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外道屋のサバイバル その1

今回は三部構成。普段より少し長くなったので区切るだけですが……。

それと、初めて視点変更入れました。

嫌いな人多いかもしれませんがやりたかったことなんで勘弁してください。

 裏生徒会室にて社長は笑っていた。

「私の勝ちィ!」

 社長が高らかに叫ぶ。 喜びを露わにし、子供のようにはしゃぐ。

 みんなは対照的に沈んでいた。 光士はいつもどおりだが。

「えっと、秋奈ちゃんと美春ちゃんが一位で光士君が五位、結良ちゃんが十位、そ れで……ププッ……白城くんが十五位でした~」

 また、社長が笑う。

「ちょっと笑いすぎじゃないですか」

 俺は腹立ちを抑えて言った。

「だってねぇ、これで私の望んだ事ができるわけだし笑わずにはいられないわ」

 しばらく、社長の喜びの舞が炸裂していた。

 う、うざい。

「ふー、少し笑いすぎたわね。 そろそろ本題にいこうか」

 みんな更に気分が落ち込んでいるように見える。

「ちょっと落ち込みすぎじゃない? 別に大丈夫よ。 安全第一、みんなのことちゃんと考えたサバイバルよ。 一週間のね」

「「「一週間!?」」」

 俺と四季姉妹で言葉が重なる。

「そんな長い期間やるなんて初耳ですよ」

「質問」

 美春が手を上げる。

「どうぞ」

「持ち物はどうするんですか?」

「別に個人で何を持っていってもいいけど、私がサバイバル用品を用意しておくから必要ないわ。 お金も私が全部払うから」

「じゃ、私からも」

 秋奈も手を上げる

「場所はどこになるの?」

「私が持ってる南の島の無人島。 もちろん名義は私ではないけど、実質私の土地」

 社長が大きい紙の地図を広げる。

「ここが日本でしょ」

 東京あたりを指差す。

「そして、ここに沖縄があって……」

 沖縄まで指をずらしていく。

「それで、もう少し南東に進むと……ここよ」

 そこには小さい島があった。 名称は何も書いてないようだ。

「この島の名前は外道屋島」

「嘘言うな!」

 俺は思わずつっこんだ

「嘘じゃないわよ。 だって名付けたの私だし」

「あ、そうですか……」

「名前の由来は、ここに外道屋の秘密基地があった的な噂を流そうとしてつけたの。 ほら、地名についていると嘘でも本当っぽく聞こえない?」

「分からないでもないけど……」

 どうしてそうなった。

「でしょ。 行き方についてだけど、まず那覇空港まで行ってそこから南城市まで行って、そこの港からボートで行くから。 ルール説明は当日に言うから。 日程は三者面談の時に教えてあげる。 三年生以外は私が直接教えに行くから」

 全員、気のない返事をする。

「それじゃ、今日は解散」



 三者面談といえば、将来のことか……。 一体何を話すのだろうか?

 両親には、就職すると言ったものの外道屋がまともな就職先かといえばそうじゃない。 むしろ悪の組織みたいな子供じみた犯罪者の集まりみたいなものだしな。 なんと言えばいいのやら。 それに社長との面談というのが、運がいいのか、悪いのかわかりかねる。

とりあえず、あんまりいいことは起きない気がする。


 三者面談には母さんが来てくれることになった。 やはり、社長とどんなことになるか不安だ。 下手なことはしないだろうけど、何を言い出すか予想もつかない。

社長のもと――自分の教室に向かう。 教室に入ると社長は立ち上がり、挨拶をする。 母さんも同様に。 社会人だから当たり前だよな……とか思いながら見ていた。

 社長に言われ、俺と母さんは向かい合わせの席に座る。

「えぇと、白城君……白城さんの息子さんなんですが、今までの成績を見ますと進学は少し大変かもしれませんが、前のテストでの成長具合を見ますとこれからいいところを狙えるのではないかと思います」

「えぇ、正直すごく驚いてるんです。 友達と勉強を頑張ったみたいなんですけど、今までこんなにいい点数取ったことがなくて。 この子は就職をしたいらしいんだけど、これを見る限りちょっともったいないなって思っちゃうんですよね」

 俺もこの点数のとれ具合には自分自身が一番驚いている。

「白城君はどうしたいと思ってる?」

「俺は今でも就職したいと思っています」

「職種は?」

「そ、それは……」

 どう答えて良いのか、言っても良いのか、社長が一番俺が困ることわかっているはずなのにこうゆうこと言うのか……。 何も言えず、しばらく、黙ってしまった。

「答えられない――ということは、何も考えてないのよね」

「そ、そういうわけじゃ……」

 それは社長が一番よく知っていることだろうが!

