外道屋の学校進出
社長や悪魔小僧を読んでも反応がなく、その後、二時間後になって光子の奴が戻ってきて、最初に入ってきた場所にエレベーターがあり戻れるようになっていた。
「俺はなんでこんな苦労してたんだ?」
「脳みそが足りてないのではないですか?」
「あぁ、なるほどって、違う!」
「冗談ですよ。 でも、その言い回しだとわかってますよね?」
「そりゃあな。 そんなのガチで言われたらキレるぜ」
「キレられても嫌なのですが。…まぁ、それは置いといて、これからよろしくお願いします」
光士は手をだし拍手を求めているようなのでそれに応える。
「あぁ、よろしく!」
エレベーターが開くとあの雑居ビルのところに出た。
歩き出すと光士は立ち止まる。
「どうした?」
「僕の家は逆方向なので」
「そうなのか? じゃ、また明日学校でな」
「はい。 さよなら」
ふと暗くなった空を見る。星はあまり見えない。けど、今は少しウキウキしている。少しスキップしたくなるぐらいだ。人目がないとはいえ、恥ずかしいからしないが。
帰り道を歩いているとうちの学校の制服着た女子がいた。うちのクラスにいたような。どうでもいいか。クラスメイトで名前覚えてるやつとか少ないし。
家の前でふと携帯の時間を見ると二十という数字が。
「もう八時じゃねぇか…はぁー」
親は時間が遅くなることに特別怒ったりはしないだろうが、洗濯物取り入れるやら米研ぐやら忘れてた。そのことに対してなんか言われそうだ。
「ただいま~」
母さんが迎えに出る
「お帰り。 ずいぶん遅いわね。 それは別にいいけど家事が手伝えないなら連絡入れるなりしなさい。 もう、ご飯作ってあげないわよ」
「はい、すみませんでした」
思った通りの反応で。
「ごはん、今できたところだから早く上がりなさい」
それは運がいい。って俺のせいか。
普段はやることもなく直ぐ帰ってちょっと手伝いして適当にダラダラしてるだけだからな。今の状況が少しだけ新鮮だ。リビングに入ると父さんが座ってもう飯を食っている。
「今日は野菜炒めか」
父さんが俺に気付く
「珍しいな。お前がこんなに遅く帰ってくるなんて」
「うん。 ちょっとね」
聞かれても正直に話すわけにはいかないよな。
夕飯を食べ終えて風呂に入る。
「はぁ~、気持ちいい」
湯銭に浸かって一息つく。
外道屋……か。悪事を専門に手伝うってことだけどいったい何すんだろ?
「そういえば…」
悪魔小僧の名前考えないとな。あと、会ってはいないが天使ちゃん?っていう子のも。
後は研修生っていうのと明日のお楽しみっていうのが気になったな。別にいいや。気にしないでおこう。
「上がるか」
立ち上がろうとすると目の前が暗くなってゆがみ、倒れそうになる
「あぶねっ!」
ちょっとのぼせたか…こんな長風呂するのも久しぶりだな。
「風呂上がったよー」
父さんに知らせる。
「あぁ。 今日はほんとに珍しいな。 いつもそんなに長風呂しないのに。 おい、顔真っ赤だぞ。 大丈夫か?」
「大丈夫だよ。 ちょっとのぼせただけだって」
「そうか。 今日のお前は少しうれしそうだな。 何があったかは知らんが、その気持ち大事にしろよ。 お前の人生だ。 お前の選ぶ人生に文句は言わないからな」
父さん……父さんは俺のことよくわかってんだな。
風呂に向かう父さんに向かって宣言をする
「俺、大学いかないで、就職することにしたから!」
その姿を見て父さんは少し笑っていたように見えた。
「好きにするといい」
すでに就職先は決まってるんだけどな。
玄関から声が聞こえる。
「ただいまー」
兄貴が自分の部屋へと向かい、途中で俺の顔を見る。
「な、何だよ?」
「お前、なんかいいことでもあったか?」
「な、なんでだよ!?」
「そりゃあ、お前いっつも仏頂面してんのに、今日は少しにやけてるぞ」
「俺、そんなに顔に出てた?」
「あぁ、ちょっと気色悪いぐらいにな」
「そこまで言わなくても…」
「まぁ、何があったのかは知らんがいいことだと思うぞ。でも、ちゃんと勉強はしとけよ。 進学するか就職するかは知らんがな」
