪く俺達は出会ったしまった。


攻略組に属するパーティである俺達なら勝てるんじゃないかって?

残念ながらそれは不可能だ。

魔の森は奥に行くほど強い魔獣が出てくる。


そして、出てくるエリアごとに最弱、弱、中、強、最強の五段階で魔獣は区分けされる。

攻略組である俺達のいる場所はすでに中間組や初心者組のいるところよりも数段強い魔獣が出る。

魔の森の奥に行けば区分けされている場所を超えるとだいたい二段階ぐらい強さが違うのだ。

つまり、初心者組がいる場所で最強の魔獣は中間組の場所に行くと中ぐらいの実力で中間組のいる場所で中ぐらいの魔獣は攻略組のいる場所では最弱クラスの実力しかないのだ。


もちろん。

魔獣は奥に行けばいくほど強い者が出てくる。

つまり、自分の実力に合わせて奥に行く距離を変えれば何とか対処できる魔獣にしか会わない様に調整できるのだ。

俺達は安全を確保するために自分たちが対処できるレベルである攻略組が立ち入る中でも最弱か弱ぐらいの実力しかない場所を探索していた。


(なのに・・・)


俺は瞳に涙をためて目の前にいるコーフィを睨んだ。

目の前に立つ「この男のことさえ放っておけばこんなことにならなかったのに・・・」そう思わずにはいられなかったのだ。


「モフ~!」


フォレストビッグフットの風貌に似合わない可愛らしい声と共に振り下ろされる巨大な腕。

叩きつけられれば防御魔法では防げない。

仲間達は全力で何かを避けんで回避しようとしているがもう遅い。

恐らく、助かるのは俺達の中でも最大の速度を持つグルトンだけだろう。

彼ならばなんとかこの攻撃を回避できる可能性がある。

だが、彼は優しい。

今も仲間を連れて何とか逃げようともがいている。


だが、それをしたら・・・ クルトン・・・ お前でも逃げられないぞ。


俺はクルトンが差し出した手をそっと弾いた。

そして、小さく呟く。


「お前だけでも逃げろ」


それが、俺に言える最後の言葉だった。


その後、俺達は激しい轟音に襲われる。


~コーフィ視点~


(なんでだろう・・・・)


お店の宣伝に来ただけなのに昔の顔見知りの冒険者には追い回された。

その上、フォレストビッグフットに出会ってしまった。

こいつは巨大な体躯の割にすごく俊敏に動くすごく厄介な奴なのだ。

本来はこんなに浅い所にはいない筈なんだが今日は機嫌でも悪かったのだろうか。


そんなことを考えていると俺を睨みつける視線が一つ。

ゾルディア君だ。

彼はこの状況に絶望し、諦めたのか涙を流した俺を睨んでいる。

後ろの仲間達は何かを叫んで逃げる様としている。

きっとまだ諦めていないのだろう。


(まぁ、諦める必要なんて全くないけどね・・・)


俺は振り下ろされる大きな腕が作る影を眺めながら結界を張った。


ドン!!


振り下ろされた巨大な腕が轟音を立てて俺の張った結界に激突した。


メキメキメキ!


俺達が立っている巨大な樹木が振動で今にも折れそうな音を立てている。

樹木が揺さぶられることでゾルディア君一行は足元がぐらついたのか地面に尻餅をついてしまう。


(いまだ・・・!)


俺はゾルディア君たちが追ってこられないこの瞬間に全力で逃亡を図る。

ついでにフォレストビッグフットには俺の結界魔法で3時間ほどこの場に留まってもらおう。


「さらばだ!ゾルディア君!私を捉まえたければお店に来ることだな!」


カッコイイ捨て台詞風にお店に来るように促すと俺はその場を後にした。


~ゾルディア視点~


ドン!


轟音と共に巨大な腕が俺達の頭上に落ちてきた。

俺は生を諦めながらも懸命に目の前の男を直前まで睨みつけていた。

お互いにここで死ぬことになるだろうが、それでも俺は彼を呪わずにはいられなかった。

後ろから俺を掴んできたクルトンの手を振り払い生きて欲しいと願い。

目の前の男を恨みながら死ぬ。


それが俺の筋書きだったのに・・・


そうはならなかった。

俺達が立っている巨木がメキメキと今にも折れそうな音を立てる。

フォレストビッグフットが振り下ろした巨大な腕の衝撃でだ。

当然、その衝撃で折れそうな音を立てている巨木に立っている俺達は立つことができなくなり、地面に尻餅をついた。


だが、おかしい。

フォレストビッグフットの腕は俺達には届いていない。

見上げると何か防御魔法か何かに阻まれて止まっていた。

それは、信じられない光景だった。

10mを超える巨体から振り下ろされる高速の一撃。

魔法の防御で防げる範疇を明らかに超えたその一撃を完璧に防ぎきる圧倒的な防御力。


いったい誰が・・・


この場にいる誰もが、そう思っただろう。

そして、この場で唯一立っている人物にその視線が集まった。


コーフィ=チープその人に・・・


《無敗の防壁》と呼ばれ、あの《暴君》すら一目を置く結界と領域の魔法を操る魔法使いに・・・


「あ・・・」


助けてくれたお礼が言いたくて「ありがとう」そう言おうとした次の瞬間には彼はどこかに走り出していた。


「さらばだ!ゾルディア君!私を捉まえたければお店に来ることだな!」


最後にそんな言葉を残して・・・


その後、俺達は立ち上がると巨大な檻の様な結界にフォレストビッグフットは捕まっていた。

その間に、俺達は全力で逃げることにした。


こうして、俺達はなんとか命からがら逃げることができたのだ。


ありがとうコーフィ=チープ。

今度お礼を兼ねてお店に・・・・






行きたいけれど、今の俺達の力じゃおそらくそこにはたどり着けないだろうから攻略組の人達に宣伝だけはしておくよ。

それで許してくれるかい・・・・?

                                by ゾルディア=フェイク









(フフフ・・・ これで、ゾルディア君達がお店に間違いなく来るな! よし!この調子で宣伝頑張るぞ!)


ゾルディアの想いを露知らず、コーフィは次なるパーティに宣伝をしに行くのだった。

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