「それなら、進学をおすすめするわ。 白城君」

「私も特に何も考えていないのら、進学して欲しいわ。 勉強もこれだけできるんだから、頑張ったら?」

 俺は口答えもできずに、そのまま時は過ぎていく。

「やはり、国公立に行くことを考えるのが妥当でしょう。 白城君なら頑張れば入れる可能性は高いです」

「先生がそこまで言うなら私もこの子を――勇人を応援しなくてはいけませんね」

 俺の進路なのに母さんと社長の間でどんどん話が進められていく。 結局、国公立の大学に進路希望という形で三者面談の幕は下ろされた。


 社長は俺を呼び止め、母さんだけを帰した。

 多分、サバイバルのことだろうな。

「私がいつ外道屋に入っていいと言ったのかしら?」

 明らかに不機嫌な社長。 しかも、サバイバルのことじゃなかったし。

「な、何でそんなに不機嫌なんですか?」

「部下(予定)が勝手な真似をしようとしていたから」

「(予定)って何ですか!? 俺そんなの聞いてない」

「うん。 言ったことないもの」

 り、理不尽だ……

「ところで、サバイバルの件だけど……」

 社長から話題を変えてくれて助かった。

「来週からね」

「あれ? それはいいですけど三者面談はいいんですか?」

「その時には全部終わってる」

「そうなんですか」

「もう他のみんなには伝えたから、後は準備だけね。 まぁ、道具類はみんな私が用意するんだけどね」

 妙に嬉々としている社長がさっきの不機嫌さのギャップで恐ろしさを醸し出していた。

 不安でため息が出る。 はぁー……。

 帰ったあと、両親には来週勉強合宿で一週間程止まると言った。 俺の両親は、基本的に放任主義なせいか、あっさり許可をしてくれた。



 サバイバル当日

 あい変わらずクソ暑い夏で、駅まで向かうのはそれだけでもだるい。 朝早いから実はそこまで暑くないが。

 勉強合宿と銘打ったせいで、勉強道具を持っていかなけりゃならん状態になってしまったし。 幸先の悪いスタートだ。

 朝早くなのにみんなは既に駅に到着していたようだ。

「おはよう」

 みんな挨拶を返してくれる。 

 文句は言われようがないもんな……。 何も悪いことしてないのにちょっと心配だった。

 そのあと、全員になぜそんなに荷物を持っているのか聞かれて、普通に答えたら四季姉妹と社長に馬鹿と言われた。 心外だ。

 

 道中は至って平和だった。 他愛のない話をしながら、時々トランプをしながら空港へ

 向かい、眠りこけながら沖縄へ行って、社長の運転する車に乗って南城市の港へと着いた。

「こっから、ボートだっけ?」

「そうね。 私がちゃんと大きい全員が乗れるボートを用意したから、それに乗って。 後、サバイバル用品を今渡すわね」

ベルトに色々とついている、サバイバル用品を渡された。 結構重いぞ、これ。

みんな、それを装着し、ボートに乗る。

 何故か、その様子を見ていたちょっとがたいのいい中年男性が俺たちの近くに寄って話しかけてきた。

「あんたら、今日は海に出るのはやめたほうがいいんじゃねぇか?」

「あら? 何でですか? こんなに天気がいいじゃないですか」

 社長が答える。

 確かに、今日は快晴と言ってもいいぐらい晴れている。 おかげで日差しで肌が痛いくらいだ。

「俺、こう見えて占いが得意なんだ。 近所でもよく当たるって評判なんだ」

「それで?」

「あんたらには水難が見える。 もしかしたら、その船に何かしらの不具合が起きるのかもしれん」

「大丈夫ですよ。 私がしっかり点検しましたし、この子達は私が守りますから」

「すごい頼もしいな。 それにあんただけ、水難の相が見えない。 きっとなんとかなるだろう」

「見ず知らずの私たちを心配してくれてありがとうございます。 それでは」

 社長はボートにエンジンをかける。

「怪我しないようにな~!」

 どうやらあのおっさんは結構いい人なようだった。

「このボートでどれくらいで着くんですか?」

 みんな疑問に思っているだろうことを聞いておく。

「一時間ぐらいかしらね」

 一時間か……。 酔いそうだ。

 

