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初仕事

今回、普段より若干長めです。

その後、すぐに解散となった。

社長が言うには、出入り口はたくさん設置するらしく、すでに何か所かできているらしい。

やはりあまりばれてはいけないことなので一階の外へと出る出口を使用した。

そして、昇降口に向かうと何か騒がしかった。

「何かあったのか?」

「さぁ、何でしょう?」

俺と光士は人が集まっているところに向かった。

そこには…多分、社長が設置した目安箱なのだろうが…机の上に箱形の何かというか生物?がいた。周りに集まる生徒は口々になにあれ?きもいとか言っている。俺もそう思う、というより怖い。なんか噛まれる…というより喰われそうだ。

まぁ、例えるなら投票箱の形をした人食い箱だな

「なぁ、あれって目安箱か?」

「そうでしょうね。 あの箱に目安箱って書いてあるうえに張り紙してありますし」

「本当だ。 えーと、何々…恨みを晴らすなどの悪意を持ったお願いを入れてください。お手伝いします。冷やかしや撤去しようとする人は噛みます。裏生徒会より。……なにそれ」

「言っている通りでは?」

「うん。 わかってるけどさ…」

「何の騒ぎだ!」

通りかかった教師が騒いでいる生徒達を見つける。

原因を撤去しようとその箱に手をかけようとすると、その箱は俺の恐れていた通り齧り付いた。

「ぎゃぁ!」

右腕が肘のあたりまで飲み込まれていた。

周りの生徒たちはその恐ろしい光景ゆえか、声も出せずに後ろに下がっていた。

箱からはゴリッゴリッというような音が聞こえ耳をふさぎたくなる。

しばらく痛みに苦しんでいた教師はうずくまって動かなくなっていた。

箱は教師から離れどうやってかは分からないが机の上まで戻った。その後、まるでマナーのなってないおっさんのように

「ゲップ」

と音を立てた。

心なしか少し大きくなったように見える。

「こ、怖えよ」

「そ、そうですね」

「こんなのにだれが投書するんだ?」

「彼女のすることに悪口は言わないでください」

「あ、あぁ悪い」

「と言っても、僕もさすがにこれはどうかとは思います」

「だよなぁ…」

しかし、よく見ると教師の腕に一切の傷はなかった。…ちょっと唾液みたいなものがついてるけど。その後、噛まれた教師は救急車で運ばれた。身体的にも何の問題もなかったそうだ。

教室に向かい社長に話を聞く事にした。

「一体なんなんですかあの目安箱!?」

できる限り小声で言う

「いやぁ、冷やかしと防犯を考えてたらああなっちゃたのよ」

「しかし、あれは危険ですよ」

「そんなことないわよ。 あの子についてる歯はただの飾りみたいなものだし」

「それで、かみついて脅すわけですか?」

「それもあるけど、一番の目的はあの子用のエネルギーね」

「エネルギー?」

「あの子の原動力になっているのはズバリ感情よ」

「感情ですか?」

「そう。 なんか、あの子に誰か噛まれたらしいけどその人動かなくなったでしょ」

「はい、そうですが…」

「それは、あの子がやる気だとか怒りだとかその時の考えだとか色々食べちゃって一時的に動けなくなっちゃうのよ」

「なるほど」

…わからん

「あの子の能力はそれだけじゃないのよ。 全部で三つ、能力があるの。 一つはさっきも言ったけど相手にかみついて燃料を得ること。 もう一つは自分に近づく人間の行動をある程度までなら読めること。 最後に、これが一番大事な能力。 投書の仕分け能力」