「兄貴に言われたくないよ。 兄貴だってそんな勉強してなかったじゃないか」
「ばーか。 お前のためを思って言ってやってるんだ。 兄の忠告はしっかり受け止めておけ」
「うん、そうだね。 兄貴のその言葉には説得力があるよ」
兄貴は俺と同様だらだらしていたために一浪していた。
「馬鹿にしてるんだったら殴るぞ」
兄貴は拳を握って、指を鳴らす
「そんなことないよ」
「まぁいい。 腹減ったよ、もう」
兄貴はリビングへと向かった。
「俺はもう寝るか」
俺は自分の部屋へと戻って、電気をけし布団に入った。
あぁ、本当にこんな気分は初めてかもしれない。遠足を楽しみにしている子供のように落ち着かない。このままだと眠れそうになさそうだ。あっ、そういえば外道屋って文字に何故か見覚えがあったんだよな。どうせ今眠れないし、疑問を晴らしてから寝るとしよう。
電気をつけ、パソコンを起動させる。検索欄に『外道屋』っと。
「えーっと…」
「外道屋…百年以上前から犯罪者が時々使用している名称である。この名称を使用する者達は全く関連性がなく、中には慈善活動もする者もいた。はっきりしていることはこの名前が関連するとき人が殺されていないことと名称を使用したときの犯罪者は一切捕まらないことである。しばらく名称がつかわれていないと犯罪者は一斉に検挙されるということもあったぐらいである。その犯罪者たちは一様に協力者がいたと供述している。その協力者が外道屋だと推測できるが、すべて同一人物であるかどうかは定かでない。つまり、その協力者は捕まっていないのである。外道屋は犯罪組織であるとされているがその目的は全く持って不明である。犯罪組織であるとされている外道屋だが前述のようなことをしているため恨みを持つものと感謝する者がいる。………………」
そうか。小学生ぐらいの時、世間を騒がしてた外道屋っていうのに興味持ってたんだった。世間的に悪党だったけど、どこかかっこよくて、『俺は外道屋だ』みたいなこと言って遊んでたな。だからどこか聞き覚えがあったのか。よし、スッキリしたことだし、寝るとするか。
目覚ましが鳴る。時間を見ると六時を指していた。こんな時間にセットしたっけ? まぁいいや、もう一時間ぐらい眠れそうだ。二度寝するか。再び目をつむると
「おーい! にいちゃん、起きろー!」
「なんだ!?」
スマホを見ると悪魔小僧が映っている。
「お前、いつの間に!」
「ずっとここにいたよ」
ずっとってことは俺のスマホに入ってきた時点か!?
「その間、ずっと黙ってたのか?」
「うん。 そうだよ。」
「退屈しなかったのか?」
「全然! ネットの中、自由に動き回れるしね」
「なるほど。 楽しんでいたから途中で一度もしゃべってなかったのか」
「それは心外だな、にいちゃん。 にいちゃんの家族にばれちゃまずいと思ったから、ネットの中に入ってたんだよ」
少し拗ねているようだった。
「悪かったよ。 でも、なんで今出てきたんだ? まだ、俺の家族が居るかもしれないだろ?」
「ふっふっふー。 今の時間、にいちゃんの両親もにいちゃんのにいちゃんも仕事に出ていることぐらい調べがついているのさ!」
なんか偉そうに言ってやがる
「なんで知ってんだよ? っつーかどうやって調べた?」
「うーん…企業秘密?」
「なぜに疑問形?」
「神がそう言ってた」
「そうですか……はぁ」
そう言われると諦めるほかない。だけど、それよりも
「なんで起こしたんだよ? まだ早いだろ?」
「おれは退屈だ!」
「ネットの中に入ってりゃいいだろ」
「もう飽きた」
本当に子供みたいだな。
「で? お前は何がしたいんだ?」
「うーんと…オセロとか?」
「別にかまわんがどうやってお前とするんだ?」
「ちょっと待ってて」
スマホの画面にオセロのアプリがインストールされている。
「勝手にインストールするなよ」
「だめ?」
そんな顔をするんじゃない。普段でも人の頼みを断れない方なのにそんな子供のおねだりみたいにされると
「……別にいいよ」
断れないじゃないか
「ありがと。にいちゃん。 それじゃあ、やろうか」
とりあえず適当にやるか。
…一時間後…
俺が五戦全敗だと!?