 

 しばらくしてふと、外を見ると秋奈と美春が姉妹揃って怪訝な顔をしていた。

「どうした? 姉妹揃って」

「あの人の言うことが気になってね」

「私もです」

「あのおっさんか? 確かに嘘言う人にはあまり見えなかったしな」

「それで、私たちで何が起こるか予測してたんだけど……」

「社長が何かするんじゃないかって思ったんです」

 ……めっちゃやりそう。 社長なら何かしてきそう。 それに、それなら社長にだけ水難の相が出ていなかったというのにつじつまがあう。

「社長に警戒しておこう」

「お願いするわね」

「もう、遅いわ!」

 結構遠くから声がする。 周りを見渡すと遠くにポツンと小型のボートに乗った社長がいた。

「そのボート、後十分もしたら完全に沈むから! 潮の流れが早いから気をつけてね!」

「どうしろってんだ!?」

「潮に流されてれば、島に着くから! 死なないでね!」

「殺す気満々のやつが言うんじゃねぇ!」

 潮に流されてれば着くって言うけど、普通死ねる。 実際どうかは知らないけど。

 社長はそのままどこかに行ってしまった。

 とりあえず、光士はあとだ。 あいつは男だし信用している。 近くにいる秋奈と美春をなんとかしなくちゃ。

 既にボートは傾き、船尾から沈みかけていた。

「大丈夫か!? 美春! 秋奈!」

「大丈夫よ! 海人君たちを助けてあげて」

「私も大丈夫です!」

 この姉妹は大丈夫そうだ。

 海人と舞花の様子を見に行かなくちゃ。

「海人! 舞花! 大丈夫か!?」

「にいちゃん!」

「白城さん!」

 二人はすでに、海に落ちボートに捕まっている状態だった。

「今引き上げてやるからな!」

「引き上げなくて大丈夫だよ!」

「なんでだ!?」

「今、ちょっと怖くて手を離せないけど、神のやることだから安全性は保証されているはずだよ! むしろ、流された方が早く島にたどり着けると思うよ!」

 確かに、流石にあの人でもいきなりこんな酷い仕打ちをするのはと思ったが心配だ。

「兄ちゃん、一緒に流されれば安心だよ!」

 なんか怖いお誘いだよ! 俺より社長への理解は深いかもしれないけど、怖ぇよ!

「相変わらずヘタレですね。 私は光士様を探さなくっちゃ」

 こいつら、危機的状況でなんでこんなに落ち着いているっていうかむしろ楽しんでるの!?