最後が一番しょぼい様な…でも、目安箱としてはよすぎる能力かもしれないな。

放課後、俺と光士は裏生徒会室に向かった

裏生徒会室のパソコンにはカイルがいた

「カイルか…調子はどうだ?」

「調子も何も、おれはAIだから何も変わらないよ」

「そっか。 でもほら、あの半削除の刑って奴は?」

カイルはめっちゃ震えていた

「にいちゃん、その話はやめてくれ。 ホント、お願い」

どんだけ怖えんだよ

「おっまたせー!」

社長がパソコンの机の下から出てきた

「一体どこから出てきてるんですか!」

「ふふふ、この部屋はギミックだらけ。 出入り口もたくさんなのよ」

「それは聞いてましたけど、いくらなんでもそんなところから出てくるとは思いませんよ」

「そういう意外性が楽しいんじゃない」

「僕もそう思います」

「だよねー。 ホントに光士君は私の理解者だね」

「はい。 先生が望むのならば」

「そんじゃあ、本題ね」

社長はあの目安箱を置いた。

俺は思わず後ずさりする。

「大丈夫なんですかこれ?」

「大丈夫よ。 朝も言ったじゃない」

社長は箱に手を置く

「ほら、メー君。 投書出して」

「め、メー君?」

「この子の名前よ」

「そりゃわかりますけど…」

投書を入れるであろう部分から一枚の紙が出てきた

それを社長が手に取る

「…一枚だけか。 え~と、陥れたい人がいるので手伝ってもらえるのであれば、放課後の誰もいなくなっている一年一組の教室まで来てください。 …無記名だね」

こんなのに投書されてることが驚きだ。 しかも、初日に。

「ホント、失礼ね。 そんなにメー君が怖いのかしら?」

「勝手に人の心を読まないでください。 それと、その箱はマジで怖いです」

「あんまりこの子のことを怖がっているとなめられるわよ」

「どういうことですか?」

「子の子には犬ぐらいの知能はあるの。 格下とみたらとことん調子に乗るわよ」

「…そ、それは嫌です」

「なら、さっさと一年一組の教室に行くわよ。 日程が指定されていないってことは間違いなく当日を指してるわ」

「からかっているだけかもしれませんよ」

「そうだとしても、この投書は間違いなく本心よ」

「どうしてですか?」

「強い悪意のこもった投書だけを選別するのがメ―君の能力なの。 だから、いたずら気分の気持ちぐらいなら消去しておしまいよ」

「なるほど」

「じゃ、行くわよ」

俺たちは一年一組の教室へと向かった。

そこには、ツインテールの美少女がいた。

「あ、本当にきたんだ」

「もちろん。 それが私の仕事だからね」

「そうですか。 それにしても先生と先輩方が来るとは思いもよらなかったです」

「俺たちのことを知っているのか?」

「それは憎い相手の担任とクラスメイトですからね」

そこまで調べてるのって…、むしろそいつのこと好きなんじゃね?

「とりあえず、誰をどのように陥れたいのか教えてほしいかな。 言いたくないならいいけど、貴女の名前も」

「あっ、名乗らないと失礼ですよね。 私は二年の四季秋奈です」

「あれっ? 一年じゃないの?」

秋奈は呆れた顔をしていた

「この人、大丈夫なんですか? 今年の入学式はまだですよ」

「あぁ、そうだった」

我ながら、その辺に興味がなさ過ぎだな

「大丈夫よ。 この子はまだ研修生みたいなものだし、私がばっちり仕事こなしちゃうから」

「あなたもですよ。 教師がこんなことしていいんですか?」

「別にいいのよ。 教員免許すら取ってないし」

「そんなことよくさらっと言えますね」

「ま、もしばらすようならあらゆる手段を使って消し去るから覚悟してね」

さらっと脅すな

「は、はい。 わかりました」

「それで、うちのクラスっていうのはわかったけど誰なの?」

「…私の姉の美春です」

「あぁ、あの子」

そんな奴いたか?

