名称決定!
社長によって締め出された俺たちは助けを呼んで人に変な目で見られるのは嫌だし、ドアを壊したりして怒られるのも嫌なので社長が来るまで待つことにした。
「これからどうする?」
「そうですね…僕たちはまだ知り合って間もないですし、いろいろとお話をしましょうか」
「ま、それ以外することはねぇな」
光士は急に真剣な顔になった。
「僕はあなたについてどうしても知りたいことがあるんですけどいいですか?」
「なんだ?」
「白城さんは社長のことどう思っているんですか?」
「どうって、変わった人だなぁぐらいしか。 あれは人と言っていいのか分からないけどな」
「そういうのではなくて、好きか嫌いかです」
「うーん、好きか嫌いかで言うと好きだとは思うけど、好きっていうより感謝とか尊敬に近い気がするな。 今現在こんな酷い目に合わせてる張本人ではあるけど、これからを楽しくさせてくれそうでな。出会って間もないし期待も込めてな」
しかし、こんなことを聞くなんてな。…ベタな感じはするがまさか
「お前は社長のこと好きなのか?」
「……」
沈黙。 図星だったのか、それともあらぬことを言われて怒っているのか?
「……そうです。 私は社長のことが好きです」
前者だった。
「へぇー。あの人をねぇ。 社長とはいつからの付き合いなんだ?」
「彼女とは物心つく前からの付き合いです」
「そんなに前からか」
「えぇ、僕の家系の都合上で」
「どういうことだ?」
「僕の一族のルーツは彼女を信仰していました。 そして、彼女に危機が迫ったとき自らの体を差し出して彼女を助けたと言います。 それが代替わりで続いてきて僕の代まで続いて来たわけです」
「なるほど。 だから社長といるのか」
「ところが、僕より二代ぐらい前からITが発展してきて、今ではロボットまでできて……僕は用済みなのかもしれませんね」
なるほど、だからあんな顔してたのか。
「そんなことはねぇんじゃねぇかな。 お前の先祖もお前も社長のために尽くしてきたわけだし、これからもそうしていけばいいんじゃねぇかな?」
「…ありがとうございます。 そういってもらえるだけでうれしいですよ。 僕は彼女のために生きられればせれでいいですからね。」
「…やっぱり社長にはお前が必要だと思うよ。 お前の忠誠心、すげぇし」
「それほどでもないですよ。 それと、僕の好意もあなたと同じような憧れや尊敬に近いものです。 それが、好きになってしまったような感じですよ。 だから…必要ないんです」
自分に言って聞かせてるような感じだな
「ところで、俺がもし社長をそういう意味での好きだって言ってたらどうしたんだ?」
「殺します」
「えぇっ!? そこまでするか!?」
しかも即答。
「いえ、殺してしまうのは彼女への背信行為に他ならないのでそこまではしませんが、少々痛めつけてでも矯正しようとはしましたね」
「そ、そう…」
ちょっと目がマジだったぞ。こいつ怖ぇぇぇ!
「な、なぁ、この話はこの辺にして、別の話をしようぜ」
「そうですね。 …それでは、名前の話はどうでしょう?」
「名前の話? あぁ、悪魔小僧と天使ちゃんって子の名前のことか」
「それもあるんですが社長が自分の名前を付けたことに疑問があるんです」
「あぁ、確かに。 ここでの外道屋の名称も考えるって言ってたしな。 てっきり俺にまた任せるのかと思ってた」
「僕もです。 まぁ、考えたところであの人の真意がつかめるとはまったく思えないのですがね」
「同感だ」
「何が同感なんだ?」
ポケットから声が鳴り響いた。 俺はポケットからスマホを取り出した。
「急に喋ってくるなよ」
「別にいいだろ。 おれも話に混ぜろー!」
「ったく…」
「別にいいではありませんか。 悪魔くんの名前も決めるわけですし」
「えっ? 何、おれの名前決まったの?」
「いや、まだ決まってない。 一応一つ考えてあるんだけど…」
「なんという名前ですか?」
「はやくはやく」
「……カイルってのはどうかな?」
「…どうしてそのような名前を?」
「宗教とかの悪魔の名前から引っ張ってこようかと思ったんだけど、それじゃあ捻りがないし社長の言ってた名前の概念にも合っていない気がしたんだよ」
「それで?」
「とりあえず、見た目的な特徴からデビルってのはとっておきたくてよ。 それで何付けたそうかって考えたんだが…」
「だが?」
「あの、その、なんだ…えー、…英語でよ、親切って意味のさ…カ、カ、カイン…ド? と繋げて、カインドデビル、…略してカイルだ…」
あぁ、なんかすっげぇ恥ずかしい! 子どもに名前付けるってこんな感覚なんだろうか? それとも子どもに名前を付けた理由を言うときか? どっちにしろ恥ずかしい!