 ズルッ

 しまった。 しがみついてた手すりから滑って海に落ちてしまった。

「兄ちゃん!」

 海人が腕を伸ばす。 俺はそれにつかまる。

 そして、海人はボートにしがみついていた方の手を離した。

「な、ゴフッ、ゲホッゲホッ」

 なんで手を離してるんだよって言おうとしたら海水が口の中に入ってきた。 思わず咳き込む。 そして、どんどん流されていく。 

 冷静に見渡せば、既にボートは完全に沈没していて、全員が海に投げ出されていた。

 あ、もうどうしょうもねぇ。 そんな諦めが俺の意識を奪い去っていった。



 SIDE 白城勇人 一日目

 目が覚めた時には海岸にいた。

 横を見ると海人が横たわっていた。 そして自分の体の上にはメモ書きが石を重しにして置いてあった。

『サバイバルのルール説明

 ただ単純に一種間生き延びること。

 ただし、この島の地下中心部に全員揃えばその時点でクリアということで帰れます。

 食料は基本的に自給自足。 社長からサプライズで食べ物の恵みがあるかもしれないよ』

 最後に社長と思わしき絵が描いてあった。 それが、妙に腹立たしかった。

 とりあえず、海人を起こす。

「おい、起きろ。 海人」

「う~ん、兄ちゃん? おはよう」

「おはようって、いま何時かわからないけどな」

 立ち上がると妙に腰の辺りが重かった。 腰には、サバイバル用品の詰まったベルトがあった。

 なるほど、最初から海に落とすつもりだったからボートに乗る前に渡したわけだ。

 改めて周りを見渡すと、人が倒れてる。 ――秋奈だ。

 俺は秋奈のもとへ駆け寄った。

「おい、大丈夫か?」

「大丈夫か? 姉ちゃん」

 軽く秋奈の頬を叩く。

「う、うぅん……」

 秋奈が上半身だけ起こす。

「あれ? ここは?」

「多分、外道屋島だ」

 まだ意識がはっきりしないのか、ぼーっとしている。

「おい、起きてるのか?」

「え? あっ、そういえば他の皆は!?」

「今更かよ……。 恐らく、この島のどこかにはいると思う」

「海人君と先輩は大丈夫でした?」

「あぁ、俺たちは大丈夫だ。 それと、こんなものが置いてあった」

 俺はあのメモを秋奈に渡した。

「うわ……説明これだけですか?」

「確かにな。 これはさすがにひでぇ」


 しばらく、この砂浜周辺を散策してみたが他には誰もいなかったようだ。 これ以上探してもみんなは見つからないと判断したので、俺、海人、秋奈の三人で今日を生きるための役割分担をすることになった。

 俺はいるかどうかもわからない動物を狩猟しに、海人は薪集め及びきのこや野草などをあつめること。 さらに余裕があれば過ごしやすそうな場所を見つけること。 秋奈は海辺で釣りだ。

 海人だけやることが多いが、きのこで毒がわかるのは海人だけだ。 まだ小さいとはいえ、俺たちより物事をよく知っている。 そのことを期待してだ。

 そして幸いなことに、このサバイバル用品、重いだけあっていろいろなものが入っている。

 サバイバルナイフ(多機能)、釣竿(二メートルぐらいで細い、十六分割)、ライター、水筒など、これだけあれば、生きていくためのに道具には事欠かないだろう。

 また同じ場所に集合するために、太めの木の棒を立てて、それぞれの行動に移った。

 さて、狩猟はいいが何がいるかわからないし、人間というか俺が動物のパワーに勝てるはずもない。 まずは、適当に簡単な罠でも作って、そのあと散策しよう。 

 と、思ったのだがどうやって作ったらいいかわからないし、試行錯誤で作ってたらうまくいくかわからない上に日が暮れる。 仕方ないから海辺のそばの森の中へ入っていくことにした。

 木々が生い茂り、人が入ったことなどないのではないかと思わされるようなところだ。 無人島だから当たり前か。

 とりあえず、奥に進もう。

 風で木々が揺れると何もいなくても何かがいそうな気がするよなぁ。 さっきから、木の枝とかつるみたいのが当たって痛いし、マジでだるい。

 木々で日陰になっているおかげで多少は涼しいが、やはり暑いものは暑い。

 動物を探しているわけだけど、正直遭遇したくない。 鹿ならまだいいが、猪だったら大怪我をする可能性がある。 その他、多種多様などのような生物であっても危険はある。この辺は暑いから毒を持っている動物も多そうだし……。 というか、南の島に鹿とか猪がいるのか? どちらかといえば、寒い地方に生息しているイメージがあるんだが……。

 愚痴を言ってもしょうがない。 ただ、前進あるのみだ。


 池というのか、湖というのか……とりあえず水辺についた。 飲めるかどうかはわからないが、確保しておいて損はないはず。 水筒に水を入れるか。

 水面が揺れている。 俺の水筒が原因じゃない。 辺りを見渡すと、奥の方に猪が水遊びをしていた。

 どうやら、向こうは気がついてないようだ。 猪を見た時点で、俺の中には狩猟をするという意思は完全になくなっていた。 

 音を立てないようにゆっくりと後ろ歩きで秋奈たちの下に帰ろう。

 そーっと、そーっと。

 猪が見えなくなるまで退却したところで、俺は立ち止まった。

「ふぅ。 ここまでくれば大丈夫だろう」

 おもわず口をついて出る。

 と、そこで後ろからザッ、ザッという音が聞こえるのに気がついた。

 振り返るとそこには、猪がいた。

 ……やばいって、シャレになんないって!