小声で光士に聞いてみる

「誰だ?」

「白城さん、それはさすがにひどいですよ。 転校してきたばかりの僕でさえ彼女が有名なことは知っていますよ」

「で、誰?」

「僕も直接お話したことはありませんが、クラスの皆さんが言うには成績優秀でスポーツ万能。 見た目も美少女と言えるでしょうね」

まるで、少女マンガのテンプレの様なステータスだな。

「で、どうするの? でっちあげのウソ話で評判でも下げる?」

「姉はそんなことでは大した効果はないと思うんです。 だからスキャンダルを手に入れてほしいと思っています」

「あんなできた子にそんなのあるのかしら?」

「多分、あります。 姉はバイトしているみたいなんですけど、この前チラシみたいなの見ててなんか怪しい奴みたいで、きっといけないことをしているに決まっています」

「へぇ~。 それは興味深いわね」

なんか、社長が笑みを浮かべている。

「それって確証なさすぎじゃないか?」

「そんあことありません! 絶対あります!」

自分に思い込ませてるっぽい感じだな~。

「今回の件引き受けるにあたって、四季さんにお願いがあるの」

「な、なんですか?」

秋奈は息をのむ。

「そんな気張らなくてもいいのよ。 誰にでもできる簡単なことだから。 裏生徒会は安全で人の願いを聞いてくれる素晴らしい組織だっていう噂を流してほしいのよ」

「まぁ、それくらいならお安いご用です。」

「私が言うのもなんだけど、こんな得体のしれないものを頼ってくれてありがとう。 でも、これは悪魔でお手伝い。 すべてを私たちに任せてはだめよ」

「わかりました」

「で、そのバイトの時間は分かるの?」

「多分、八時位かと」

その時間にうちの学校の制服着た女子がいたような…

「四季美春は部活に入ってる?」

「いえ、入っていないです」

「家にはもう帰っているの?」

「いえ。 帰っていないかと」

「…今日はやめておくか」

「その~先生? その時間帯に家帰ってる途中でうちの制服着た女子見かけたことあるんだけど、行ってみます?」

「う~ん。 退屈だし行ってみようか」

「ほ、本当に大丈夫なんですか?」

「大丈夫、大丈夫。 私に不可能の文字はないから」

「は、はぁ」

「…で、付いてくるの?」

「悪魔でお手伝いしてくれるだけなんですよね。 なら、付いて行かないわけにはいかないじゃないですか」

というわけで、いったん帰宅となり外道屋近くの場所で七時頃に落ち合うことになった。

 例の場所に向かうと秋奈がいた。

「あれ? 早いな」

「早めに行動するのは当たり前ですからね」

「そうか」

「先輩」

「なんだ?」

「先輩はこうゆうことはよくしているんですか?」

「いや、これが初めてだな」

「何故、こんなことを?」

「何故って言われてもな、ただ社長がそういうから」

「社長っていうのは先生のことですか?」

「あぁ、初めて会って二日後に担任になってたよ」

「すごいですね…。それ」

「俺もそう思う。 …君の質問に答えたから、俺も聞いていい?」

「……どうぞ」

「君はどうして姉を陥れようとするんだ?」

「…大した理由はありません。 誰もが思うような理不尽な妬みですよ」

「…そうか」

妬み…か…。 適当な人生送ってきた俺にはあんまり関係のない感情だな。

話していたら、光士と社長が二人でやってきた。

「いやぁ、ごめんごめん。 待った?」

「すいません。 準備に手間取りまして」

「大丈夫ですよ」

「…準備って、俺は?」

「その人を待たせるわけにはいかないじゃないですか」

「そうよ。 大切なお客さんなんだから」

「そ、そうですか」

「あ、あの。 姉の写真持ってきました」

「あら、それは必要ないんじゃない?」

「先輩がわかっていなかったみたいなんで」

「そんな手間を取らせるなんて、白城さんはだめですねぇ」

「ホント。 私は何でこんな子を…」

別にいいじゃないですか!って言いたい…が、同じクラスの奴の顔を知らないのって俺ぐらいだよね。分ってます。

「…すいませんでした」

写真を見せてもらう。 

「あぁ、居たな。 こんな人。 やっぱり、前にここで見たのと同じ人だな」

「それじゃあ、ターゲットはここを通る可能性が高いわけね」