「いいじゃないですか。 とってもいい名前だと思いますよ」
「おれもそれいいと思う」
「そ、そうかっ」
よ、よかった…!
「でも、ずいぶん単純ですね」
「うん、そうだな」
ぐはっ!
「だが、悪魔くんよりはマシだろ!」
「えぇ、いくらかだけ」
「うん」
「し、真剣に考えたのに…そこまで言わんでもっ!」
光士が少し笑っていた。
「冗談ですよ」
「そうそう。 それにおれ、にいちゃんに名前付けてもらえてうれしいから」
「お、お前ら…」
くそ、怒りとうれしさがごちゃまぜすぎてどういう表情したらいいかわからん。
「でも、まぁ、お前の名前はカイルでいいんだよな?」
「うん。 ありがと、にいちゃん」
「ところで、天使ちゃんの方は考えたのですか?」
「そっちも一つあるんだけど、本人がいないしその本人に一度もあってないから確定するのはどうかと思ってる」
「えー。 あいつの名前も考えんの」
「お前にだけつけてその子につけないのは変だと思うしな。 何より社長命令だからな」
チャイムが鳴る。 あーあ、授業さぼっちゃったな。 事故だけど。
ドアからガチャっという音が聞こえ、ドアが開く。
「いやぁ、ゴメンゴメン。 教頭先生に何度も閉め忘れるなよって言われてて出た瞬間、閉めなきゃっって思っててさ、閉めて安心してたら君たちがいること忘れちゃってたの」
社長は自分の頭を小突くようなポーズをする。
「さすがにひどいですよ、これは」
「まぁ、いいじゃない。 悪魔くんと話してたみたいだけど、何かあったの?」
「悪魔くんの名前が決まったんですよ」
「へぇ~。 なんてつけたの?」
「そのカイルって付けたんですが」
「そう。 それで、悪魔くんはその名前は気に入りました?」
「うん。 これからはカイルってよんでくれ」
「いいわよ。 それじゃ、カイル君。 カイル君は外道屋のサイトに戻ってね」
「わかった」
カイルはスマホの画面から消えた。
「君たちは早く教室に戻りなさい」
「はい」「はい」
あれ? こうなったのって社長のせいだよな。
「それと、放課後は来なくてもいいや。 その代わりに明日七時までに登校してきてね」
「どうしてですか?」
「それは明日のお・た・の・し・み」
社長は最後にウインクをする。 そんなぶりっ子みたいな仕草…かわいいとは思うけどさ。
そして、明日の七時。 俺と光士は昇降口の前に立っていた。
「なぁ、何でこんな時間に呼ばれたんだ?」
「さぁ、僕にはわかりません。 最近は特に教えてくれないんです」
「そうか」
昇降口の方から社長が現れた
「お待たせ。 待った?」
「いえ、そんなことはありませんよ」
「そう。 ぞれじゃあ、付いてきて」
そう言うと、特別棟の方に向かった。
ふと、違和感に気付く。
特別棟ってあんな大きかったか?
「ここよ」
そこは四階の端にある生徒会室だった。
「なぜこのようなところに来たのですか?」
「勇人君は何か気づいたみたいだけど、何に気付いた?」
「えっ?。 気づいたというより、ここってこんな大きかったかなぁ? と思って」
「そう、私が大きくしたの」
「こんなことしてばれないんですか?」
「大丈夫よ。 大して変わってないから」
そういう問題なのか?
「それじゃあ、本題。 ここは生徒会室ですが、ここはなんでしょう?」
社長が壁を指さす
「なんでしょうって、ただの壁じゃないですか」
「あぁ。 僕分かりました」
「じゃ、光子君、答えをどうぞ!」
「部室ではないでしょうか」
「正解は~……直接確かめてね」
社長は俺と光士の手を握ったと思ったら、指をさしていた方の壁に投げられていた。
壁にぶつかったがあまりいたくなかった。
「あれ?」
あたりは真っ暗になっていた。と思ったら急降下した。
「うわぁぁぁぁ!」
数秒と掛からず地面に激突した。しかし、痛みはなかった。前に外道屋に行った時と同じように床は柔らかい素材でできているようだった
先に落ちたはずなのに社長は既に目の前にいた。
「光士君の答えは、ほぼ正解!」
なんで、先に社長がいるんだ?