 何? あの巨体が突進してくるの? 怖いって!

 あんな牙突き刺さったら死んじゃうから!

 背を向けるのは危険だ。 ゆっくり後ろに下がろう。 と、思ったら後ろに壁が!

 突っ込んでくる! 速ぇ! 横に逃げるしかない。 それも引きつけて直前に!

 よし、三・二・一・今だ!

 俺は横に二、三歩勢いをつけて飛ぶ。

 猪は鼻から壁にぶつかった。

 うまくいった!  けど、まだ気絶してない。 どうする? このまま逃げるか、それともトドメを刺しにいくか。 考えてる時間はない。

……フラフラしているうちにトドメを刺す! 近づこうとしたら、牙で突き刺されそうだ……。 最悪ナイフを失い、猪を捕まえられない可能性があるが、投げて突き刺すか。

一歩下がって、ナイフの刀身を持って全力投降だ!

猪の額にナイフが深く突き刺さる。 猪からは最後の力を振り絞ったと思われる声が響き渡った。

「……よ、よっしゃー!」

 静かな森に俺の声が響き渡る。 近くにいた鳥もどこかへ飛び去っていった。

「いよし、よし、よし!!」

 人生中で一番嬉しいかもしれねぇ。 マジで死ぬかと思った。

 急いで、みんなのもとに戻ろう。 他の猪がやってくるかもしれない。

 猪の額からナイフを取る。 うゎ、血がついてる……。 気にするな。 殺さなければ、殺されていたかもしれないんだから。 というより、元々食べ物を探しに来てたんだから。

 ナイフで植物の太いつるを切り取り、猪の足にくくりつけ運ぶ。

「重っ!」

 何キロあるかは知らないが、とにかくきつい。

 急ぎ足で、集合場所に戻った。

 

 集合場所に戻った時には既に日が沈みかけていた。

 みんなもすでに集まっていた。

「よぉ。 大物を捕まえたぞ」

「た、確かにすごいですね。 こんな大きな猪……」

「兄ちゃん、すげぇ!」

「お前らは?」

「私をなめちゃいけませんよ。 大漁です。 魚は向こうに置いてあります」

「さすが」

「俺はいいところ見つけたぞ。 焚き火もしてる。 過ごしやすいと思う」

「おぉ。 幸先がいいな」

 みんな、それぞれいい結果出せたみたいだ。

「ところで……」

「何ですか?」

「猪運ぶの手伝ってくれ」

「…………別にいいですけど、ちょっと情けないです」

「うん」

 秋奈の言葉に海人も同意する。

「言うなよ。 俺だってそう思ってる」


 みんなで海人が見つけたという場所に向かうことになった。

 そこには、洞窟があった。 洞窟の中には大きな空洞が有り、三人が過ごすには十分なスペースだった。これで、雨風もしのげる。 奥に続く道もあるようだが今は関係ないだろう。。 

「よくやった。 海人」

 海人の頭を撫でてやる

「もっと褒めるといいぞ」

 海人は会心の笑みを浮かべた。

「火もつけてあるし、早速飯にするか」

「「賛成」」

 夏休み前に何度か秋奈と料理の練習はしたもののサバイバルで料理するとなると何が起こるかわからないので俺だけで料理をすることにした。 と言っても切って焼くぐらいしかしないが。

