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暴走

ガイが壁を破壊し猛烈な勢いで飛ぼ出してきた瓦礫をいなしてガイの表情をよく観察する、

どうもただの魔剣の暴走だけではないようだ。

とりあえず、ガイの攻撃が収まるまで相手をするしかない。

戦闘など数か月振りなので手加減をうまく調整できないかもしれないが、生きてさえれば大概のけがは治せるので問題ない。


ガイはコーフィ=チープの秘伝を魔剣に向けてはなっている。

しかし、魔剣の力がガイの能力を上回り制御ができなくなってしまったのだ。

チープクラスの武器を日ごろから扱っているガイだからこそ攻撃する相手を≪救世主≫に限定できているが、そうじゃなければ無差別に破壊をもたらしていただろう。


幸いなことにここには≪救世主≫がいる。

彼女ならばチープクラスの魔剣以外の直接攻撃は無意味だ。

しかし。シグムントは厄介な性能をしている。


一つは斥力による中~遠距離の波状攻撃。攻撃範囲が広く目で視認できないエネルギー攻撃。

もう一つは近距離での超重力の一撃。これはくらったら≪五高弟≫ですら冗談じゃないレベルの怪我を負う。

でもまぁ、両方ともによけるのは簡単だ。

一つ目の遠距離王は横。二つ目の超重力攻撃は振り下ろししかできない。


戦ってみてわかったが基本スペックは私の方が上。

武器を持っている分だけガイの方が攻撃範囲で負けているだけなんだけど、ガイの持つシグムントが厄介だ。

あの剣は意思のようなものがあり、剣であるにも関わらず意思の疎通ができるにもかかわらず暴走している。

普段は本気モードの形態変化時はサポートをしているにも関わらず、現状起動していない。


一体全体どうなっているんだ。

後、チープクラスの武器は魔力と闘気が周囲から集まってくるので相手の持続時間はガイの体が崩壊してからだ。


徒手空拳としゅくうけんで受けているだでは現状の打開は難しい。

この場には≪雑魚狩り≫もいるがあれは駄目だ。

上昇志向がいないし、本当に使えるのは相手が自分より弱い時だけに限定される。まぁ、その分弱者に対して無類の強さを誇る。


それにしても、秘伝開花時のスペックが≪五高弟≫最弱の≪雑魚狩り≫より強いなんて嬉しい誤算だわ。

鍛えれば≪五高弟≫に即加入かしらね。

鍛えがいがあるわね。

それにしても、攻撃範囲内になかなか入れてくれないわね。


暴走状態なんだからもっと出鱈目に動きなさいよ。

なんで、剣士としての動きを忠実に再現できてるのよ!

体に染みついた剣士としての修練の積み重ねが厄介だわ。


さっきから声を出しているようだけど用量をえないものばかりだし仕方ない。

早めに終わらせるために本気で〇るか。


「グヲォ」


どうやらこちらが本気になったことに気づいたのだろう。その辺は野生の勘か。

それともいくつもの戦場で戦ってきたことによる危機感管理能力かは知らけどね。


「そんなものが通用する次元じゃないのよ」


一端距離を取って相手の出方を待つ姿勢に移行したのは完全にミス。

あのまま殴り続けてきた方がこちらの強化の準備が遅れて勝算もあったかもしれない。


でもね。


残念ながらこれからは殴られるだけのお人形状態よ。


「いくわよ。」


その言葉を放つと同時に相手に襲い掛かる。

優に音速を超える私の体はさきほどはなった私の言葉をかき消し追い去る。

そのまま息もつかぬ攻撃を息もつかない速度で繰り出す。


目的はシグムントから手を離させること。

そうなれば暴走は止まるだろう。

まぁ、止まらなかったら止まらなかったで別に構わない。

そのぶん殴り続けるだけだ。


剣を奪うとき。攻撃は基本的に手を狙うが、今回はシグムントの暴走なのでただ手を離しただけでは解決しない可能が高い。

そして、こういう時にシグムントが相手だと私は楽ができる。


なにせ、チープクラスの武器は壊れないので全力で殴っていいし、おまけに相手はシグムントの変換後の姿なので刃が隠れる。

シグムントは基本形態が剣で、変化すると鈍器になる。

なぜそういう仕様なのかはわからないが、そういう武器だから仕方がない。


「さっさとその剣を手放しなさい!!」


何度目かになるかわからない痛恨のアッパーカットが炸裂する。

それが決め手になったのか。

ガイは後ろに倒れこみ。

持っていた剣は床の上に落ちた。


「いや~、まさか師匠が見込んだ人が魔力暴走を起こすなんて、もう少し選定基準を見直さないとダメかな?」


≪雑魚狩り≫の言葉に含まれるとげのようなものが気になって≪救世主≫が振り返って≪雑魚狩り≫を睨みつける。


「お父様の判断に何が不満なの?」


まだ戦闘状態から抜け出ていない≪救世主≫の魔力と闘気に殺気が混じっている。


「ハハハハ そんなわけないだろう?師匠の目は疑っていないよ。ただ思った以上にガイ君の成長が遅いのが気になっただけさ。彼が起きて事情を聴いて問題なければシグムントは僕が預かるよ。」


≪雑魚狩りの≫言い分を聞いて≪救世主≫戦闘態勢を解く。


「試験なんて必要ないわ。ガイはもう私たちと同じ秘伝獲得者よ」


「どうしてそんなことがわかるんだい?」


≪救世主≫の言葉の真意を知ろうと≪雑魚狩り≫が話しかけると≪救世主≫は


「さっきの戦いを見ればわかるわ。わからないのはあなたの観測不足よ。」


と言って神殿に戻り他の修行者たちの面倒を見た。


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