ターゲットって…おい。

それから、しばらく待ち続けると四季美春と思われる人が現れた。

「来たわ。 私と秋奈さんはそのまま尾行するから二人は先回りして待ってて」

「何故ですか?」

「まとまって行動したら目立つでしょ」

「なるほど」

「見失っちゃうから早く行って」

「わかりました。 白城さん、いきますよ」

「お、おい。 待てよ」

先に行く光士を追いかける

「先回りって、行く場所わかってんのか?」

「いいえ、わかりません」

「なら、どこに行くんだよ?」

「社長がああ言う以上、僕たちは社長の言う通りにしなくてはいけません」

「いや、だからわからないから無理だろ」

「とりあえず、向かった方角あたりを探してみましょう」

「そんなこと言われたってな…」

「それでは、左右から分かれていきましょう」

「ちょっと、おい! まて!」

光士は先に行ってしまった。

「あいつ速ぇな。 はぁー。 しかし、どうしよう」

そんな急いでも疲れるだけだし、ゆっくりと行くか。

約十五分後、どうしてこうなった。

四季美春と鉢合わせになっていた。

「どうして白城君がこんなところに?」

「い、家がここから近いんだよ」

おおよそ嘘は言っていない。 実際、三キロ圏内だし。

「そう。 それじゃあね」

そういうと、俺の背後にある建物に入って行った。

…おい。 これは冗談か? そこにあるのは俗にいうラブホ…ですよね?

横を見ると社長たちがいた

「ふむ。 あなたはそんな秘密を…」

「誤解ですよ!」

「先輩は姉と一緒に何をしようと…?」

「いや、だからなんか誤解してません?」

そこに光士がやってきた

「おや、みなさん、こんなところで…、そんな! 美女二人を…白城さん、見損ないましたよ」

「だから、誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「白城君が変な誤解されてるのはいいとして、スキャンダルは手に入れたわ」

…誤解されるのは良くないって。

カメラにはラブホに入っていく、四季美春が写っていた。…俺も写ってるけど。

「これ間違いなく、明らかに俺の方が被害大きいんですけど」

むしろ、俺だけのような気もする。

「よし、目的達成ね」

「ちょっと、無視しないでください」

「ちょっとの被害は気にしない。 それにしても、これは言い逃れできないわね。」

「言い逃れできないと俺が困るんですが?」

「先輩の犠牲は無駄にはしません」

「はぁー。 確定事項ですか…」

「多分大丈夫ですよ」

「大丈夫じゃねぇよ! 絶対やばいよ!これ」

「それじゃあ、この写真あなたに送っておくわね」

「わかりました」

そうゆう宿命か…

今日はそのまま解散となった。

翌日、クラス内は大騒ぎだった。…そりゃあ、当たり前か…。

四季美春の周りには人だかりができていた。

クラスメイトはしきりに質問をし続ける。

問題の写真には俺は写っていなかった。

写っていたら、こんな他人事には言えないわけで。

どうやら、社長も秋奈も俺に気を使ってくれたようだ。

マジで感謝だが、写真には不自然さが残る。

これでは、論破されてしまう可能性がある。

と、思った矢先

「私、何も悪いことしてない! ただ、バイトしただけだもん!」

…その発言は認めちゃってません?

しかし、優等生のそんな発言に追及しようとする者はいなかった。

皆さん、人ができてますね。

「ほら、みんな座って座って」

社長がやってきてホームルームが始まる。

事態は大きなことにはならず、そのまま収束したようだ。

俺への被害がなくてよかったような、悪かったような。

面倒事は避けられてよかったけど、楽しいことはあんまりなかったし。

放課後、秋奈がやってきた。

「先輩、ありがとうございました」

「それは、何に対してだ?」

「姉を陥れるのを手伝ってくれたことです」

「成功とは言い難いけどな」

「それでも、姉に嫌がらせは出来たと思います。 それで充分です」

「…そうか」

「ほかの皆さんにも伝えておいてください。 本当にありがとうございました」

なんかもやもやするな。俺には何もできないんだろうか?