 猪を切り分けて焼き、魚は何匹かは刺身にして、他は丸焼きにした。 豪勢な食事だ。

 大きな平たい石を焚き火で熱し、その上で牡丹肉を焼くのはちょっと楽しかった。 我ながらうまくできたと思った。


「あぁ、食った、食った」

「焼いただけですけど、美味しかったです」

「うん、うまかった」

 さすがに全て食いきる事は不可能で、だいぶ残ってしまった。

 なんとか保存できないものか……

「兄ちゃん、残ったやつ保存するのにいい場所があるぞ」

「そんなのがあるのか?」

「うん。 奥にめっちゃ冷たいところがある」

 この南の島に冷たいところ? 涼しい所ならあるかもしれないが……。

「案内してくれないか?」

「その前に、兄ちゃん。 忘れてる」

 海人はそう言うと、両手を合わせる動作をする。

「あぁ、なるほど。 おい、秋奈も」

「何ですか? あ、なるほど」

 秋奈も海人を見て、何をしたいかわかったっようだ。

「「「ごちそうさまでした」」」」

 今日食べ物にありつけたのはかなり幸運だったかもな。

 そして、今度こそ海人のいう冷たいところへと薪を松明にして向かった。

 海人の言うとおり、洞窟の奥に進むと明らかに不自然な取っ手があった。

 岩の壁から突き出ているそれは、引くのか、押すのか、はたまた横にスライドさせるのかわからないが開きそうだ。

「兄ちゃん、これ」

「やっぱりこの取っ手か?」

「うん。 これを手前に引くと……」

 開くとそこからは、冷風が流れ込んできた。 というより、中身がまんま冷蔵庫だった。 空っぽだったけど。 

 ツッコミどころ満載だが、社長の管理している島だからと無理やり自分を納得させた。

「なんでここに冷蔵庫があるかは分からないが、利用しない手はないな。 偉いな、海人は」

「ふふん。 すごいだろ」

 俺は海人とここに来た時と同じようなやり取りをした。

 その後、残った猪の肉や魚をこの岩壁冷蔵庫にしまった。 そして、もうすることもないので寝ることになった。

 掛け布団も敷き布団もないから、ゴツゴツした石の上で寝ることになる。 実に寝づらい。 猪の毛皮を敷くことも考えたが、さすがに獣くさいのは嫌だから却下。 みんなも遠慮した。

 果たして、寝られるのだろうか……。



 SIDE 神宮寺光士 一日目

 僕は意識を保ったまま外道屋島へと漂着した。 恐らく、僕が裏生徒会メンバーの中で最も早く到着しただろう。

 理由は社長がボートを沈没させることを最初から予想できていたから、一足先に流されていたからだ。

 彼らに言わなかったのは、社長が言わなかったからにほかならない。 僕にとってはあの人が全てだ。

「あら、起きてたの? さすが、光士君ね」

 どこから現れたのか、気づいたときには社長がすぐそばに立っていた。

 いつものことなので驚くことはないが。

「いえ、こんなことは容易いことです」

「それじゃ、はい。 これ、サバイバルのルール」

 社長は僕にメモ書きを渡す。

「幸運を祈る。 ま、光士君だからなんてことはないとは思うけど」

「はい。 必ずや期待に応えてみせます」

「相変わらずすごい意気込みね。 ま、あと何人か流れ着くと思うけどちゃんと団体行動してね」

「わかりました」

「それじゃあね。 バイバイ」

 社長はどこかへと歩いて去ってしまった。

 

 僕は海岸付近の散策を開始することにした。

 しばらく歩いていると舞花さんが、近くに流れ着いた。

 僕は近くに寄り、起こしに行く。

「大丈夫ですか、舞花さん?」

「う、うぅぅぅぅ」

 舞花さんがうめき声を出したあと目を開けた。 そして僕を視界に入れた瞬間

「光士様! 会いたかったです」

 抱きついてきた。

「すいません。 ちょっと離れてくれませんか」

 正直、鬱陶しい。

「ごめんなさい。 ボートが沈んだとき不安で仕方がなかったんです。 それで光士様とお会い出来て嬉しさのあまりに抱きついてしまいました」

 嘘だな。 僕に会えてはどうかは知らないが、不安だったというのは嘘だ。 僕は別にそのことを気にしたりはしないが。

「ところで、ほかの皆さんはどこにいるでしょうかね?」

「さぁ? 私はここに漂着したばかりなので何とも言えません」

 使えないな。

「あ、ですが流されてる時、四季美春さんと小井塚結良さんがいたので近くにいるかもしれません」

「……そうですか。 それでは、二手に分かれてこの辺りを探しましょう」

「はい」

 舞花さんは嬉々とした表情で返事をした。

そして、僕たちは二手に分かれて捜索を開始した。

 

 しばらく歩いていると、少し遠くに人影が見えた。 誰だろうか?