「あははははは! 弱すぎだよ! にいちゃん」
確かに、俺はお世辞にも強いとは言えないが、五回ともほとんど塗りつぶされて負けたぞ。
「くっ。 笑うんじゃないっ…」
「こんな弱いなんて、やっぱりダメダメなにいちゃんだな。 光士の方がまだ強かったよ」
「お前、あいつともやったのか?」
「うん。 おれの圧勝だけどね。 それでもにいちゃんよりは善戦してたよ」
「なんだと!? くそーっ」
「にいちゃん、ちょっと考えないで打ち過ぎじゃないか?」
「まぁ、そうかもしれん」
「おれはちゃんと考えてうってるけどね」
「お前もほとんどノータイムじゃ…まてよ、まさか」
AIだから
「そのまさかさ。 おれは人間じゃなくてAIだ。それなりのスペックがあればこんなの、一秒も考えずに最前手がうてる」
「子どもみたいな性格してんのになんてAIだ」
「誰がこどもみたいだ! おれはもうおとなだ!」
「そーいうのが子どもっぽいって言ってんだよ」
というよりも、人間らしすぎる。 本当にAIとは思えないほどに。
「むー。 それよりも、朝食食べなくていいのか?」
「そうだな。 腹が減ったしな。 お前は…さすがに食えないよな?」
「くえるよ」
「マジッ!?」
「うそだよ」
「そりゃそうだ」
「ホント、ノリがいいね。 にいちゃんは」
「最近覚えたスキルだ。 いいだろ?」
「うん。 いいと思うよ。 でも、ベタな上にちょっとバカっぽいかな」
子どもって正直だね。…人間の子どもと関わってねぇけど。
「……最後のはマジで傷ついた」
「あっ…その、ごめん」
「いいよ。別に」
着替えて、そのままリビングに向かう。弁当作って残りを朝食として食べる。
忘れものがないようにしてっと。…行くか。
登校中、電話をするふりをして悪魔小僧と話すことにした。
「おい、聞こえるか?」
「聞こえてるよ。 にいちゃん」
「社長が話してた天使ちゃんっていうのはどんな奴なんだ」
「おれ、あいつきらい」
「なんでだ?」
「やさしい顔して悪口言うし、暴力ふるうし、とにかくいろいろとやなことをしてくるんだ」
そりゃあ、嫌いにもなるな
「へぇ~。 つまり、天使っていうより堕天使なのかもな」
「うん。 あれは堕天使でいいとおもう」
「そこまで言うか」
どんだけひどいんだよ。
歩いていると前の方のT字路から人影が見えた。光士だった。
「おや、白城さんではないですか。 おはようございます」
「おはよう」
「悪魔くんと話していたのですか?」
「あぁ。 ちょっと天使ちゃんっていう子がどんな子なのかを聞いてた」
「そうですか。 僕的にはあの子はちょっと癖がありますが、いい子ですよ」
「その癖が問題だな。 あいつの話を聞いていると天使ちゃんっていうのは天使っていうより堕天使みたいらしいからな」
「それはうまい表現かもしれませんね。 社長は元悪の神ですしね」
「なるほど。 そういう意味でもそう言えるな」
そこに悪魔小僧が口をはさむ
「あいつは堕天使そのものだ!」
「お前、どんだけあいつ嫌いなんだよ」
「すべてを否定したくなるくらい」
「そんなことを言っていますと天使ちゃんに後でボコボコにされてしまいますよ」
「それは…い、いや……いやだぁー!」
悪魔小僧はどこかに消えてしまった。
「あいつ、いっつも何されてんだよ?」
「子ども同士のお遊びですよ。 ただ、ちょっといじめっ子といじめられっ子みたいな感じになってるだけです」
「そんなんなら助けてやれよ」
「助けてますよ。 やめろと言えばあの子はやめますし、悪いことと分かれば反省する子ですよ」
「反省してないから、いっつもそうなるんじゃねぇのか?」
「……」
光士は少し困った表情をしていた。
「まぁ、何にせよそんな悪い子でないなら安心だ」
「そう言ってもらえると僕としてもうれしいです」
ただ、あの悪魔小僧のビビり方にはちょっと驚いたな。
学校に到着し、教室に入る。なにやら教室がざわついているようだった。
「何かあったのですか?」
光士がクラスメイトに聞く
「なんか、田中先生が大怪我してさらに重い病気にかかったらしくてよ。 代わりにだれが来るか? とかそんなの話してんだよ」
「そうなんですか」
田中先生は担任だ。 十中八九副担任に代わるだろうけどな。
チャイムが鳴ったので席に座る。
案の定、副担任が入ってきたのだが、後ろには見覚えのある女がいた。
昨日と同様に叫びそうになる。
まてまて、ただの似ている人じゃないのか? 偶然だ偶然。 あいつがここに来れるわけがない。
ふと、光士を見ると奴は笑顔だった。
「あいつ、あの人なのか?」
「えぇ、そうでしょうね」
「…知ってたのか?」
「いいえ、知りませんでした」
「なぁ…」
「静かにしろ!」
副担任が一喝する。おかげで質問しそこねた。
「皆さんも知っているかもしれませんが田中先生が病院に入院されました。 けがの原因、病気は不明瞭なのですが全治は一年だそうです」
おい…全治一年って聞いたことねぇぞ。 どんなんなったらそうなるんだよ
「みなさん静かに。 そこで代理の先生をお呼びしました。 自己紹介お願いします」
「はぁ~い」
あぁ、この間の抜けた感じ。間違いねぇ。社長だっ…!