その後、俺は裏生徒会室に向かった。

「みんな揃ったわね。 それじゃあ、メー君」

箱からは何も出なかった

「今日は何もなしかぁ…」

社長はへこんだ。

「あの、先生?」

「何?」

「前回のこと、まだスッキリしないんでどうにかしません?」

「う~ん、確かに完璧とは言い難いけど、一応はうまくいってるしな~。 やりたいんだったら一人でどうにかして」

「そ、そうですか…」

「でも、道具とかならいくらでも貸してあげるわよ」

「…ありがとうございます!」

「今日はもういいから、行っていいわよ」

「はい! それじゃあ、行ってきます」

俺は走って四季美春のもとに向かった。

「そんな疲れた様子でどうしたの? 白城君」

「はぁ、はぁ。 ちょっと見てもらいたいっものがあってね。 この写真をね」

俺と四季美春がラブホの前で写ってる写真だった

「どうしてあなたがこんな写真を…それにあの写真にはあなたは写ってなかったし…まさか!?」

俺は息を整えた。

「そう。 あの時、仲間がいたのさ」

「どうしてこんなことをしたの…!?」

「依頼されたから」

「誰から?」

「それは言えない」

「何が目的なの?」

「本来はあんたを陥れることなんだが、今はそんなんじゃない」

「じゃあ、なんなの?」

「知りたいから、そんでもって依頼主と仲良くしてもらいたいから」

「知りたいってなにを? それに誰ともわからい上に私を陥れようとした人と仲良くなれるわけないでしょ」

「知りたいことはどうしてそんなに仲が悪いのかということだ」

「そんなの誰だかわからないのに答えられるわけないでしょ。 それこそ、その依頼主に聞きなさいよ」

「そりゃそうなんだけど、今あんまり聞ける感じじゃないんだよ」

「何それ? そんなの私には関係ないじゃない」

「関係なくはないさ。 その人はあんたもよく知っているはずなんだから」

「だから、一体誰なのよ?」

「…あんたの家に連れて行け」

「はぁ? なんでよ?」

「そこで教える」

「なんで私があなたを家に連れて行かなきゃならないのよ」

「この写真ばらまいてもいいんだぜ」

「そんなことしたら、あなたがただじゃすまないわよ」

「あぁ、望むところだね! 今思うとそれはそれで面白そうだ」

「何、やけくそになってるのよ」

「やけくそなんかじゃないさ」

「あぁ、もう。 わかったわよ」

「よし。 それじゃあ、行くぞ」

「勝手に仕切らないでよ」

こうして四季家に向かった。

そこは結構なボロアパートだった。

「ここがそうなのか?」

「そうよ。 意外だった?」

「そうだな。 マンガとかのテンプレみたいな何もかも持っているような奴かと」

「ま、現実はそう甘くないってことね」

つまり、妹もか

部屋に上がらせてもらった

「ただいま」

「お姉ちゃん、お帰り―」

「おじゃまします」

「な、なんで先輩がここに!?」

「何? あんたたち知り合いなの?」

「ちょっとな」

「それで、何でですか?」

「その~なんだ…」

今更なんか、言いづらくなってきた!あぁ、もう何とか言え!俺!