 近づいてみると、四季美春さんだった。

「四季さん、ご無事でしたか?」

「あぁ、神宮寺君。 そっちこそ無事だったんだ」

「はい。 ところで、ほかの皆さんはみませんでしたか?」

「いいえ。 さっき目を覚ましたばかりで、どうしようか迷ってたところだったから」

「そうでしたか。 こちらは舞花さんとは会うことができました。 彼女にも他の皆さんを探してもらっているところです」

「さすが神宮司君ね」

「いえいえ。 それでは、舞花さんのもとに行きましょうか」

「そうね。 周りを見渡した感じ誰もいなかったし、舞花ちゃんがもう誰か見つけてるかもしれないわ」

「そうですね」

 この人は、理知的な行動がとれる。 舞花さんよりは好感が持てるな。 社長が全てにおいて一番だが……。


 元いた場所に戻った時には、舞花さんと小井塚さんんがいた。

「光士様! 小井塚さんを見つけました」

「そうですか。 小井塚さん、ご無事でしたか?」

「あ、はい。 大丈夫です」

「これで、四人。 後は、秋奈と海人君、白城君か……」

「しかし、この辺りを探しても恐らく見つからないでしょう」

「どうしてだ?」

「社長の嗜好の問題です。 このサバイバルは全員揃うことがクリアの条件らしいので、簡単に全員が揃わせてくれることはないでしょう」

 僕は社長に渡されたメモ書きを出す。

「これは?」

「社長から渡された、サバイバルのルールです」

「……確かに、全員が揃わないとクリアできないようだね」

「とりあえず、今日は食べ物と寝床を探すべきでしょう。 日が暮れないうちにしなくては何かと危険かもしれません」

「そうね。 クリアに向けて動くのは明日からでもいいでしょ。 これから役割分担しましょうか」

「は、はい!」

小井塚さんは気合を入れて返事をして、舞花さんは「なんで、四季さんが仕切ってるんですか」とつぶやいていた。

 僕にとっては、どうでもいいことだ。 ただ、社長の期待に応えるため頑張らなくては。


 役割分担が決まった。 僕は、狩猟を担当することになった。 しかし、この辺に動物がいるのだろうか? まぁ、いてもいなくても狩猟という名目でクリアするための道探しでもしよう。 言い訳はいくらでも立つだろう。

 ちなみに、四季さんは釣り、小井塚さんは薪集め、舞花さんはきのこや野草などのたぐいを採取するという分担になった。

 海岸のすぐそばにある、森へと向かう。

 それにしても、ここは普通じゃない。 社長の持つ島だから普通であることはありえないと思っていたが、暑いとはいえ湿気が少ないこの場所で熱帯雨林のような木々が生えているのは、この上なくシュールだ。 ここに動物がいるとしたら、この気候に合わない動物がいることが予想されるな。

 僕はつるのような植物が伸びるその森の中をかき分けながら入っていった。

 森に入ってまっすぐ進むと岩壁に突き当たった。 どうやら、崖のようになっているらしい。 このまま、壁に沿って歩いて抜け道がないか探そう。

 五分ぐらい歩いたところだろうか、大きな洞窟があった。 これが、自然にできた洞窟か、人工的に作られた洞窟かはわからないが、探索する必要があるな。 幸い、サバイバルグッズの中に懐中電灯(防水)が入っていた。

 中を照らす限り、奥が見えない。 つまり、この洞窟は相当長い。

 恐らく、今日一日だけで捜索を終えるのは無理だろう。 とりあえず、行けるところまで行って帰ろう。

 暗い洞窟の中を壁伝いに懐中電灯で足元を照らしながら進む。 生物の気配はない。

 ただ、とても無機質な感じがする。 まるで、自然物のような人工物だ。 実際のところ、ありえない話ではないが。


 時間にしてどれくらいたっただろうか? 真っ暗なせいか時間感覚が全くなくなり、いつまでも終着点が見えない。 これはまずいかもしれない。 戻ろう。


 わからない。 時間がわからないとはいえ、さっき歩いてきた時間より長く歩いたような感じがするのにいつまでたっても出口が見えてこない。 もう夜なのか? それにしても不自然だ。