部屋を見渡すと目の前には向かい合わせにテーブルと椅子が並べてあった。奥には、それこそドラマとかで見るような大手企業の社長が座ってそうな立派な机がありその上にはパソコンが置いてあった。
「正解は部室ではなく生徒会室でしたー」
「いきなり投げることないじゃないですか」
「ごめんね。 早く見せたくて」
そんなことで人を投げるか? 普通
「それで、生徒会室なんか作って何するんですか?」
「学校版外道屋。 その名も……裏生徒会!」
微妙な名前だな
「今微妙だなとか考えたでしょ、勇人君。 失礼しちゃうわ」
「別にそんなこと考えてませんよ」
この人、やっぱ心でも読めんのかな?
「ま、こんな感じで作っちゃたからさ、これから放課後はここにきてね。 それと、勇人君に紹介してない子がいるから連れてきたの」
「紹介していない子っていうと例の天使ちゃんですか?」
「そうよ。それじゃあ、天使ちゃん」
奥の机の上に置いてあるパソコンの画面がこちらを向くとそこには、予想通り。画面の中には天使の格好をした少女がいた。
「初めまして、白城さん」
俺はその少女、天使ちゃんの挨拶に応える
「初めまして、天使ちゃん」
横から光士が出てきて挨拶をする
「久しぶりですね。 天使ちゃん」
「はい。 お久しぶりです。 光士様! 本当はもっと早く作業を終わらせて光士様にお会いしたかったんですが御主人様があーだこーだといろいろおっしゃるもので作業がものすっごく長引いてですね… 本当に…あの…腐れビッチが…!」
それにしても光士は天使ちゃんにずいぶん好かれてるみたいだな。
しかし、…最後におおよそ子どもから発せられてはいけない言葉が聞こえたような…
「天使ちゃーん、後でお仕置きかなー?」
社長には聞こえてたんですね。
「すいません、御主人様。 もうあなた様に対して暴言を吐きません。 許してください」
謝るの速いな。
「いいわよー」
許すのも早いな。
「ありがとうございます。 そうそう、白城さんの話は御主人様から聞いていますよ」
「へぇ~。 なんて言ってた」
「光士様に近づくホモの変態野郎ですってね、ふざけんなよ! ごみがっ!」
「いろいろと暴言がひどいな、おい! つーか、俺はホモじゃねぇ!」
「そうでしたか。 これは失礼」
「そういえば、俺も天使ちゃんの話は聞いてたよ」
「話というと?」
「カイルが言ってたんだが、やさしい顔して悪口を言ったり暴力をふるうと」
「カイルっていうのは?」
「悪魔くんに俺が付けた名前」
「あ~く~ま~く~ん。 後でちょっと話があるからこの話が終わったらちょっと来てね」
怒っているのがわかるがその顔は天使の笑顔そのものと言えそうだった。
あー、なんとなくわかった。この子、本当はめっちゃ恐ろしい子だ。あの暴言の時点で変だと思ったけど。それに立場も何となくわかった
カイルが画面の端からこっちを覗いていた。 あいつ、手が震えてるぞ。
「い、今は悪魔くんじゃなくてカイルだ! にいちゃんの付けてくれた名前で呼べ! っていうかにいちゃん、余計なこと言うなよ!」
「わるい、わるい」
「御主人様が私に名前を付けてくださる方がいるって聞いてましたけど、白城さんのことだったんですね」
「そうだよ。 一つ考えてあるんだけど、聞くかい?」
「はい、是非」
「僕も知りたいです」
「おれもー。 だけど正直、こんな奴に名前なんて…」
「悪魔くん、後で覚悟しておくといいですよ」
「おれは…カイル…」
カイルはすごくションボリしていた。
「それでは発表します。 …フォルなんてのはどうだ?」
「どうしてそのような名前を?」
「また聞くのかよ。 えーと、堕天使ってさ、英語で言うとさ、フォールンエンジェルだろ。だから略してフォル」
二回目だから少し慣れたな
「…少し疑問があるのですが、名前を付けるときどうして最初に堕天使という言葉が出てくるのでしょうか?」
「もしかして、怒っちゃった?」
「そんなことないですよ。 ふざんけんなよ…!」
「今、ふざけんなよって」
「言ってません」
「はい…」
「天使ちゃんはその名前は気に入らないのですか? とってもいい名前だと思いましたが…」
「ですよね! 光士様、私とっても気に入りました! この名前とっても素敵だと思います!」
AIでも恋ってするのかな? この子、いろんな意味でマジで恐ろしい。
しかし、光士の奴この子の気持ちわかって言ってるのかな?そうだったら酷いな。分ってなかったら分かってないでどんだけ鈍感なんだって気はするが。
「じゃ、じゃあこれからはフォルでいいよね」
「っく…は、はい。 あ、ありがとうございます。 白城っ…さん…」
あぁ、内心嫌なんだなこの子。笑顔が引きつってるよ。やっぱ堕天使が由来じゃ傷つくよね。俺が考えたんだけどさ。
なんかフォルにものすごく睨まれているような気がする。
見かねたのか、光士が一言。
「無理しなくていいんですよ」
「無理なんかじゃないです、光士様! 私、本当にこの名前気に入りましたから!」
「そうですか。 それはよかったですね」
「はい!」
いい顔してるなこの子。
それにしても、カイルが画面の端で笑いをこらえてる。
「おい、カイルそんな風にしてるとフォルにいじめられるぞ」
「ばっ、にいちゃん! お、おれフォルのこと笑ってないよ」
「わかっていますよ。…半削除の刑ね」
フォル、俺のことも睨んでたような…
「そんなの…絶対いやぁ! そんなことしないで!」
おい、女の子みたいな声になってんぞ
カイルとフォルは追いかけっこする形になっていた
「なぁ、光士。 半削除の刑ってなんだ?」
「僕も知りません。 すごい苦痛ではあるらしいのですが。 多分、半殺しと似たようなものではないでしょうか?」
「ふーん。 そのまんまだな」
「ほら、もう挨拶はいいでしょ。 これから本題に入るわよ。 二人とも座って、座って」
あの二人はいいのか?
