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説明回になってしまった(作者談)

魔族のお客様へのサービス不足とアピール不足のせいかあれ以来お客様が来ない。


(あれからもう、一週間か・・・)


天井を見上げて自分の不甲斐無さを改めて認識した。

あそこでサービスしておけば魔族のお客様がごっそり来てお店は繁盛していたかもしれないのに・・・

そう考えると後悔がドッと押し寄せてくる。


「はぁ・・・ 今日も誰も来る気配がないなぁ~・・・」


そう思いつつ窓の外を眺める。

見えるのは巨大な木々や魔獣ばかりで人や魔族はどう見てもいそうにない。

気配を探ってみるが残念ながらこの周辺には人っ子一人もいやしない。


「ううむ・・・ 気分転換に散歩にでも行くか・・・」


誰もいない店内の仕事に飽きた俺は着替えて散歩に出ることにした。

店内にいても客は来ない。

それを俺はここ一か月と少しで学んだのだ!


(そう、だからこれは敵前逃亡ではない! 俺はお客様を呼び込む呼子よびこになろう!)


こうして、俺は意気揚々と散歩に出かけた。


(まずは人のいる方に行かないとな。)


ということで俺は自分の店から東へと向かう。

なぜ、東に行けば人がいるのかというとギルドが東側にあるからだ。

魔の森を攻略するために魔の森の入り口にある冒険者ギルドはそれほど多くはない。


理由は二つ。

魔の森に隣接して冒険者ギルドを開くにはそこに人が集まる様にしなければならない。

冒険をするための武器や装備はもちろん。

食料に衣服、宿泊施設だけでなく辛い厳しい冒険を一時でも忘れるために娼館や娯楽施設は必須だ。

そうなると冒険者ギルドでは手が回らないので国家クラスの力で巨大な街を作る必要がある。


なにせ街を作るには人手がいるし、魔の森の近くには魔獣がよく出る。

そのような危険な場所を安息の地とするための高い防壁や街を守護する騎士団は冒険者では務まらない。

なにせ冒険者は悪く言えば無法者の集団だ。

規律や礼節、協調性を重んじる騎士団のように街の守護には向かない。

なので、魔の森の周辺の街は国が作ったものだ。


なぜ国が魔の森の周辺に街を作るかと言えばメリットがあるからだ。


一つ目のメリットは魔の森でしか手に入らない希少な薬草や見たこともない魔獣の毛皮や肉。

危険極まりない魔の森でしか手に入らないこれらのものは非常に高価でしかも人気が高い。

魔の森という過酷な環境で育った魔獣の肉は栄養価が高く美味だし、毛皮なども非常に丈夫であらゆる耐性が高い。

薬草に関しては『不老長寿』の噂が流れる始末だ。

なので、海に面していない大陸の内陸部の国家は魔の森と面していない海を持つ国家と海産資源や塩との交換にこれらのものを使うことが多々ある。


二つ目は国家の力を他国に知らしめるため。

安全な土地に街を作るのとは違って魔の森に街を作るには莫大な費用と人がいるし、作っても維持していくのにお金と人が必要になる。

だが、その大変さはどの国も同じだ。

魔の森に面していない国の者達にすらその膨大な費用と人、作った後の維持費がどの程度必要なのか知られている。

なので、一個作ってしまいそれを維持するだけでその国の力を周囲に誇示することができるのだ。


莫大な初期費用と維持費はそこにいる冒険者たちからもたらされる収穫物で相殺される。

なお、冒険者の取ってきた収穫物は国家と共同の冒険者ギルド以外での買取が禁止されているので国家と冒険者ギルドが独占できる。(冒険者ギルドは国家に街を作ってもらって活動しているので実際は国家の独り占めである。)


三つ目は人口爆発による失業をなくすためだ。

今、現在は国家間の戦争をしていない。

表向きの理由は『魔の森の向こう側に手を取り合って進む』ためだ。

裏の理由は『国家間の戦争をしてもあまり利益がない』ためだ。

土地を手に入れても新しく開拓出来る場所が少なく、人界で広まった唯一の宗教が『奴隷制度を認めない』上に『人権を保障せよ』と謳っているので得た土地の人間を奴隷にすることもできない。