 どれくらい歩いただろう? もう日付が変わり、日が昇っている頃ではないかと思い始めていた。 僕は強い不安と焦りを覚え始めていた。

 もう別のルートを考えるべきか? それともひたすら歩き続けるべきなのか? そのまま、何もすることもできないままただひたすら歩き続けた。 そして、不安と焦りはだんだんと恐怖と苛立ちに変わりつつあった。

 僕はむしゃくしゃして頭を掻き、不意に助けを呼びたくなる衝動を押さえ込んだ。

 僕は何をこんなに意固地になっているのだろう? ただ、社長の期待に応えたい。 それだけなのに、本来の目的とは違う行動をととった結果がこの無様な状態だ。

 助けを呼べばいいのに。 やっぱり、嫌だ! それはしたくない。 社長は僕のことを見ているはずなんだ。 醜態を晒すわけにはいかない。 僕一人でなんとかしなくちゃ。

 僕はあてもなく歩き続けた。 ただ洞窟を出るだけでいいんだ。 それだけでも一歩前進できる。 そんな思いも歩き続けている内にだんだんと薄れていく。

 足は止めないが、気力はどんどんなくなっていく。 ただ、惰性で足がでているだ。時間感覚が狂い、極端だが永遠にも感じる。

 どうすれば助かる? 一体何が起こっているのかも理解できない。

 そして、もうどうにもできないという絶望感が生まれ、ついに口にしてしまった。

「誰か……誰でもいいから…………助けて……ください」

 その一言を口にした瞬間、地面に穴があいた。

 僕は何が起きたのかわからないまま、落ちたと思ったら、上下反転したり、ぐるぐる回されたりして、その状態から解放された時には、強い嘔吐感に襲われていた。

 とにかく、自分のイメージ的に吐くのは絶対嫌だったので我慢した。 そして、落ち着いた時に周りを見渡してみれば、砂浜で空は満天の星空だった。

「おーい! 神宮司君!」

 四季さんが呼んでいるみたいだ。

 少し遠くに四季さんと小井塚さん、舞花さんもいる。 きっと、心配していたのだろう。集合は日が暮れる前にだったからな。

「すいません。 ご心配をかけたみたいですね」

「そうね。 少なくともこっちはご飯食べるの後回しにしてずっと探してたわよ」

「本当にすいません」

「いえ、光士様は悪くありません! こんな時間まで頑張ってくださってくれたのですから!」

「フォローありがとうございます。 舞花さん。 ですが、洞窟で道に迷ってしまっただけですので」

「情けないわね~」

「四季さん、光士様を愚弄しないでください!」

「はいはい。 わかりました」

「何ですか!? その言い方。 馬鹿にしてるんですか?」

 四季さんの言い方に舞花さんがくいかかった。 僕にとってはどうでもいいが。

「あの……」

「何ですか? 小井塚さん」

「皆さんが言ってくれましたけど、ご無事で何よりです」

「はい。 ご心配かけてしまいましたね」

「いえ、気にしないでください。 ただ……」

「ただ?」

「一人で抱え込まないでくださいね。 私では頼りないかもしれないですけど四季先輩もいますし」

「……お気遣いありがとうございます。 必要な時は頼らせてもらいますよ」

「はい!」

 こんな頼りない子に心配されるなんて情けないな、僕は。

 僕はまだ弱い。 精神も肉体も。 あの人、社長に並ばなければ僕の恋は報われない。

 今日の洞窟のことだって、恐らく社長がしたことだろう。 いいように遊ばれて、僕が助けを求めたからあの人は僕を助けただけだ。 

 圧倒的な差、全てにおいてぼくはあの人の足元にも及ばない。 これを埋めなければあの人は僕を意識してくれさえしない。

 小井塚さんには悪いがこれからも僕ひとりで問題を切り抜けられるようにならなくては。

 あの人は一人で何事も完璧なのだから。

「神宮寺君。 ご飯にしよ」

「あ、はい。 わかりました」

 これからのサバイバルはもっと気を引き締めて立ち向かおう。

 全てはあの人のため、そして自分の恋の為。 僕は頑張る。



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