「いいのよ」
俺と光士は向かい合わせの席に座る
「えー、それでは第一回、裏生徒会会議を始めます! 何かしたいこと、もしくは質問ある人―」
俺は手を挙げた
「はい、勇人君」
「言いたいことが二つほどあるんですが、いいですか?」
「いいわよ」
「やりたいことはしゃ、…先生が決めるんじゃないんですか?」
「そうね~、すでに一つ案はあるんだけどね、君たちの意見を聞きたいのよ。 私は民主主義だからさ。 それでもう一つは?」
妙に嬉々としているな、この人。…いつものことか。
「なんで、裏『生徒会』なんですか?」
「…警察以外の敵がほしかったのよ」
社長は少し真剣な顔になっていた
「つまり、好敵手が欲しいの」
「それなら警察でよかったんじゃないですか?」
「警察っていうのは面白くない奴らの集まりなのよ。 規則とかメンツに縛られて私たちを捕まえるために大胆な行動ができない! そんなのに期待できないわ!」
警察をそんなの呼ばわりですか…
「何が面白くないのかは分からないんですが、生徒会が警察以上の敵だとは思えないんですけど」
「まぁ、普通はそう思うでしょうけど、生徒会からは嫌な予感がするのよ」
「嫌な予感がするのに、こうゆうことするんですか?」
「嫌な予感がするからこそよ。 それに私にとって嫌な予感と楽しい予感は表裏一体なことが多いの」
どんな嫌な予感だよ
「だから、その質問の答えは楽しい相手が生徒会にいそうだから! かな?」
「楽しい相手というと?」
「正義の神!」
「は?」
「いつも声に出さないのに出ちゃってるよ」
「なんで知って…ゴホッ。 えー、正義の神というと?」
「前に私が元悪の神だって言ったでしょ。 その双璧に立っていた神だよ」
「つまり昔の好敵手ってことですか?」
「正確に言えば違う。 戦ったことすらないし」
「…? どういうことですか?」
「それを説明するには私のルーツを話さなきゃならないの。 説明するのにざっと百年はいるかな?」
「省略してください」
「い・や❤」
「…つまり話したくないということですね」
「そういうこと」
なら光士はどうだ
「光士は知ってるか?」
「いえ、知りません」
「知りたくないのか?」
「僕は先生の言いたくないことであるならば聞いたりしません」
「さすが、光士君。 それじゃあ、ほかにある人―」
十秒ほどの沈黙
「まぁ、こうなるとは思っていたけど何にもないのね。 それじゃあ、私の提案(決定事項)!」
それ提案って言わない!
「題しまして…目安箱!」
捻りも何もないし、生徒会と同じようなもんじゃねぇか!
「ふっふっふー、それは違うわ! これは人の願いを聞くのではなく人の悪意を聞くのよ! つまりは普段の外道屋の学校版よ。 違うところはボランティアになってるところぐらいね」
やっぱこの人、心が読めるみたいだな。
後、最初言ってたのと結局変わりないし。
「普段の外道屋を知らないんですが」
「そうだったわね。 ま、そのうち分かるわ」
「そうですか…はぁー」
「ほら、ため息つかない。 ちなみに昇降口にすでに置いたわ」
決定事項というかすでにやってたよ、この人
「それじゃあ、放課後決行ね」