世界で唯一広まったこの宗教は人界の国家ほぼ全てに行き渡り、この宗教に所属している人間の数と権力はすでに一つの国家を超えている。

所属していなくとも宗教を崇めている人間の数は多いので国は手が出せない。

逆らえるのは人界の三大国家であるアボレア帝国とフランシア共和国、ゲネシック興国だけなのだが、フランシア共和国は元々奴隷制度反対のお国柄で、アボレア帝国は現皇帝が未知の土地である魔の森の向こう側にしか興味がなく、ゲネシック興国は教会発祥の地なので教会と懇意にしている。


なので、奴隷制度に反対できる国は少ない。

もし反発すれば教会を敵に回すどころか三大国家の内の二か国と国内にいる信者を相手にしなければならないのだ。

だから、人界では戦争が起こっていない。

そうなると戦争のない世界での人口爆発とそれに伴う食糧不足が深刻な問題になるはずなのだが、冒険者ギルドが行う魔の森やダンジョン、未開の地などの調査で危険地帯に人を送ることでそう言ったことにはなっていない。


『仕事が無い者は冒険者ギルドへ行けばいい』と言われるぐらいに冒険者ギルドには仕事が溢れている。

おまけに危険な仕事ほど見返りが大きいので一攫千金を狙った大量の人間がそこで死んでいく。

栄光を手にするのはほんの一握りの人間で大半は死ぬか身の程を知って自分にできる程度の難易度の仕事に落ち着く。


四つ目のメリットが危険人物の発見である。

冒険者の中には騎士達よりも強い者が多々いる。

冒険者はダンジョンなどで日々実践を重ねているので単体としての実力は騎士団よりは上だ。

ただ、集団戦になると烏合の衆でしかないので騎士団に負けてしまうのだ。

勝てるのは冒険者の中でも規格外の実力を持つ《軍団級》と認定された者達のみだ。


《軍団級》の冒険者は単独、または数人のパーティで国家の一軍と互角に戦うことができる。

なので、軍隊と同列扱いされる彼らは危険人物である。

しかし、同時に国家に属してくれると対立国の牽制に使えるので国はいつもその扱いに困る。

だが、危険人物であるかどうかは噂や冒険者の証言を元に推測できる。

あとはそこから『取り入るか』『排除するか』『放置するか』の三択である。


その中で一番多いのは放置だ。

なにせそれだけの力を持つ冒険者だ。

彼らの一日の稼ぎは異常だ。

国家の力をもってしても家臣に加えて金銭でその代りを払うのは出費がデカすぎる。

なので取り入って国家の家臣の1人に・・・ というわけにはいかない。


排除は失敗した場合に個人対国家で戦争をすることになるので割に合わない。

なので、一番いいのは放置だ。

放置していれば冒険者と働いて冒険者ギルドに収穫物を収めたり、街でお金を落として経済を回してくれる。

魔の森に入ってくれれば国家予算が潤う。

だから、放置が一番多い。


だが、そんな《軍団級》の彼らですらこの魔の森を超えた者はいない。

それだけ、この魔の森の魔獣が手強いということなのだろう。


話が脱線したがそんな訳で魔の森で人を探すならば魔の森付近にある街に近い方がいいのだ。

魔の森の近くにある街は『単純にそこに街が作り易かった』という理由と『この辺の魔獣が大人しい、又は弱い』と云う理由がある。

そう言った場所に街があるので冒険者は魔の森に入って狩りを行う時にいくつかのグループに分かれる。


一つ目は攻略組と呼ばれる魔の森を北に直進して魔の森の突破を図ろうとしたグループ。

二つ目は初心者組と呼ばれる魔の森に入ってすぐのグループ。

三つ目は中間組と呼ばれる一つ目と二つ目の間の場所で狩りや探索を行うグループ。

四つ目は探索組、もしくは負け組と呼ばれるグループ

この四つ目のグループは攻略組を目指したが実力的に諦めた者達が攻略組を追わずにその中間ぐらいの場所で効率的に狩りをするために北東か北西に進む者達や魔の森の難易度の高さに挫折して森に入ってすぐの場所から東か西に向かって狩りをするグループのことである。


図 (分かりにくかったらごめんなさい。)

魔の森 北側

↑攻略組

↑中間組  →攻略組を追わずに中間組より西か東にズレた場所に向かうのが探索組

↑初心者組 →初心者と同じ場所にいて変な噂を流されたいために西か東に進む負け組

矢印が人の動きです。


ちなみにコーフィの店は攻略組から西方向の場所にあります。

なんか説明だけで終わっちゃってごめんなさい。

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