女は名前を黒板に書く。神宮寺イーヴィ?
クラスメイトの視線がチラッと光士に向く。
「えーと、神宮寺イーヴィといいます。 田中先生の代理できました。 新任教師で~す」
またざわつく。教師とは思えない喋り方。後、苗字、名前。
疑問が多くて、みんな混乱しているようだった。
俺はもっと混乱してるぞ。…多分。
そんな中、女子生徒が一人手を挙げる。
「はい。 何かな?」
「先生は神宮寺君とは関係あるんですか? 苗字が一緒ですし」
「一応、光士君は私の甥にあたるわ」
そんな話聞いてないぞ。 まぁ、嘘だとは思うが。
「これから一年間、君たちの担任になるわけですが、よろしくね」
社長はウィンクする。
「これからは神宮寺先生が担任になる。 しっかり挨拶しなさい」
その後、社長はすぐにその場を立ち去り、クラスメイトが近寄る間もなく、ホームルームは終わった。
「おい、これはどういうことだ?」
「僕に言われても返答に困ります」
「今、お前にしか聞くやつがいないだろうが」
「知らないものは知らないですから。 後で直接聞けばいいじゃないですか」
「そうするよ」
昼休みになる。
「ようやく昼か」
弁当を取り出す。
「おや、手作り弁当ですか?」
「あぁ、自分で作ってる」
「それはすごいですね」
「大したもんじゃねぇよ」
食い終わる頃になると、校内放送の予鈴が鳴る
「三年八組の神宮寺と白城は、職員室の神宮寺のところまで来てください」
社長は何考えてんだ
「呼ばれているようですし、行きましょうか」
「あぁ」
職員室に向かうと社長が立っていた。
「やぁ、待ってたよ」
「なんで…」
喋ってる途中に俺の口に手を当てる
「質問は後ね。 付いてきて」
普段は解放禁止にされている屋上へと出た。
さっき質問は止めたのはほかの奴らに聞かれたくないからか。
「さて、ここなら質問に答えてあげられるわ」
「なんで、あんたがここにいるんですか?」
「昨日言った、楽しみよ。 ここであることをしようと思うの」
「あることとはなんでしょうか? 社長」
「光士君、ここでは先生とお呼びなさい。 勇人君もね。 で、目的だけど外道屋に学校支部を作ろうと思ってるの」
「そんなものどうやってやるんですか?」
「私の頭脳があれば容易よ」
「頭脳って…そういえばその体どうしたんですか? ほとんど映像のままじゃないですか」
「この体はロボットよ」
「ロボット?」
「そう。 最近、完成したのよ。 これで光士君の体を使わなくても外を歩けるわ」
光士は心なしか残念そうな顔をしていた。
「えぇ、よかったですね」
「でも、ばれないんですか? いろいろと」
「私に不可能の文字はないのよ。 戸籍も体も教員免許も全く問題ないわ」
「そうなんですか?」
「そうよ。 それで、外道屋なんだけどここでもその名前を使うのは面白くないから変えようと思うの」
「そうですか。 それで、俺に名前を考えろと?」
「いえ、今回は私が考えるわ。 あなたには新しい人員を集めてほしいの」
「俺がですか?」
軽くコミュ障の俺にできるだろうか? 家族とこの二人と悪魔小僧以外とはあまりうまく話せる気がしない。 話し掛けてくるやつとはうまく話せるんだけどな。
「えぇ。 光士君と一緒にね」
「僕もですか?」
「当然よ。 私がその他諸々作っちゃうから人員の方はよろしく頼むわよ」
「わかりました」
「了解」
チャイムが鳴る
「じゃ、放課後またここにきてね」
社長…先生は扉を開けて去っていく。
さて、これからどうなって行くことやら。 楽しみではあるんだけどさ。
「光士、早くいかないと授業に遅れるぞ」
「待ってください」
扉に手をかけると
「ん?」
「どうしました?」
「どうやら鍵が閉まってる…っていうより閉められたみたいだ」
「えっ?」