「白城君は家に連れて行ったら私に嫌がらせをした犯人を教えてくれるって言ったから連れてきたのよ」

秋奈の顔が不穏な表情になる

「そうなんですか? 先輩」

「あ、あぁ。 そうだ」

「それで、誰なのよ?」

「……め、目の前にいる」

「目の前って、秋奈しかいな、い…そういうこと。 あなたがそんなことするなてね…秋奈」

「だから、どうしたのお姉ちゃん。 私は昔からお姉ちゃんが嫌いで嫌いでしょうがなかったのよ!」

「こんのバカ妹がぁ! あなたのせいで私がどんな目にあったか…!」

「それは私のセリフよ、お姉ちゃん。 いっつもお姉ちゃんと比べられるから! 同じ貧乏暮らししているクセに! 私より何もかもが上で!」

「そんなの知らないわよ! あと少しで私の作り上げてきたイメージが壊れるところだったじゃない!」

…この状況は俺のせいだよね。…しかし、どうしたらよいものか。喧嘩の仲裁なんてましてや姉妹のなんて…。それでもまぁ、やらなきゃだめだよね。

「二人とも、とりあえずストップ!」

「あなたは」「先輩は」

「「黙ってて!」」

み、見事なシンクロです…。

「でもさぁ、そんな言い合っててもきりがないでしょ。 とりあえず落ち着こうよ。なっ」

「まぁ、そうだけど」

よっしゃ!とりあえず少し落ち着いたっぽいぞ。

「二人はちょっと座ってて、お茶出すからさ。 どこにある?」

「いいわよ。 私が出すから」

「あぁ、悪い」

美春は狭い部屋の隅にある冷蔵庫からお茶を取り出しに行く。

「…先輩はどうして来たんですか?」

「ちょっとこの前の件がスッキリしなくてさ、行動したらこうなった」

「もっと考えてから動いてください」

「すいません」

美春は三人分のお茶をちゃぶ台に置く

「それで? この状況を白城君はどうするのかな?」

これでもかっていうぐらいの皮肉が込められてる感じだな

「とりあえず、俺の話を聞いてほしいんだ」

「わかったわ」

「俺には一人、歳の離れた兄貴がいるんだけど、よく悪口言い合ったりはするけど仲が悪いわけじゃないんだ。 ただ単に年が離れてるからガチでやらないのかもしれないんだけどさ、やっぱり兄弟って仲が良い方がいいに決まってると思うんだ」

「それなら、あなたが来る前は仲良し姉妹だったわよ」

「そんなの上辺だけだろ。 あの子はあんたに嫉妬していた。 嫉妬なんてのは誰でも抱きそうなコンプレックスで、それがあっても仲良くは出来ると思うけど、本気で相手を思えないだろう」

「…先輩」

「上辺だけで何が悪いの? それに、あなたとは他人なんだから関係ないじゃない」

「関係なくないね! 俺はこの子から依頼を受けた。 だけど、それは完璧じゃなかった…! だから! その代償として、俺はあんたらの仲を取り持つことにしたんだ!」

美春の表情が少し和らいだ

「…あんたがそんな奴だとは思わなかったわ。 いつも一人で退屈そうにしている奴でしかなかったのに…。 意外ね」

「俺も自分がこういう人間だとは思わなかったよ。 ちょっと前は全く興味なかったのに…」

「…なんか終わりそうな雰囲気でていますけど、まだこの問題は解決してませんよ?」

「…ですよねー」

「で、どうするの? 白城君」

結局、振り出しか…。しかし、さっきよりは和やかになったはず。

「質問いいか?」

「どうぞ」

「なんで、ラブホにいたんだ?」

あ、地雷踏んだかも。 しかも、ど真ん中を。

秋奈は呆れた顔をしている

「先輩、…このタイミングで聞きますか?」

「あぁ、我ながらすげぇアホなこと言った」

「別にそんなことぐらい言ってもどうってことないわよ」

「マジで?」

「マジで」

「確かに俺が目の前にいるのに堂々と入っていったもんな。 あの時はただ単に俺が無口な奴だからかと思ったがそうじゃなかったのか?」

「別に悪いことしてたわけじゃないし…」

「えっ? 学生があんなところに行くって、援…」

「そんなことしないわよ!」

ふむ、言わせてくれなかった。別に言いたかないが。

「じゃあ、何だ?」

「ちょっとおしゃべりするだけで二万円くれるっていうのがあったから…」

「だから、あれなんじゃないのか?」

「そうなの?」

「いや、普通おかしいと思うでしょ。 お姉ちゃん…」

こいつ、アホの子か?

「優等生は意外なことにアホの子だったんだなぁ」

「アホの子って何よ!」

「ぷっ、あははははは」

「秋奈は何笑ってんのよ」

「いやぁ、お姉ちゃんも意外と間抜けなとこあるんだなって」

「でも、私変なこと一切してないしされてないのよ」

「それは運が良かっただけだろ。 今後はそういうのに手を出さない方がいいと思うぞ。 いつ酷い目にあうかわからないからな」

「そうだよ、お姉ちゃん。 そんな都合のいいもの、何があるかわかったもんじゃないんだから」

君も人のことはあんまり言えない気がするがな。 この人よりはしっかりしていそうだけどさ。

「わ、わかったわよ」

しかし地雷だと思ったのが、意外な救世主だったな。

今後気を付けないとマジでやばいの踏みそうだな。

俺、人のことをアホの子なんて言える方じゃないかもしれん。

その後、二人は元の仲に戻ったようだ。今度は上辺ではなく本当の意味で。



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